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死体は語る12

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:終 焉飛んでいる野鳥の群れが急に飛散するのを見て、敵の軍勢が草むらに潜んでいることを察知し、いち早くこれに対応して戦に勝
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終 焉

飛んでいる野鳥の群れが急に飛散するのを見て、敵の軍勢が草むらに潜んでいることを察知し、いち早くこれに対応して戦に勝った武将の話がある。法医学も同じで、自然界の現象を観察し、学び応用している。
たとえば、山中などで群らがるハエを不審に思い近づくと、そこに人間の死体を発見するようなことがある。さらにウジの大きさ、サナギの状態、あるいはそこに集まるアリや昆虫、野ネズミ、また遺体に発生したカビ類など、いろいろな自然界の観察が死体の謎を解く鍵になる。独居老人の死なども、ハエの異常発生や悪臭によって発見されることが多い。
ところが、私の案内された安アパートの心中事件は違っていた。十月上旬のことである。
悪臭が鼻をつく。これだけ腐敗していると、必ずと言っていいぐらい室内にはハエが活気を呈して飛び回り、死体にはウジが無数に生息しているはずである。しかし、このケースにはハエもウジの発生もない。それどころか、室内をよく見ると数匹のハエが死んでいる。よだれや口元に飛んで来たハエは、そこをなめて死んだのであろう。
殺虫剤か青酸などの猛毒が考えられた。簡単なテストをすると、二人の口元と飲み残しのコップから青酸反応が出た。遺書にも、青酸カリを飲んで心中するという記載があった。さらに二人は帯で結ばれ、しかもその結び目は女の腰元にあった。
天国に結ぶ恋とでもいうのだろうか。ただ一つ気がかりなのは、女より男の腐敗がひどいことであった。
その他に矛盾は感じられなかったので、青酸カリ心中として事件を終結させようとしたとき、立ち会いの警察官から待ったがかかった。
女は数年前、結婚をしたが子供ができなかった。夫は酒好きで、女ぐせもよくない。酔っては酒場を転々と飲み歩いているうちに、ある店のホステスとねんごろになり、妻の元に帰ってこなくなってしまった。ある夜、酔って帰って来た夫に、妻は女と別れて家に戻るようにと、お説教を始めた。すぐに口論となり、うるさいと言って夫は台所から出刃包丁を持ち出し、暴れだした。殺されると思った彼女は、酔っぱらっている夫から出刃包丁をもぎ取り、逆に胸を刺してしまった。
夫殺しとして、現場に急行した警察官に取り押さえられた。警部補という幹部職にあるその警察官が、ここに死んでいる男なのである。
殺人犯と警察幹部の心中事件。耳を疑いたくなるような組み合わせであった。
警部補はこの事件を担当することになり、彼女を調べはじめた。警察に捕らえられた女性が、そこから逃げ出すことは容易ではない。しかし担当官を、好きよ、愛しているわ、とたぶらかすことができれば、女は警察を出ることが可能である。
ある当直の夜、二人は調べ室から忽然《こつぜん》と姿を消してしまった。出てくれば、男は邪魔になる。コーヒーなどに青酸カリを入れて、飲ませ毒殺する。
晴れて一人となって、逃亡しようと安宿を転々とするが、逃げおおせず、持ち金もなくなって、二〜三日後に殺しの現場に戻り、心中を装ってあとから自殺したとは考えられないか。それ故に、女の腐敗は男より少ないのだと。
立会官の推理は鋭い。当たっているかどうか、定かではないが、二人の腐敗差を考えれば、あながち間違いとは言いきれない。
──彼女は夫を愛し、他人に恨《うら》みをかうこともなく、真面目に生きてきた。ただ、その男と出会い結婚したことによって人生の歯車が狂ってきたとしか言いようがなかった。不運な女に取り調べの警察官が同情を覚え、調べが進むにつれて、好きになっていったのである。
警察官とて男である。折悪く、彼もまた妻との間が行き詰まって、離婚話がもちあがっていた矢先であった。魔が差したというべきか。駆け落ちまがいの事態になったとしても、不思議はない。警察当局は、この不祥事に、にがりきっていた。公開するわけにもいかず、ひそかに二人の行方を追っていた。失踪《しつそう》してから十日目、変わりはてた姿で発見されたのである。
中年の男と女が、帯で体を結んで死んでいる。誰の目にも、心中としか映らない。ただ、女よりも男の死体の腐敗が進行しているということから、もしかすると心中ではないと判断している、場数を踏んだベテラン刑事の実力の程が感じられた。
私も漠然と検死をしているわけではない。心中と判断したからには、それなりの根拠があったのである。悪臭たちこめる四畳半で、遺体を前にして監察医と立会官のディスカッションは続いた。
私は一年前の夏経験した、ある殺人事件の話を持ち出した。小遣いをせびっては遊びにふけっていた高校生の息子が、ある日父親から説教され、小遣いがもらえなくなってしまった。親父がくれなくても、おじいちゃんとおばあちゃんにもらうからいいよと、息子は捨て台詞《ぜりふ》を残して、電車で二つ三つ先の駅近くに住む祖父母の家へ向かった。
父はすぐに祖父に電話を入れ、息子が行っても金をやらないでほしいと連絡しておいた。間もなく孫がやって来て、小遣いをねだったが、祖父母は孫を座らせて、お説教を始めた。
叱られたうえに、金ももらえない。カーッとなった孫は、そこにあった日本手ぬぐいで祖父母の首を絞めて殺し、押し入れの上段に祖父を、下段に祖母を入れ、金を奪って逃げたのである。
三日後、二人の絞殺死体が発見されたとき、祖父はこの警察官と同じように腐敗していたので、死後三日くらい、祖母はこの女と同じ程度であまり腐敗していなかったので死後一日くらい、と推定した。
ところが、父親に連れられ自首した高校生の話では、五分くらいの間に祖父母二人を絞殺しているので、死後経過時間に差はなかったのである。閉めきった押し入れ、温かい空気は上に行く。このわずかな温度差が、死後変化に大きな影響を及ぼしていたのである。
そんな話を前置きにして、現場を見直すと、窓から西日がさしていた。男には直射が当たり、窓ぎわの女は壁で日は遮られていた。掛け布団が男に余計かかっている。
腐敗差はそのためであろう。たとえ、同じ部屋で一つの布団の中で死亡していても、ちょっとした条件の違いで、腐敗に大きな差が生ずることがある。心中と考えても矛盾はないと説明した。
警察官も、専門の先生がそうおっしゃるならば、私どもは何も言うことはないと、納得してくれた。事件は青酸カリ心中で終結した。
しかし、私の考えが正しいのか、警察の推理が当たっているのかはわからない。ただ二人の立場を考えれば、手を取り合って警察を抜け出したときには、すでに死への選択があったと思われるのである。
法医学は死後変化一つをとってもわかるように、まだまだ科学性に乏しい分野があり、経験などに負うところが多いものである。
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