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死体は生きている35

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:年齢の推定 私は初対面の人と話をするとき、無意識のうちに相手の年齢、職業などを考えて共通の話題を探し出し、応対しているよ
(单词翻译:双击或拖选)
年齢の推定
 
 私は初対面の人と話をするとき、無意識のうちに相手の年齢、職業などを考えて共通の話題を探し出し、応対しているようなことが多い。しかし、他人の年齢を当てるのはなかなかむずかしい。
生活環境などによって、それ相応の人相というか顔がつくられてくるのであろうが、人間には樹木の年輪のような器質的特徴がないので、わかりにくい。
とくに女性の年齢推定はむずかしい。

姉が入院していたとき、母は付添っていた。
慣れない鉄筋コンクリートの病室での生活に、疲労困《こん》憊《ぱい》していたのであろうが、娘の回復を信じはりつめた気持ちで介護していた。
しかし、半年後帰らぬ人となった。
姉は外科医であり、父と私も医者であった。
死亡の一と月程前、主治医から父と私は死の近いことを聞かされていた。
母や兄、妹らは医者ではなかったので、父と私は主治医の話を家族に伝えるべきか否か迷っていた。とくに父は、病室で懸命に付添っている母の姿を見ては、とてもそれを話すことはできないというので、二人だけの秘密にし家族には知らせなかった。
そうすることが、父の家族に対する思いやりであったからである。
以来、私は母の姿を見るのがつらかった。
結局、真相を知ることなく、母は突然娘の死に直面したのである。
容態が急変し、主治医をはじめ院長さんもかけつけて来て、死の宣告がなされたとき、ベッドサイドに立っていた母は、くずれるように床に倒れてしまった。
すぐ抱きかかえ起こそうとしたが、母は立ち上がれなかった。
それから半年の間、母は腰がぬけたようになり、歩行の出来ない生活となってしまった。
精神的ショックと肉体的過労が原因であったのだが、今にして思えば主治医の話を少しでも、母に伝えておいた方がある程度ショックをやわらげることができたのではないかと悔まれた。
一年後、やっと普通の生活に戻ったが、父と同じ年齢であった母は、めっきり老け込んでしまった。
ある日、来客があった。
父と話をし、母は父の隣りに座っていた。私が茶を入れ接待していると、客人が父に、
「お袋さんですか」
と母のことを尋ねた。
いや私の家内ですよ。と父は笑いながら答えていたが、夫婦が他人様には親子のように見える、この老け込みように私は、母の悲しみの深さをあらためて感じた。
このように、生きている人の年齢でさえいい当てるのはむずかしいのに、法医学の現場では身元不明の死体を扱い、年齢を推定するという作業が始終行われているのである。
一般的には容《よう》貌《ぼう》や身なりなど、全体的雰《ふん》囲《い》気《き》などから感じとっている。
ところが、日が経《た》って発見された腐乱死体などになると、体内に腐敗ガスが発生して仁王様のような恐ろしい容貌にふくれあがったりするので、身内のものが見ても別人だといって納得しないことも、しばしばである。
義歯、ホクロ、手術瘢《はん》痕《こん》などからやっと納得するようなことがある。
だから、簡単に年齢の推定といっても容易なことではない。つい服装や身なりにたよりがちになるが、それは邪道であくまでも死体所見から年齢は推定すべきものである。
このような場合は、歯牙の咬耗あるいは磨耗度などから年齢を推定するが、これとて個人差があって必ずしも明確なものではない。後日、身元が判明してみると十歳や二十歳も違っていることはざらである。

若い女性の漂流死体を、全裸にして検死をしていたときのことである。
腐敗などはなく、死後間もない死体であった。
乳房の発育は成熟した女を思わせ、とくに処女膜には亀裂があって男を知ったからだであったことなどから、二十歳位と推定したが、数日後身元がわかり警察から身元確認の訂正文書が送られてきたのを見ると、なんと十五歳の少女であった。
わが目を疑ったが、中学を卒業したばかりの少女に間違いはなかった。
男としても、また監察医としてもそのような若い娘のからだを見るような機会は少なかったからでもあるが、女性の年齢を推定するのに、男を知ったからだか否かなどを基準にすべきではないことを、思い知らされた。

都内の建設現場などから、白骨が発見されることがある。
大半は戦時中の東京大空襲によるものが多い。
骨の鑑定は、経験や勘にたよるものとは違って形状、長さ、太さの計測値から性別、年齢などを推定する研究が開発されているので、苦にはならぬが、個人を特定するとなるとどの程度正確なものか疑問が残る。
バラバラ事件などでは、腕だけ、足だけあるいは胴体だけという場合があり、それも腐敗が加わって性別の特徴すら見分けられないこともあり、年齢も子供か大人か老人かぐらいの、大ざっぱな区別しか出来ない場合もある。
腕一本の検死のときに、五十歳と推定し数日後、足が発見され別の監察医が検死に行き、たとえば三十五歳と推定してくるようなこともある。これらは司法解剖によって、同一人物であるか否かが判断されるが、同一であれば執刀医によって統一された推定年齢が、つけられることになる。
警察ではドクターの推定した年齢をたよりに、身元を探し当てる作業に入るので、大きな誤差があっては、作業は遅れてしまうことになる。

真夜中、空地で火の手があがった。
近所の人がかけつけてみると、人間が火だるまになっていた。ポリ容器に灯油が少し残っていて、これをからだにかけライターで点火、焼身自殺したようであった。
翌朝、警察の霊安室で検死をすると、全身黒色にやけこげ焼死体特有のボクシング姿勢に屈曲していた。
顔は個人を識別することはできないほど、黒色炭化状にやけていた。頭髪もやけて一〜二粍《ミリ》に短かくなっているが、よく見るとわずかに白髪がまじっている。陰毛も同じようにやけて短かくなっているが、二〜三本白毛がみえる。
老婦人のように思えた。
歯を見ても若いとは思えないが、口の中に何か入っているのが見えた。ピンセットでつまみ出し、警察官に見せると、
「先生。ガムです」
という。
おかしいと思って、着衣を見せてもらったところ、大半はやけてボロボロになっているが、Gパンをはいている。靴も若い女性のものであった。
身なりからいうと、若い女性としか思えない。警察では三十前後と推定している。
しかし、私は六十前後のように思えるのだがと、意見は食い違った。
監察医補佐は、先生、白毛は個人差があるから、あてにしない方がよいのではとアドバイスをしてくれた。
いずれにせよ、理論的根拠などはなく勘にたよった判断であったから、私は中間をとって四十五歳推定として、検死を終えた。
数か月経って、身元が確認され訂正文書がきたのを見ると、五十九歳となっていた。
監察医はあくまでも死体所見から、ものごとを判断しなければならないのだと、つくづく思った。
からだの中で環境には影響されず、時間にだけ反応するようなものを、見つけ出せれば年齢の推定は確実になるのだがなどと、勝手な想像をする。
それにしても、このめざましい医学の発展の中で、法医学の現場はまだまだ勘や経験にたよった方法が、まかり通っているのである。
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