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死体は生きている12

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:危険な演技 ひと昔前の東京での自殺は、睡眠剤やガス(石炭ガス)放出によるものが多かったが、近年は睡眠剤の購入がむずかしく
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危険な演技
 
 ひと昔前の東京での自殺は、睡眠剤やガス(石炭ガス)放出によるものが多かったが、近年は睡眠剤の購入がむずかしくなり、またガスも天然ガスに切り替わって中毒しにくくなった。そのためか首つりや高層ビルからのとび降り、電車にとび込むなど、時代の変遷とともに、その手段もかわってきている。
首つり(縊《い》死《し》)は、ひもなどに自分の体重をかけ、首がしまって呼吸ができなくなり、窒息するように見えるので、法医学の教科書にも窒息の項目に分類されている。たしかに首がしまって呼吸ができなくなり、顔面にうっ血、溢《いつ》血《けつ》点《てん》が生じ、窒息の経過をたどって痙《けい》攣《れん》発作などを生じ、死ぬ場合がある。このような経過で死亡するのを非定型的縊死といって、ひものかかり方が左右対称性でないとか、足が床について全体重がひもにかからないような場合などをさす。
しかし、索状物が左右対称性にかかり、からだは完全に宙づりになって全体重がいっきに首に作用している場合などは、両側頸《けい》部《ぶ》神《しん》経《けい》叢《そう》の圧迫で反射的に心停止をきたし急死する。あるいは頸部の動静脈が一瞬にして圧迫閉そくされて急死する。
これを定型的縊死といい、窒息する非定型的縊死と区別している。この場合は顔面のうっ血や溢血点などはない。当然首もしまり気道も圧迫されているが、窒息の経過に入る前に心停止を生じて死亡している。
喉《こう》頭《とう》癌《がん》などで手術をし、気管に呼吸孔を形成した人が首つり自殺をしたり、木のまたで首つり自殺している珍しいケースがある。前者はひもで首がしまっても、その下方に呼吸孔があるので、呼吸はできるはずである。
後者の木のまたでの首つりも、両側頸部は圧迫されているが、前頸部の気管はV字形の木のまたで間隔があるから、圧迫閉そくされてはいない。にもかかわらず死んでいるのは、定型的縊死は窒息死ではないことを物語っている。しかし、法医学の教科書は定型的縊死をいまだに窒息の項に入れて論じている。

ある劇団所属の若い俳優さんが首つりをした。天井のハリにロープを固定し宙づりになり、そのかたわらに踏み台がころがっていた。顔面のうっ血や溢血点はなく、定型的縊死であった。
しかし、遺書はなく自殺をするような状況もない。それどころか現場には鏡と台本があって、どうも演技の練習中にあやまって本当に首つりになってしまったようなのである。
鏡を前にして迫力のある首つりの演技を練習していたのであろう。
素人考えで首がしまり苦しくなったら立ち上がるか、手を首のひものところへあげれば防御できると思っていたのであろう。ところが実際に体重をひもに移動したとたん、手足はまひして動かず、心停止という思ってもみない事態になったのではないだろうか。
首つりは真《ま》似《ね》するだけでも危険である。
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