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死体は生きている19

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:炎の画策二 それから半年たった五月の中旬、郊外の建売住宅街で火災が発生した。朝の四時半頃、帰宅した夫が火事を発見。すぐに
(单词翻译:双击或拖选)
炎の画策
 それから半年たった五月の中旬、郊外の建売住宅街で火災が発生した。
朝の四時半頃、帰宅した夫が火事を発見。すぐに対応したが火の廻《まわ》りは早く、妻子を助けることは出来なかったと朝のニュースは報じていた。
夫は事情聴取のため警察へ出向くことになり会社に連絡をとった。
犬山係長の家が火事で、奥さんと子供さんが焼死したとの話は、すぐに社内にひろまった。
警察の火災捜査班による現場検証の結果、出火の原因は石油ストーブの不始末のようであった。
母親は布団の中でねたままであったが、五歳の女児は布団からはい出した状態で死んでいた。
現場で司法検視の後、遺体は大学の法医学教室で司法解剖に付されることになった。
女児はうつ伏せになっていたため、背面は頭から足まで黒色炭化状に焼けこげていたが、からだの前面はあまり焼けてはいなかった。前《ぜん》頸《けい》部《ぶ》に絞殺のようなひものあと(索溝)はない。側胸部や側腹部をみると、火傷のある部と火傷のない皮膚の境目が紅色を呈し、水《すい》疱《ほう》を形成して生前の火傷のように反応していた。
さらに気管を切開すると、気管粘膜には黒い炭粉が付着していた。これは火災の中で呼吸し生きていた証拠である。
また胃袋は空で、空腹の状態であった。食道と胃の入口付近の粘膜には唾《だ》液《えき》に混じって炭粉がのみ込まれ、血液は鮮紅色で化学検査により一酸化炭素ヘモグロビンが五十%検出された。
これらのことから、死因は焼死と決定された。
次いで母親の解剖に移った。
仰《あお》臥《む》位《け》で腰のあたりまで布団をかけてねていたために、布団から出ていた上半身は、黒色炭化状に焼けこげていた。その他の部位は布団にカバーされていたので火傷は少ない。
背面には暗赤褐色の死斑が中等度に出現していた。
胸部付近の火傷の部と腹部の火傷のない皮膚の境目は、紅色の火傷の反応や水疱の形成もなく、丁度するめを焼いたような感じである。
先に解剖した子供の死体所見とはまるで違う。
気管を開けると、炭粉の吸引、付着はなかった。
立会の警察官の動きは急に、あわただしくなった。
火災が発生したときには、母親は既に死亡していたことになるからである。
「死因は何んでしょうか?」
警察官は先を急いで、執刀医に尋ねた。
血液は暗赤褐色で、ガス中毒のような鮮紅色さはない。化学検査で一酸化炭素ヘモグロビンも陰性で、アルコールやその他の毒物も検出されない。
胃内容は千 竓 《ミリリツトル》で未消化状態であるため、食後間もない時間に死亡していることは確実である。   
内臓に損傷や死因となるような病的変化は見当らない。
頸部は炭化状に焼けこげているので絞殺、扼《やく》殺《さつ》の事実があったにせよ、その痕跡は焼却されて不明なのである。
頸部の筋肉に出血もなく、舌骨や甲状軟骨、気管軟骨にも骨折はなかった。
死因となるような所見は見当らない。
「先生、殺しでしょうか、病死でしょうか」
無言の執刀医に対して、何んとか医学的解説を引き出したいのである。
警察官も焦りいら立っていた。
執刀医もこの所見からでは解説のしようもなく、実のところこまっていたに違いない。
とはいえ、うかつな発言はできないので、慎重に言葉を選びながら、
「肺のうっ血、肺胸膜下の溢血点、気管粘膜の充血などから考えると、窒息状態からの死亡と考えられないことはないが」
「それじゃ、絞殺と考えてよいのですか」
「いや、そこまではいえないですよ。第一、首には絞めたという証拠はないし、肝《かん》腎《じん》なところは焼けて見えないしね」
「そうですか? そうですね。しかし、絞殺とすれば凶器のひもがあるはずだが、それも焼けてしまっている」
「そう、その通り。首を絞めれば頸部に当然索溝が残る。しかし、そこはこの通り」
と執刀医はメス先で真黒に焼けている頸部を指した。
「絞殺であれば呼吸困難で顔はうっ血しているはずだが、それも見えないように焼却され、すべての証拠を殺害後に隠《いん》蔽《ぺい》するために放火したのであれば、敵もさるものだね」
「先生、あまり驚かさないでくださいよ」
と会話にも冗談が混じるようになってきた。
そこまで考えてやっているのかどうかは推測しかねるが、単なる火の不始末による火災ではなく、殺人放火の疑いが濃厚な事件として、警察は捜査を開始した。
現場は消火活動によって、かなり乱れてはいたが、がさった形跡はなくもの取りや強盗の可能性は薄らいでいく一方、生き残った夫、犬山への疑惑は高まっていった。
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