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死体検死医06

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:6 首なし事件女性の首なし死体発見。第一報が流れたのは、平成八年一月十日であった。警察発表によれば、六日の夜から七日未明
(单词翻译:双击或拖选)
6 首なし事件

女性の首なし死体発見。
第一報が流れたのは、平成八年一月十日であった。警察発表によれば、六日の夜から七日未明にかけて、空地で炎があがっているのを数名の通行人が目撃している。
犯人はそこで人体を焼いた上、隣接した青空駐車場に十数台の大型ダンプカーなどが駐車してある間を、約一五メートル引きずって運び、首を切断した模様である。それを裏付けるように、遺体の傍《かたわ》らにはすすのついた厚手のビニール製手袋が一組放置されていたという。
警察は不審な人物や車の目撃者などの聞き込みに懸命であった。
首だけを切り取ったとすれば、バラバラ事件にしては少し中途半端である。何かわけがあるのかもしれない。
そんな状況の中で、私は事件の現場やテレビ局のスタジオから解説をさせられるのである。
死因は? 犯人像は? 動機は? と矢継ぎ早に質問がとぶ。警察発表は少ないので、各局は独自の取材をし、いろいろな角度から切り込み、視聴者に情報を伝えようと競っている。それは当然であろうが、解説するほうは冷や汗ものである。
なぜならば、私は監察医として長年、死体を検死したり解剖をし、警察の捜査状況と合わせて、その遺体の中に隠された真実を引き出すのが仕事であった。
しかし、現役を退いた今、死体を診《み》ることはできないし、現場も張り巡らせた立ち入り禁止のロープの外側までしか行けない。実在する死体所見や現場の状況を見ないで解説するのはむずかしい。
だからといって、あてずっぽうに解説しているわけではない。知りえた少ない情報をもとに、法医学的に考えられる可能性について、コメントしているのである。
咳《せき》をし、鼻水が出て、熱があれば、医学的知識に乏しい人でも、風邪《かぜ》をひいたとわかるだろう。医者へ行っても風邪と診断される。結果は同じであるが、その過程はまったく違う。
専門家はあらゆる知識を駆使して、それとおぼしき症状の気管支炎、喘《ぜん》息《そく》、肺炎、肺結核、肺《はい》癌《がん》あるいは腎《じん》炎《えん》や肝炎などの初期等々を区別し、最後に風邪という病名を決定しているのである。学識や経験の差によって、答えは違ってくるが、それしか知らない素人が風邪というのと、専門家が風邪というのとではその過程がまるで違うのである。
首なし事件は、都内の足《あ》立《だち》区で起こっている。その空地は有刺鉄線で囲まれた校庭ぐらいの広さで、となりは青空駐車場になっていて、大型ダンプカーなどが停められていた。片側には車が通れるほどの道があり、アパートなどが建ちならぶ。都内といっても、人通りの少ない寂しい所であるが、夜中に焚火をすれば人眼にはつく。しかしこの空地では、ゴミなどを燃やす人がいるので、とくに焚《たき》火《び》をしていても気にとめる人はいないという。
「なぜこの場所で、死体を焼いたのか。大胆な犯行をどう思いますか」
女性キャスターが私にマイクを向けた。
住宅が密集する一般家庭で殺人が行われれば次はその遺体をどうやって、人眼につかぬよう処分するかである。犯人の立場に立って考えれば、その順序は自《おのず》とわかってくる。
かつては自宅の床下を掘って埋めたりしたが、共同住宅ではそうもいかないし、ましてやコンクリートのアパートでは、掘ることもできない。風《ふ》呂《ろ》場《ば》でバラバラにして、どこかへ捨てに行く。あるいは車で山に埋めに行くとか、川や海に捨てに行っていたのである。
オウム真理教のように、上《かみ》九《く》一《いつ》色《しき》村などという広大な敷地をもっていれば別であるが、犯人は土地鑑のあるあの空地で、死体の焼却を思いついた。
人体を焼けば、骨だけになり容積も骨《こつ》壺《つぼ》に納まるように小さくなる。いつまでも遺体を自宅に放置しておくわけにはいかない。とりあえず、焼いて骨だけになれば運びやすいし、捨てやすい。そして何よりも身元がわからなくなるだろう。そうすれば犯人である自分に捜査の手は及ばない。これはよい方法だ、これしかないと行動したのではないか。
私はそんなことをコメントした。
車のトランクに入れ、空地まで運び、たきぎに火をつけ死体を燃やした。石油やガソリンを使用した痕《こん》跡《せき》はないというのに、かなり焼けているので、あるいはアルコールなどをふりかけて焼却している可能性も考えられた。
いずれにせよ、犯人は少し離れたものかげから、燃える様子をうかがっていたに違いない。
ところが焼却が終わった後、犯人は大きな計算違いに気がついた。死体を運んできたときは、傘を折りたたんだように、からだを屈曲させてトランクに入れられたのだが、焼けた死体は火葬場の焼却と違って、骨だけにはなっていなかった。筋肉がついたまま、黒色炭化状になり、さらに筋肉は熱凝固を起こして短縮しているから、各関節は少し屈曲して 焼死体特有のボクシング中のスタイル(闘士型)になり、かさばった。ちょうどたたんだ 傘を拡げたように、容積は逆に大きくなってかたまっていたのだ。
空地から駐車場に止めてある自分の車まで、遺体を引きずってきたが、今度はトランクに入らなくなってしまった。時間があればノコギリなどで、バラバラに分割したのであろうが、夜が明けてきた。仕方なく情報量の多い、首から上を切断してどこかに捨てに行ったのだろう。
解剖によって、気管支粘膜に炭粉の付着はなく、血中一酸化炭素ヘモグロビンも陰性であったため、生きている人間ではなく死体を焼いたことが明らかになり、中年の女性であることもわかった。潜んでいた犯人は、精神的圧迫感を受けあせっていたであろう。
犯人は頭の中で何度も、こうやれば完全犯罪はできるだろうと思考する。しかし、いざ実行してみると、考えたとおりにことは運ばない。焼却すれば死体は骨だけになり、容積は小さくなるだろうと思っていたのが、逆に手足を屈曲させて拡がり、かたまってしまい、運んできた車のトランクに入らなくなってしまったのだ。この大きな誤算があせりになって緻《ち》密《みつ》な計算は一転して杜《ず》撰《さん》な行動になり、行きあたりばったりになっていく。
この事件に限ったことではない。
四月下旬、容疑者は逮捕された。
犯人の自供によれば都営アパートの自室で、同《どう》棲《せい》中の女性の頭を殴り、殺害した。車ではなくリヤカーに遺体をのせ、燃えやすい新聞紙などをたくさん積んで、空地に運び焼いた。
石油やアルコールは使用していない。
焼き終わったら、遺体は骨になっていなかった。それどころか逆に広げた傘のように容積は大きく、かたくなってリヤカーにのらないので、とりあえず首をノコギリで切断し、自宅に持ち帰って、裏の庭に埋めたという。
もちろんDNA鑑定など科学的捜査も威力を十分発揮したことはいうまでもない。
推理はほとんど的中していた。
この首なし事件は、隠《いん》蔽《ぺい》工作のためにやむなく空地で焼却したものである。そして大きな誤算などもあって、一見大胆不敵な犯行に見えたのだが、実は杜撰きわまりない事件であったのだ。
 八月に、今度は大阪で首なし死体が発見された。
ある週刊誌の記者から電話でコメントを求められた。
同じような事件が続くものだ。特異な事件が起こると、それをまねるケースもある。
十九日早朝、大阪市と堺《さかい》市の境を流れる大和川で、釣り人が首なし死体を発見した。
白いTシャツに黒ズボン、靴下をはいているが、首がないという。首のないマネキンが浮いているのかと思ったが、そうではなかった。
事件だということで、捜査をしていたら、翌二十日の午後、その場所から六〇〇メートル下流の水深五センチのところで、頭部が発見された。
身元がわかって警察も緊張したようだ。
被害者は、元ヤクザの組長(五十八歳)であった。しかし捜査の結果、抗争などの状況はない。また解剖所見にも頸《けい》部《ぶ》切断部に生活反応はなく、腐敗がやや進行しているが、死因になるような外傷や疾病もないという。
そのうちに胴体が発見された現場から、一〇〇メートル上流の橋の欄干に、直径約一センチ長さ四メートルのロープが垂れ下がり、先端は小さな輪になって、血液と肉片がついていたという報告があった。さらに橋の上には元組長の車が乗り捨てられ、中には同じロープがあって、これを切ったと思われるハサミも発見された。そこで警察は、遺書はないが、首《くび》吊《つ》り自殺と断定したようである。
「先生、こんなことってあるのでしょうか」
記者は、私にたずねた。
細くて丈夫なロープを首に巻き、バンジージャンプのように四〜五メートル下に飛び下りれば、ロープは首にくい込み、筋肉の一部に断裂は起こるが、その瞬間に首が切断されるとは考えにくい。十三段の階段をのぼって、処刑される絞首刑でも、首が断裂することはない。
ところが、蒸し暑い夏ならば、腐敗は早い。首の筋肉がある程度腐ってくれば、首にはかなりの体重がかかっているから、分離は容易である。
私も現職のとき、夏場の首吊りでこのような頸部の離断したケースを何例か経験していることをつけ加えた。
記者は「やはりそうですか。あるんですね」と納得して、電話取材は終わった。
いずれにせよ事件というものは、現場の鑑識と捜査状況に死体所見を合わせて考えると、死亡前後の様子や犯人像がおぼろげながら見えてくる。
現場で働く地道な人達の努力の上に、科学捜査が成り立っていることを忘れてはならない。
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