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死体検死医26

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:単行本あとがき最近、私のところに読者からの相談ごとが多くなった。ある地方の市街で、早朝老人が路上に意識不明で倒れていた。
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単行本あとがき

最近、私のところに読者からの相談ごとが多くなった。
ある地方の市街で、早朝老人が路上に意識不明で倒れていた。近くの病院に収容され治療をうけたが、一日足らずで死亡した。
ドクターは病気の脳出血と診断した。
葬儀が終って数日後、身内の者が「そういえばおじいちゃんの手足に擦過打撲傷があったので、交通事故などのトラブルが考えられる」と、警察に相談に行ったが、当時変死の届出はなかったし、取り扱っていないから調べようがないと、相手にされなかった。
また、警察は自殺と判断しているが、そんなことは考えられない。災害事故に違いないからなんとかして欲しい、などという相談も相次いでいる。
相談に共通しているのは、葬儀が終ってから不審を訴える場合が殆《ほとん》どだということだ。調べ直すにしても、最も必要となる遺体は火葬されて灰になっているから、真相を究明しようにも仕様がない。しかも解剖もしていないし、死体所見を記録した写真もない。あるのは受診した際のカルテとレントゲン写真ぐらいである。
真偽を考察するにも、資料が少なすぎて判断しかねる。不審を訴えるなら、葬儀の前でなければ調査、検討の仕様がないのである。
監察医制度が全国的に施行されていれば、こんなことは起こらない。不審、不安のある死に方はすべて変死扱いになり、警察の捜査が行われ、法医学の専門家である監察医が検死したり解剖したりして、死にまつわる不審を取り除き、人権を擁護し、社会秩序を維持しているのである。
しかしこの制度は五大都市(東京、横浜、名古屋、大阪、神戸)にしか施行されていない。その他の地域は警察医による検死が行われる。この警察医というのは、警察署の近くの開業医で、そこの警察官と留置人の健康管理をする臨床医である。法医学の専門家ではないから、十分な対応ができるとはいえない。
カゼをひけば内科にかかり、ケガをすれば外科へ行く。自分の命を守る上で当然の選択である。
ところが変死体の検死は、死亡して命はないし、治療の必要はないのだから、医師であれば何科の医師でもよいことになっている。矛盾はないようであるが、これは大きな誤りである。死者の生前の人権を守るためには、死体所見に精通した監察医にまかせるべきである。
死後も名医にかからなければならない。
その意味で、監察医制度は全国的でなければならないのだが、予算、人材、あるいは必要性の度合などから、実現していない。
それならばオンブズマン制度をつくるなり、法医学的相談の窓口をつくって、容易に専門医に連絡がとれ、相談ができるシステムを行政の中に設置すべきであろうと、私はことあるごとに主張しているが、具体化の動きはない。
簡単にいえば、この世の中には死体のお医者さんが必要なのである。
それにしても、今ほど命の尊さを軽視した時代はないと思っている。
日本人は今、飢餓とか戦争というような実体験がなく、平穏で豊かに暮らしている。子供達はわがままに育っているから、我慢とか忍耐心がない。加えて親も学校も子供を叱らない。自己中心的であるから、他人の痛みがわからない。だから、自分の命は大切だが、他人はどうでもよい。
そのせいかどうかはわからないが、凶悪な犯罪が増えているのも事実である。
困った世の中である。
ある作家は、作品の中で殺人が行われると、出版後にその人のために供養を行うという。小説の中に出てくる架空の殺人事件ばかりなのだが、自分のつくり出したストーリー、命というものにそれなりの責任を感じているからである。
私も多くの死を見続け、書き続けてきた。講演も多いが、その度に事件を通して、命の尊さ、いかに生きるべきかを訴えてきた。
死体シリーズ第四弾「死体検死医」も、そんな期待をこめて上《じよう》梓《し》したのである。
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