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死体は生きている23

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:炎の画策六 犬山は三月で会社をやめた。実家へ戻ったが、これといった職にもついていない様であった。一方警察では、司法解剖の
(单词翻译:双击或拖选)
炎の画策
 犬山は三月で会社をやめた。
実家へ戻ったが、これといった職にもついていない様であった。
一方警察では、司法解剖の記録、証拠写真、その他すべての資料を再検討するため、専門家を訪ね意見を求めていた。
しかし、火災現場は焼却の度合がひどく散乱していて原形をとどめない。遺体も同じようで解剖はしたものの明確な所見はつかめていない。
やはり、これといった新しい見解を引き出すことはできなかった。
そんなある日、大野木監察医は捜査の指揮にあたっている警察幹部の訪問をうけた。
事件から一年半もたっていた。
監察医はあらゆる死亡事例を数多く検死し、また解剖もしているので経験は豊富である。そのことを警察は知っている。
「ご無《ぶ》沙《さ》汰《た》しております。その節は、大変お世話になりました」
部下と二人連れであった。
「いや、どうも」
と大野木は答えたけれど、その節はとは、何を指しているのか思い出せなかった。
何度か会った顔である。
警察大学での講義や研修あるいは事件に関する医学的質問などで、警察幹部との交流は多いのですぐには思い出せない。
「あの事件は、食後一時間以内という先生のご指摘の通り、解決いたしました。ありがとうございました」
といわれて、気が付いた。
胃内容の写真と解剖記録を持参して、消化の程度から食後どの位の時間に死亡したのか解らないだろうか、と質問に来た警視であった。犯行時間の推定に必要であったからだった。
「そうですか、それはどうも。で今日は、むずかしいこといわれても、私は答えられないよ」
と先ず釘《くぎ》を刺した。
「先生、またまたご冗談を」
といいながら、警視は部下が持ってきた大きなカバンを開け、束ねられた書類を数冊出しながら、
「実は、この事件は……」
と犬山に関する今までの経過を長々と語りはじめたのである。
緻《ち》密《みつ》な捜査の上に考え出された、犯行の筋書きに大野木は興味を覚えた。
そしてこれを裏付ける証拠を持参した資料の中から、見つけられないだろうかといいながら、火災現場の写真や解剖時撮影した死体所見などを示して、こまごまと説明を加えた。
「もうないの?」
「いやまだ沢山ありますが、とりあえず説明に必要な写真だけを並べました」
「解剖の際とった写真は全部見たいですね。死体所見からものを考えるのが私の専門ですから」
脳、心、肝、腎《じん》……あらゆる臓器が撮影されていたが、どれにも損傷や病的異常は見られなかった。
「頭《ず》蓋《がい》底《てい》の写真、ありますか」
「ええ、あると思います。あ、ありました」
さし出された写真を無言で受取り、くい入るように見ていたが、
「これ一枚ですか」
「はい、頭蓋底の写真はこれしかないです」
頭蓋骨を開け脳を取り出すと、ドクターはすぐ脳の観察に移る。
脳の変化は死因になることが多い重要臓器だから当然であるが、取り出したあとの頭蓋底は一《いち》瞥《べつ》する程度で終ってしまう。
頭部外傷で頭蓋底骨折があるような場合などは写真にとり、骨折の状態を丹念に記録するが、そうでないケースは頭蓋底の骨の変化など死因と何んのかかわりもないので、充分に観察するドクターはいない。
大野木は頭蓋底の変化に興味をもっていたから、解剖したケースは必ずこと細かく記録していた。
頭蓋底のほぼ中央から左右の耳にかけ、山の峰のように盛り上った錐《すい》体《たい》という骨がある。
耳の穴の奥にある中耳、内耳を取り囲む骨が錐体である。
溺《でき》死《し》の六割ぐらいに、この錐体という骨の中に出血がある。
泳げる人が溺《おぼ》れるのは、遊泳中呼吸のタイミングをあやまり、鼻から水を吸い上げ中耳に水圧が加わって錐体内にうっ血や出血を生ずるためである。
錐体は内耳をとり囲む骨で、そこにうっ血や出血が生ずると、内耳の血液循環が乱れ、三半規管の機能が低下し、平衡感覚がとれなくなって、めまいを起こす。そのため、いかに泳ぎが上手でも、背の立つ浅瀬でも溺れてしまうという学説である。
決して心臓麻痺などといういい加減なものではない。
「錐体内にうっ血があるよ。ほれ、この淡青藍色の変化」
と指さす。
「えっ! 錐体内うっ血ですか。先生、先生の学説は教わったので知っていますが、このケースは溺死ではないですよ」
彼は警察大学で、大野木の講義を聴いて、そのことを覚えていたのである。
溺死でなくても首を絞めると、そこを通る血管が圧迫され、錐体内にうっ血を生ずるのである。とくに心臓から出ていく外頸《けい》動《どう》脈《みやく》は血管壁が厚く、しかも筋肉の深いところを通っているので圧迫をうけにくい。ところが頸静脈は血管壁が薄く、皮下の浅いところを通っているから、強い圧迫をうけ心臓に戻る血流がよどむから、顔は暗赤褐色にうっ血する。
外頸動脈は顔や頭蓋骨に分布しているから、顔面がうっ血している場合には、頭蓋骨にもうっ血がきているはずである。
つまり錐体内にうっ血があるということは、首を絞められた証拠である。
理論的説明に警視は大きく二度、三度とうなずき、絞頸による窒息死の証拠が頭蓋骨の中にある意外性に驚いたのである。
だから絞殺後、証拠を隠滅しようと放火し、首の索溝、顔面のうっ血を跡形もなく焼却し、犯人は完全犯罪をねらったとしても、頭蓋底の専門家にかかっては正に頭かくして尻《しり》かくさず、いやこの場合はお尻かくして、頭かくさずだよと大笑いした。
「それにしても先生。舌骨や甲状軟骨、気管軟骨などに骨折があって然《しか》るべきではないでしょうか」
警察幹部の質問は鋭い。
「いや、そうとは限らないよ。幅の広いタオルや襟巻きなどで絞めると骨折のない場合もありますよ」
彼は早く上層部に、このことを報告しなければと思ったのだろう、帰り仕度にとりかかった。
お茶はすっかりさめていた。
「感心ばかりしていないで、熱いコーヒーでものみましょうよ」
と大野木はポットの湯をカップに注いだ。
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