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死体は語る16

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:髪の毛ワーテルローの戦いに敗れたナポレオンは、セントヘレナ島へ流され一八二一年に死亡した。当時、胃癌《がん》で死亡したと
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髪の毛

ワーテルローの戦いに敗れたナポレオンは、セントヘレナ島へ流され一八二一年に死亡した。当時、胃癌《がん》で死亡したといわれていたが、二十数年前、ナポレオンの毛髪から高濃度の砒素《ひそ》が検出されたため、毒殺説が出された。それによると、フランスのモントロン伯爵が、ナポレオンの復活を恐れて殺したのではないかとの推測になっている。
砒素はその昔、毒薬の王といわれ大きな役割を演じていた。無臭、無味、少量で毒性を発揮し、他人に感知されにくい薬物であったから、当然であったろう。急性中毒の場合は、嘔吐や下痢が激しく、脱水症状から、痙攣《けいれん》を起こし数時間のうちに死亡する。コレラに非常によく似た症状でもあった。粘膜や皮膚からも吸収され、慢性中毒になると、多発性神経炎から疼痛《とうつう》、下肢の麻痺、皮膚の発疹などが現れる。
わが国でも、昭和三十年、西日本を中心に、人工栄養児に限ってやせ衰えが目立ち、貧血となって発熱し、発疹や皮膚に褐色色素沈着が現れ、死亡するなどの奇病が続出した。調査の結果、粉乳製造の過程で砒素が混入したことがつきとめられた。有名な森永ドライミルク事件がこれである。
砒素は肝臓などのほか、骨や毛にも沈着する。今でこそ、砒素の使用は厳しい制限がしかれているが、十九世紀当時は薬、化粧品、塗料などに幅広く使われていた。とくに壁紙に塗られた砒素が気化して、中毒するケースが多く、死亡した人もあったという。ナポレオンの部屋にも、バラの花模様の壁紙が貼られ、砒素が使用されていた。
最近ナポレオンの毛髪が再検査された。それによると、砒素はごくわずかで、アンチモンが多量に含有されていることがわかった。十九世紀には、アンチモンも薬として多用されていたから、毛髪から検出されて不思議はなかった。したがってナポレオンが砒素に冒されていたとしても、軽症で致死量になるほどのものではなく、毒殺説は否定された。
二十数年前の分析技術では、砒素とアンチモンの区別が十分ではなかったため、高濃度のアンチモンを砒素と判断して、毒殺説が出てきたのである。結局、ナポレオンの死因はふり出しに戻った。
一本の毛、しかも百七十年も前の歴史上の人物についての論争であることを思うと、科学のすばらしさはともかく、英雄なればこそであり、興味は尽きない。
毛髪からどんなことがわかるかというと、まず、人獣毛の区別をする。人毛であるとなれば、発生部位、性別、年齢の推定、毛髪の損傷(パーマをかけているか否かなど)、散髪後の日数推定、抜去毛か脱落毛か、脱毛の原因、血液型、毛髪の微量含有物質など、かなりのことがわかるので、個人識別をすることも可能になる。
だから、たとえば食べ物の中に自分の毛髪を入れ不衛生だと食堂をおどすようなことがあったとしても、すぐにばれてしまうのである。
 登校中の女子高校生が行方不明になった。翌日、家族から捜索願いが出されたが、ようとして行方はわからなかった。十六日後、近くの山林で絞殺死体となって発見された。
この事件は、遺体の靴下に短く切られた毛髪が、百本近く付着していたことから一気に解決した。分析すると、この毛髪は数種類に分類され、理容業者の犯行が疑われた。
結局、はす向かいの理容店主で顔見知りの中年男が、いたずらをしようとして自宅に連れ込み、騒がれたために絞殺し、山林に捨てたことがわかった。
男はカーマニアで、捜索活動に愛用の車を使って協力していたが、犯行当日のアリバイなどがあいまいであり、また死体遺棄現場のタイヤの跡が、彼の車のものと一致するなど、不審な点を問いつめられ、ついに逮捕されたのである。
毛髪がらみの事件は他にもある。潮来《いたこ》の水郷地帯に全裸の女性死体が浮かんだ。コンクリートブロック三個が、おもりとしてつけられていた。死体を沈めるためにやったのであろうが、腐敗ガスが発生すると、土左衛門といわれるようにふくれ上がり、強い浮力を生じて水面に浮上する。ブロック三個ぐらいでは、とてもおもりの役目はなさない。
死後一ヵ月、六十歳前後と推定された。指先からどうにか指紋はとれたが、身元を割り出すことはできなかった。
これと符合する家出人や行方不明者を調べたところ、東京の世田谷で独り暮らしの六十一歳の女性が、ちょうど一ヵ月前、家屋敷を売り払い行方不明になっているとの情報があった。
顔かたちは腐敗のため、身内や知人でさえも見分けられないほど変形していた。そこで義歯、指輪などを見てもらったところ、本人に間違いないとの証言を得たが、これだけで個人を断定することはできない。
警察では、在宅指紋(住居内に付着している指紋)を採取し、照合すべく、世田谷の住居を訪れた。しかし、土地売却一週間後には、不動産屋によって、家屋は解体されてさら地になっていたのである。
さらにタンス、鏡台、食器棚など家財道具一切はつぶされて、東京湾の埋立地、夢の島に捨てられていた。個人を特定するような手がかりは、すべて消失していた。
この手回しのよさは、かえって疑惑を募らせる結果になったが、捜査は行き詰まっていた。
そのとき、髪の毛はどうだろうとの意見が出された。家屋敷を跡形もなく取り壊し、さら地にして証拠隠滅を図ったと思われる現場から、果たして髪の毛を見つけ出すことが可能であろうか。推理小説を地でいくようであったが、風呂場と思われる付近を掘り返したところ、地中の排水管の中に、ひからびてへばりついていたひとつまみの毛髪があったのである。
鑑定結果は、水郷の女性のものと血液型はもちろん、その他の特徴も一致し、世田谷の豪邸乗っ取り殺人事件は、半年で解決した。捜査、鑑識の大手柄である。
それにしても、茨城と東京。この遠隔の地を結びつけ、事件を解決したのは、女の命ともいわれる髪の毛であった。医学のめざましい発展の中で、現場の法医学は地を這《は》うように、ゆっくりと歩んでいる。
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