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死体は生きている20

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:炎の画策三 重要参考人として事情聴取が始まった。犬山は当日六時頃、めずらしく早目に仕事を終えて退社している。電車を乗りつ
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炎の画策
 重要参考人として事情聴取が始まった。
犬山は当日六時頃、めずらしく早目に仕事を終えて退社している。
電車を乗りついで郊外の自宅に帰ったのは、七時半をすぎていた。
八時頃一家三名は夕食をとっている。その後、妻は子供をねかせるため添寝しながらテレビをみていたが、いつの間にかねてしまった。
犬山も、うとうとしていたが、目を覚すと九時を少し過ぎていた。
会社へ出ても周囲の目は冷たく、家へ帰っても殆んど生活費は入れずに愛人をつくって遊び廻っていることも、ばれているので妻とてそっけない。会話といってもすぐに口論になってしまう。
家庭は崩壊寸前殺伐の毎日であった。
自分を理解し、温かく迎えてくれるのはリサしかいない。それが犬山にとっては、唯一の慰めであり、安らぎの場であった。
いつの間にかカウンター越しにリサと向き合っていた。
「その時の時間は?」
「たぶん十時半頃だと思います」
と刑事の問いに答えている。
午前〇時四十分頃、店がはねてから犬山はリサを車の助手席にのせ、彼女のマンションまで送っていった。マンションの前の小さな公園の横に車をとめたが、話がはずんで四十〜五十分車内で話をして別れた。
「どんな話?」
「結婚の話です」
「妻子があるのにか?」
「はい、今の生活はもう終りです。別れる以外にないのです」
「奥さんも承知しているのか」
「えー、ある程度」
「帰宅したのは午前四時半に間違いないね。なぜ車を自宅の三百 《メ》米《ートル》も手前のバス停付近に駐車させたんだ。家の前にいつもとめているそうじゃないか」
「朝帰りで近所の人に迷惑がかかってはと思いまして」
「それじゃ、もう一度聞くが、車から降りて真直、自宅へ歩いて行ったんだな」
「はい」
「自宅を通りすぎ、約三十 《メ》米《ート》 《ル》程先になにがある」
「空地があります」
「資材置場になっていて、砂利が山積みになっているのを知っているね。そこで何をしていた」
「え! 何をしていたって?」
「とぼけるな!」
刑事はどなった。
「缶ビールをのんだだろう。嘘《うそ》いったって調べはついているんだ。空缶にお前の指紋がついているんだ。タバコの吸いがらからもお前の血液型が検出されているんだぞ」
犬山はそこまで調べがついていることに驚いた。
隠しきれないと思い苦しまぎれに、リサとの話を妻に伝え、別れるべきか否か、ビールをのみながら、またタバコを吸いながら思案していたことを、ボソボソと語りはじめた。
車で自宅近くに着いたのが三時半、帰宅したのが四時半だから、一時間もそこで思案していたことになる。
「寒いのによくもそんな長い時間、おかしいじゃないか」
玄関の戸を開けると、ドーン、とにぶい音をたてて家の中は火の海となり、火事になったというのは、前回の調べでもそうであったし、近所の聞き込みとも一致していた。
午前四時半頃、ドーン、という音がしたので、外へ出てみると犬山さんの家から火がふき出し、火事になっていた。
犬山は茫《ぼう》然《ぜん》と玄関前に立っていたという。
リサの調べも行われたが、犬山が店に来た時間などはほぼ同じで、二人の会話の内容にもさしたるくい違いはなかった。
犬山の供述に嘘はないようであった。
しかし、同僚のホステス達の話によれば、
「リサは小柄で可愛いらしいから、若く見えるけど、本当は三十近いオバンなのよ」
「仲々の女でさ。早く結婚してスナックでもやりたいといってたけど」
「相手は犬山さんだったのかしら?」
リサにほれ込んだ犬山はかなりの見栄張りで、それを見越してリサは相当な金をつかわせていた。
悪い結果にならなければと不安に思っていたと、教えてくれた。
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