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死体は語る20

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:保険がらみ会社経営の母親が、事業不振から自殺をした。第一発見者である息子は、とっさに自殺では保険金がもらえないと判断し、
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保険がらみ

会社経営の母親が、事業不振から自殺をした。第一発見者である息子は、とっさに自殺では保険金がもらえないと判断し、ものとり強盗殺人のように現場を荒らし、偽装した事件があった。身内の死をたくみに利用した悪質な犯罪である。
似たような事件があった。睡眠剤を多量に服用し、死亡した若い女性の検死に出向いたときのことである。失恋から不眠症、ノイローゼとなり、彼女は睡眠剤を常用するようになっていた。
当時、睡眠剤は薬屋で自由に買うことができた。深い眠りの中で死ねるという安易さから、これによる自殺が実に多かった。
ある夜、彼女は酒を飲んだあと睡眠剤を多量に服用したため、家人が気がついたときはすでに遅く、入院加療したが帰らぬ人となったというのである。つまり誤って睡眠剤を飲みすぎたための不慮の中毒死であると、警察の調べに対して両親は語っていた。
しかし、いかに睡眠剤を常用しているにせよ、多くても十錠か二十錠位飲むことはあっても、致死量にも達する百錠近くも間違って服用するとは考えがたい。水に含んで一度に飲める量はせいぜい七〜八錠であろう。これを十数回も繰り返し服用しなければならないことを思うと、誤って飲んだとは到底考えられない。
立会官も不自然さを感じて調べ直したところ、両親は自殺では世間体が悪いし、また兄妹の結婚にも支障を来たすと考えて、遺書を焼き捨て、不慮の中毒死に置き換えていたのであった。
そればかりか、加入したばかりの生命保険もからんでいた。自殺では保険金はもらえないが、死ぬ意志のない事故死などであれば、倍額保障になるというものであった。保険会社の多くは、加入して一年以上掛け金を納めていれば、その後自殺をしても、受取人に契約した金額を支払うことになっている。しかし、一年未満の自殺には支払いはない。
自殺を前提に多額の生命保険に加入しても、死にたいという人の精神作用はいかんともしがたく、数ヵ月後には自殺をしてしまう。よしんば、目的を果たすため辛抱強く掛け金を納めて、一年を過ぎたような人があったとしても、その人はその時点でも早、精神的に立ち直り、自殺のできない人になっているという。
人間の心理とは、実に面白いものだと思う。ところが、最近の保険会社の統計によれば、加入後十三ヵ月目の自殺が急に増えだしたという。時代のせいなのだろうか。“命よりも金”なのである。
その中には犯罪がらみのケースもないとはいえない。会社側も一年という免責期間を二年にすることを検討中だという。
 一家四人がドライブに出かけた。夜十時すぎ、別府港に立ち寄ったが、どうしたことか岸壁から車ごと海に転落してしまった。妻と二人の子どもは車に乗ったまま海に沈んで溺死したが、夫は車から脱出し助かった。二人の子連れの女性と再婚したばかりの事故である。
警察の調べに対し、助かった男は、運転していたのは妻であり、単なる過失か、あるいは病身だった妻が心中を図ったものだと主張した。しかし、事故の数ヵ月前に妻子三名に災害時十倍保障、三十倍保障など計三億円にものぼる多額の保険に加入していたことがわかり、保険金目当ての計画的犯行として、男は起訴された。
公判での争点は、事故当時運転していたのは夫か妻か、海に転落した乗用車からどうやって男だけが脱出できたか、などであった。
事件直前、男が運転していたのを見たという目撃者の証言もあり、車の転落実験結果からも、男が運転していたものと判断され、大分地裁は冷酷で残忍な犯行として、男に死刑の判決を言い渡した。男には前科があり、犯罪を重ねて手口に磨きがかかった法廷闘争のベテランであるとの報道もあり、この事件は最高裁へ上告されたが、被告が平成元年一月十四日に病死したため、決着のつかないまま幕を閉じた。私の専門とする法医学は、真実に基づいて人権を擁護し、社会秩序を維持するための医学でもある。
一度しかない人生。
不正をしてまで、生きなければならないとは、わびしい限りである。
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