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死体検死医19

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:19 事件解読術監察医在職中は、警察官と共に現場に出向き、検死をしたり解剖して死因にまつわる不審、不安を一掃するのが仕事で
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19 事件解読術

監察医在職中は、警察官と共に現場に出向き、検死をしたり解剖して死因にまつわる不審、不安を一掃するのが仕事であったから、事件とのかかわりは深かった。しかし、リタイヤした現在は、テレビで事件の現場などからレポーターと一緒に解説するような仕事が多くなった。
張りめぐらされた立ち入り禁止のロープの外側から、遺体も現場も見られぬまま、知りえた少ない情報をもとに、法医学的知識を駆使して、私なりに死因、犯人像を予測し、お茶の間の皆様にお伝えしているのである。とはいえ、スタジオと違い現場ならではの雰囲気があり、解説に必要な資料をこの目で見ることができるのである。
監察医は何といってもまず死体観察を十分にやり、捜査状況と合わせて事件の隠された部分を読み取っていく。
だからアメリカの美少女が殺された事件を知ったとき、頭部に打撲傷があり、さらに擦過打撲が散在し、性的暴行をされた上、絞殺されたというので、これは少女殺害にしては外傷が多すぎると直感した。
大人が六歳の少女を殺そうとした場合は、何の抵抗もされずに簡単に殺すことができる。しかし、このケースは、少女にかなり抵抗され、格闘があった後殺害したと考えられる。だから犯人は大人ではなく、少年ではないか。
大人だとするならば、性的いたずらをしているうちに、抵抗されたのではないだろうか。真相はわからないが、知りえた情報から事件を解読するような鍵《かぎ》は、少女に残された外傷の多さである。
かつて同じような事件を経験した。
幼児が団地内の公衆便所で殺害された。男の子であったが、四肢(手、足)にたくさんの擦過打撲傷(皮下出血など)があり、首を絞められ殺されていた。
その後、容疑者として二十代の男が逮捕されたが、そんなはずはないと思っていた。数日後、男は白となった。
私ははじめから、犯人は子供ではないかと思っていた。加害者はこの幼児に抵抗され、格闘になって殺害したと考えていたからである。この事件は私の予想どおり、中学生の犯行であった。
現場も遺体すらも見ずに、事件を推理するのは所詮無理なことでもあるし、理論的裏付けのない憶測を口にすることは、現職の監察医には許されない。
しかし、報道する側に立った今は、少ない情報ながらも、一般論として法医学的体験をもとに推理し、解説しているのである。
 平成五年八月。甲府でOL誘《ゆう》拐《かい》殺人事件があった。そのときはあるテレビ局の番組でレポーターとして、甲府の死体を捨てた富士川の現場から、川沿いの国道を下って漂着した静岡県富士宮《ふじのみや》市まで、約五十キロを捜索、放送したことがある。
誘拐の手口は見事であった。
雑誌記者になりすました犯人は、本社に電話をして取材許可を取った。本社は支店長にその旨を連絡。連絡が取れたところを見はからって、犯人は支店長に電話で窓口の新入社員のインタビューを申し出た。支店長は本社から聞いているからと、簡単にその社員に電話をつないだ。
午後五時三十分、お迎えのタクシーを支店にお回ししますから、お乗りください。何の疑いもなく、彼女は迎えの車に乗ったのである。運転手は発注伝票どおり、体育館前で彼女をおろした。
誰もいない体育館の入口で彼女はしばらく待っていた。約三十分遅れて男(犯人)がやってきて、私は代理で来たのですが、取材場所が変更されました。ご案内しますから、私の車に乗ってくださいといった。彼女はいわれるまま男の車に乗り込んだ。
見事な誘拐の手順である。犯人の中に知恵者がいて、采《さい》配《はい》をふっている。複数犯を疑ったが、翌日支店長に「職員を預かっている。身代金四千五百万円を用意しろ」と電話が入った。
金額が中途半端であり、意外な少額に私は犯人像を絞り込めなくなっていた。
その年はいつになく雨の多い夏であった。
一週間後、静岡県富士宮市の富士川で、かなり腐乱した全裸に近い浮遊死体が発見され、指紋、歯形の照合から誘拐されたOLであることが判明した。
報道協定によって公表されなかった事件が解除となり、新聞、テレビは連日大々的にこのニュースを流しはじめた。
私も各テレビ局のワイドショーに出演し、コメントを求められた。警察は早くから容疑者をマークしていたようであった。
事件発生から二週間後、追いつめられた犯人は、友人に付き添われて警察に出頭、逮捕された。
仕事上の借金や遊興費がかさみ、誘拐を計画したのであった。
犯人は車に乗せた彼女を、不在で空家になっていた愛人宅に監禁しようと試みたが、うまくいかずあきらめた。計画を変更せざるを得なくなった。
再び車を走らせたが、行き先が定まっていないので、そのうちにおかしいことに気づかれ、
「車を止めて!! 降ろして!!」
と騒ぎ出されてしまった。
犯人は日没を待っていたのである。
人里離れた富士川沿いの堤に車を進入させ、エンジンを切りライトを消した。
まっ暗《くら》闇《やみ》であった。
助手席の彼女を押し倒し、鼻口部にタオルを当てて馬のりになり、押え込んだ。彼女は足をバタつかせ、顔を左右にふり、犯人の顔を爪《つめ》でひっかいた。
それから二週間後、犯人が逮捕されたときの顔のアップが、カラーで雑誌にのっていた。見ると右前額部に縦に、一本の治りかけた線状擦過傷痕《こん》が見える。ひっかき傷である。
加害者と被害者は一対一だから、このような抵抗を受けたのだ。写真を見て私は、単独犯だと確信した。
話をもとに戻すが、そのうちに彼女はぐったりして静かになった。死体をトランクに隠した。
それからの行動は急にメチャクチャになってしまった。
なぜ富士川に死体を投棄したのか。
国道沿いで車の往来もはげしいし、昼間は釣り人も多いので発見される確率は高い。
綿密な計画が、ある時点で突然杜《ず》撰《さん》きわまりない行動に一転する。
事件の流れを詳細に観察していくと、よくこのような変化を見つけることがある。
予想外のアクシデントが起こったと私は考える。
犯罪を計画するとき、犯人は頭の中で、ここはこうやれば完全犯罪ができるだろうと、くりかえし考える。だが、いざ実行してみると、頭の中で考えたとおりに事は運ばない。
思いもよらぬハプニングが起こってくると、それに対応するだけの余裕が心にないから、あわてふためいて、いきあたりばったりになってくる。
甲府盆地は二〜三十分も走れば、山の中である。そこに穴を掘って埋めればいいと思うのだが、なぜか遺体を川に捨てている。
報道関係者によく質問される。
犯人が死体を捨てたり隠《いん》蔽《ぺい》したりする場所が、なぜ川であったり海や山であるのかと。これは犯人に聞かないと、本当のところはわからないし、またケースバイケースで違うのだが、共通していえることは、殺害した死体から離れたいということである。そうしないと自分の気持ちが落ち着かないのだ。だから犯人はできるだけ遠くへ捨てに行く。
平成六年十月に起こった、つくばの妻子殺害事件もそうであった。
つくばの自宅で殺害したのに、遺体はなぜか遠くの横浜港に捨てたのである。
犯人はつくばで生まれ育っているから、その地域は詳しく知っている。たとえば遺体を車で、つくばの山中に運ぶとする。車を停めた場所から遺体は重いから、十〜二十メートルしか運べない。そこに穴を掘って埋め隠せるような場所は、つくばにはない。
だから山で育った犯人は、海に捨てれば太平洋という広いエリア、どこかへ流れていってわからなくなるだろう、そのほうが安全だと思い、海へ捨てに行く。
ところが海で育った犯人は、かなり沖合いに死体を捨てても、時化《しけ》や海流の関係で波打ち際へ打ち寄せられることを知っている。
海で育った犯人は、山へ捨てに行く。
知っているところより、知らないところのほうが安全だと思う人間の心理。おもしろいものだとて事件を通して私は感ずる。
OL誘拐事件も同じであった。
犯人の供述によって、事件の全《ぜん》貌《ぼう》はほぼ明らかになった。
車中で殺害したとき、尿失禁がありシートがぬれ、犯人のズボンもぬれてしまった。
思いもよらぬハプニングに犯人は驚き、あわてた。
シートをふき、車中の彼女の指紋なども一緒にふきとって、自分のズボンもはきかえている。消臭剤で車内の悪臭を消さなければならない等々、計算外の事態に頭の中はパニックになっただろう。
頭の整理がつかぬまま、山育ちの犯人は遺体を海に捨てようと思った。夢中で車を走らせた。
夜の十時頃である。
富士川沿いの国道を五十キロ走って静岡県に入り、太平洋に近づいたころ、前方にパトカーの赤燈が点滅しているのが、眼に入った。酔っぱらい運転の検問でもしていたのだろうが、驚いてUターンし、なぜか犯行現場まで戻って来て、川に遺体を投棄したのである。雨で増水しているから、海まで流れていくだろうと考えたようである。それならば河口に近いところから捨てればよいと思うのだが、そこがおもしろいところである。
尿失禁やパトカーなど思いもよらぬアクシデントの出現により、頭の中がパニツクになって、場当たり的行動になってしまった。
誘拐までの手順は実に見事であったが、殺害後の行動はメチャクチャで、やはりあわてふためき、精神錯乱状態になったためであろうと思われる。
また遺体はかなり腐乱し、五十キロもの長い距離を漂流してきたわりには、外傷はあまりなかったというのである。
現地を取材してみると、中州や浅瀬も多く一〜二メートルの落差のある場所や急流もあって、曲がりくねった川筋だから、無傷でたどり着くはずはない。死後の損傷があってしかるべきだ。本当に無傷であれば、発見場所から一〜二キロ上流から死体を投棄した可能性もあると考えたが、犯人の供述に間違いがないことがわかった。
教科書どおりにならないところが、法医学のむずかしいところであり、またおもしろいところでもある。
さらに全裸に近い状態であったというので、性的暴行の可能性も考えられないかと質問されたが、長い距離を川の流れにもまれると、着衣は脱げてしまうことが多いと答えた。取り調べの結果にも暴行の事実はなかった。
東京都の監察医を長くやっていたせいか、職務に関係のない地方の事件であっても興味を覚え、現場の状況、死体所見、死因など新聞情報を読み、検討して、犯人像を推理したりする。そんなことが好きになっていた。
謎《なぞ》解《と》きの糸口が見えないときには、自分が犯人になったつもりで、知り得た情報をもとに、頭の中で現場を再現し、被害者をどのように殺害したかをイメージしてみたりすると、意外に見えてくることがある。
気軽に考えているうちはよいのだが、わからぬ犯人像を追い求めているうちに、つい専門的になりすぎて、むずかしく考えると、かえってわからなくなるものである。
ところが犯人は素人で、完全犯罪を成功させようと、合理的に深く考えてやっているケースは少ない。ほとんどは場当たり的である。それがいかにも大胆不敵で、敵をあざむくための作戦のように見えたりする。
つかまえてみると、大山鳴動して鼠《ねずみ》一匹ということが多い。
事件にはそれぞれ個性があり、人間臭さが強くこびりついている。
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