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死体は生きている21

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:炎の画策四 火事から数日後、警察はきわめて重要な事実をつかんだ。犬山がつい三か月前に家屋に一千万円の火災保険をかけ、妻に
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炎の画策
 火事から数日後、警察はきわめて重要な事実をつかんだ。
犬山がつい三か月前に家屋に一千万円の火災保険をかけ、妻に三千万円、子供に一千万円の生命保険をかけていた。
とくに生命保険は災害倍額補償付の特約になっていたのだ。この火事によって犬山には、計九千万円の大金が入ることになる。
金と女がからみ、犯罪の舞台は出来上ったが、肝腎の主役が決まらない。
限りなく黒に近い犬山であったが、逮捕にふみきるだけの確証はつかめない。
これといった捜査の進展もないまま、年は明けた。
犬山は火災保険会社と生命保険会社それぞれに、支払いの請求を出した。
しかし、保険会社は警察の捜査結果を待たないと支払いには応じられないと、保留したのである。
金の切れ目は縁の切れ目で、リサからも相手にされないどころか、冷たくあしらわれるようになった。
結局、会社の金の工面も出来ぬまま三月に入ると、追い打ちをかけるように人事異動も発表された。
営業課長は島第二係長が昇格した。
火事で妻子を失い、保険金の支払いもない上、頼りにしていたリサからも迷惑がられる始末になり、昇格は無論のこと勤めをつづけることすら危ぶまれる状態に陥っていた。
丁度そのころ、司法解剖の結論が出た。
大学教授作成の鑑定書が提出されたのである。
警察では鑑定書が何らかの意味で、事件解決の突破口になるであろうと期待していた。
子供の死因は焼死。死亡時間は午前四時四十分頃となっていた。
問題の母親はどうだろうか。
死因は窒息死と推定されると書かれている。しかし、その手段方法は遺体の焼却の度合が強いため不明であり、死亡時間は火災発生前の午後八時三十分頃とされている。
母親はなに者かにより、殺害された後、放火され、子は寝ていて焼死したものであろうとの結論であった。
胃内容をみてもわかるように、子供の胃袋は空であるから、夜の八時頃食事をしたとすれば、火災は午前四時半だから八時間半もたっているので、空腹状態は当然である。
母親は未消化食物約千 竓《ミリリツトル》 も入ってほぼ飽食状態であるから、食後三十分位の間に死亡したことになる。
したがって死んでから八時間後位に、焼却されたと考えられるのである。
それにしても、殺害の手段方法が解剖所見からある程度明確にされないと、犯人逮捕はおぼつかない。
この鑑定結果では、警察も動きようがなかった。
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