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死体は語る10

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:死後も名医にかかれ町はずれの一軒屋に、老女と嫁の二人が住んでいた。嫁といっても五十近い勝ち気な女であった。ある日、老女が
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死後も名医にかかれ

町はずれの一軒屋に、老女と嫁の二人が住んでいた。嫁といっても五十近い勝ち気な女であった。ある日、老女がヤクルトを飲んだあと、急に倒れ意識不明となった。往診をしてもらい、手当てを受けたが、二時間後に死亡した。脳出血であった。
この家は、人なつっこい老女の性格もあって、行商人たちが縁側を借りて昼食をとる場所にもなっていた。姑 《しゆうとめ》が死んで、嫁一人となったが、その習慣は続いていた。
葬儀がすんで間もないある日、行商人がやって来て縁側で昼食をとりはじめた。嫁は、鯛味噌《たいみそ》をサービスに出した。これを食べた行商人は、間もなく苦悶、失神した。病院に収容されたが、間に合わなかった。これも脳出血と診断されている。
それから十日後、別の行商人が立ち寄り、出されたもろみ漬けを食べて、またもや急死したのである。一ヵ月という短い期間に、老女と行商人二人が次々と急死した。
不審に思った警察は、捜査を開始した。嫁はいとも簡単に自白した。ホリドール乳剤(有機燐《りん》系殺虫剤)を食物に混ぜ、中毒死させた後、金銭を奪ってから医師に通報していたのである。
もしも、この事件が長期にわたり、場所を変え散発的に発生していたら、さらに多くの犠牲者が出ていたかも知れない。診察した医師は、死因を脳出血と診断しているが、死ぬと瞳孔《どうこう》は散大するのが普通である。瞳孔の散大は、死の徴候の一つにあげられている。ところが、例外が一つだけある。有機燐剤中毒死の場合は、瞳孔が逆にきわめて小さく縮瞳した状態で死亡するのが特徴なのである。これを見落としたのであろうか。
初診の患者が、しかも診療時間が短いうちに急死したような場合、いかに名医であっても、死亡直前の患者を診て、死因を分別することは難しいので、医師は無理して診断を下す必要はない。正しくは、死因の明らかでない死体、あるいは異状死体として、警察に届出(医師法第二一条)をすればよい。
東京の二十三区内は、監察医制度が施行されているので、このようなケースはすべて異状死体として監察医が検死をし、検死によっても死因が判明しない場合には、行政解剖をして、死因を決定しているので、事件はすぐに発覚する。この監察医制度は、東京のほか横浜、名古屋、大阪、神戸の五大都市でしか施行されていないが、一日も早く全国的制度にしなければ、法の下の平等とはいえない。
とくに現在では、一県一医大になっているので、予算措置さえとれれば、不審な死亡例は、司法解剖という手続きを踏まずとも、日常の行政の流れの中で、容易に専門家の検死や解剖を受けることができるのである。
このようにして、変死者の死因を明らかにすることは、一見非情に思われるかも知れないが、実は死者の側に立って、その人権を擁護し、社会秩序の維持に役立つ、すばらしい制度なのである。
 新聞にこんな記事が載っていた。京都市内で酒好きな男が、酒瓶《びん》を抱いて路上で死んでいた。アルコール性肝障害による急性心不全、病死と診断され、解剖することなく検死は終わった。それから三年たったある日、覚せい剤取締法違反で逮捕された女の口から、酒瓶を抱いた路上死体は、保険金目当ての偽装殺人であるとの情報が得られた。
この事件に全く関係のない女であったが、当時彼女は加害者、被害者らと同じアパートに居住していたので、真相を知っていた。酒を飲ませてドライブに誘い、車内で鼻口部をタオルで押さえて窒息死させ、路上に偽装放置したというのである。犯人らは三ヵ月前に保険に加入させ、殺害後、間もなく一千万円の保険金を受け取っていたのだ。
検死は、あくまでも死体所見から死亡の原因を引き出すもので、状況は参考程度にとどめなければならない。ところが、この事件は死体所見をそっちのけにし、現場の状況から死因を判断したための誤算のように思われる。
 東京湾大井ふ頭近くの波打ち際で、中年女性の死体が発見された。少し腐敗が加わっていたが、顔に打撲傷らしきものがみられ、両頬は腫《は》れあがり、口唇の内側にも小さい挫創があった。その他、腕や膝《ひざ》にも皮下出血などが散在していて、自殺や事故死と考えるよりも、殴る蹴るなどして、海に突き落とされた可能性が強かった。
しかし、身元は不明でそれ以上の事情はわからない。とりあえず、殺しということも考慮に入れて、医務院で司法解剖をすることになった。
死因は溺死《できし》であったが、血液の化学的成分を分析すると、淡水による溺死のデータが得られた。海水で溺れると、海水中の塩分が血液に吸収されてナトリウム、クロールなどが著明に増加するが、本件では逆に血液は水で薄められ、血中塩分は減少していた。つまり川などで溺れた後、東京湾に流れついたと考えるべきであった。
そのころ、女の身元も判明した。夫婦げんかの末、夫に殴る蹴るの暴行を受け、彼女は死んでやると一言いい残して、夜半に家をとび出したという。二日後、東京湾で発見されたが、彼女の家の裏手は荒川の河口に近く、ここで入水し大井ふ頭まで約一〇キロ漂流してきたのだ。殺人事件かと身構えたが、入水自殺であった。
発見された現場の状況などにとらわれず、事実を追い続けて真相が明らかになった。死体をくまなく検索して、医学的事実を明らかにし、これをもとに状況などと組み合わせて事件の真相を解明しなければならない。そのためには、まず死体所見に精通した監察医あるいは法医学者が検死をすることが望ましい。
検死だけで死因がわからなければ、容易に解剖できる監察医制度、あるいはこれに類似の制度を確立しなければ、社会不安は除かれない。真相を見極めるための法医学であり、社会がこれを上手に活用すべきであろう。私どもは、風邪をひけば内科へ行き、けがをすれば外科へ行く。自分の体を守る上で、当然の選択である。
ところが、異状死体の場合、監察医制度のある地域は別として、検死は医師であれば何科の医師でもよいのである。生きてはいないのだから、治療の必要もないのだから、医師でありさえすれば誰でもよいとされているのである。
しかし、この考えは誤りである。検死は死体を診慣れ、死者と対話のできる監察医や法医学者にまかせないと、もの言わずして死亡した人々の人権は擁護できない。死んでからでも、名医に診てもらわなければならないわけはここにある。
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