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死体は語る08

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:衝 撃昭和三十七年五月三日、午後九時三十七分、常磐線三河島駅付近において、下り貨物列車が脱線し、右側の下り客車用の線路に
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衝 撃

昭和三十七年五月三日、午後九時三十七分、常磐線三河島駅付近において、下り貨物列車が脱線し、右側の下り客車用の線路に傾いた。その直後、並行して走ってきた上野発松戸行きの下り電車が、この機関車に接触。上り電車の軌道内に傾いた。
この事故だけなら乗客たちは、軽いけがですみ、大事に至らなかった。ところが、乗客約千三百人の大半は事故と知って、電車から降り、上り電車の軌道内を歩いて避難しようとした。数分後、そこへ取手発上野行きの上り電車が乗客約七百人を乗せ、猛スピードで進行してきたのである。軌道内を歩いていた人たちは、その電車にはねとばされ、あるいは轢過《れきか》されてしまった。次いで上り電車は、現場に傾いていた下り電車に激突したのである。
その衝突で即死した人、転覆した車両の下敷きになった人……。一瞬にして百六十人もの生命が奪われる大惨事となった。現場は修羅場と化し、救急車やパトカーがサイレンを鳴らして続々と集まって来た。負傷者は周辺の病院に収容され、現場はもちろんのこと、一晩中広い範囲にわたってサイレンが鳴り響いた。
死体は病院やお寺などに運び込まれた。死体の損傷は著しく、そのほとんどが身元不明で、とりあえず番号札がつけられ安置された。
翌早朝、監察医務院では、日常業務の遂行者を除く全員が招集され、列車事故検死の特別班が組織された。時間がたつにつれ、身内が駆けつけて身元は徐々に判明していった。轢過されて手や足だけとなって発見された人体部分二十数個は、まとめて近くのお寺に安置されていた。警察や消防の組織だった活動は見事であった。監察医は検死のため、警察官と一緒に病院やお寺に向かった。列車にはねとばされて頭部外傷を生じたもの、轢過されたもの、そして転覆車両の下敷きになったものなど、凄惨《せいさん》をきわめた。サイレンを鳴らした車は、まだ街を走り廻っていた。周辺の居住者は、昨夜来一睡もできない状態であった。
遺体に腕が欠損している場合などは、遺族は警官に伴われて、人体部分の安置されたお寺に案内される。係官が遺体に合致する腕を探して、引き渡されるのである。
それから一ヵ月あまりたって、混乱もおさまりかけたある日のこと、遺族から長い手紙をもらった。事故に遭ったのは一人息子である。東北の高校を卒業し、単身上京、二年後、仕事を覚え郷里に帰り、父と一緒に働くことになっていた矢先に、事故に遭って右大腿《だいたい》部轢断、出血死したのである。しかし、轢断された彼の右下肢は発見されぬまま、葬儀はいとなまれたという。
以来、両親は息子の夢にうなされているという。事故に遭った死者はみな、三途《さんず》の川を渡って行くのに、息子だけは渡れずに川原を這《は》い廻り、お父さん、お母さんと助けを求めている。その声が聞こえ、幻が見えるというのだ。
そのはずである。彼の残された左下肢は、子供の時に軽い小児麻痺《まひ》におかされ不自由になっていた。健全な右下肢の方が、根元から轢断されていたのである。手紙は、「是非とも息子の右下肢を探してください」と結んでいた。胸をえぐられるような衝撃を受けた。
しかし次の瞬間、医師として、これはいかんという直感が走った。幻視、幻聴が現れるのは、すでに正常な状態とは言いがたい。一人息子に死なれた両親のショックは、はかり知れないものがある。そのために心因性精神病を発症したと思えたからであった。治療を急がねばならないと焦った。そのためには望み通り、右下肢を探し出すのが一番である。
しかし、常磐線は幹線である。事故より数日後には完全復旧して、運転は再開されていた。その現場を掘り返して探すわけにはいかない。それよりも、検死時に作成した死体検案調書を調べてみると、右下肢は大腿部のつけ根で挫滅《ざめつ》轢断状態となって欠如していると記録されている。おそらく列車に巻き込まれ骨片、肉片となって原形をとどめぬ状態になっていたため、一本の下肢の形としては、発見されなかったのであろうと推測された。
探すのは無理であり、断念せざるをえなかった。結局、精神科医の意見などを参考にして、ご両親の精神不安を取り除くべく、返事を書いた。
文通はこの一回だけであった。安らかな気持ちになったであろうか。そう思いたかった。しかし、逆に悪化し手紙も書けないほど荒廃してしまったのであろうか。思い出すたび、心は痛むのである。
私自身にも、経験があった。嫁であり、妻であり、二児の母でもあり、そして女医として短い人生を終えた姉がいた。それまでは、病気もせず元気だった母は、急に老け込み、長くは生きられなかった。健康というものは、栄養のあるものを食べ、体力をつけ、病気にならないことだけではない。精神面も快適な状態に置かないと、健康とはいえないものだと、つくづく思うのである。
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