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死体は語る40

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:酒は百薬の長か戦後間もないころの、わが国の死因のトップは結核であった。ところが新薬の開発、医学の進歩、そして環境衛生の確
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酒は百薬の長か

戦後間もないころの、わが国の死因のトップは結核であった。ところが新薬の開発、医学の進歩、そして環境衛生の確立とあいまって、結核や肺炎、腸炎などの感染症による死亡は年々減少して、死因のベスト10から姿を消した。
これに代わって、現在は一位癌《がん》、二位心疾患、三位脳卒中が死因のベスト3となっている。これらは成人病ともいわれ、現在の医学では治せない病気だが、近い将来癌の治る時代が来るといわれている。しかし心疾患、脳卒中は、動脈硬化などが主たる原因で、これは寿命が来た枯木と同じでどうしても治せないので、その進行を遅らせ、予防するしか方法はない。動脈硬化は年齢とともに多かれ少なかれ、誰の体にも忍び寄ってくる。
しかし個人差、性差(女は男より少ない)、生活環境、体質など種々要因があって一概には言えないが、中年になると肥満し、血中コレステロール値も高くなり、血圧も高くなる。働き盛りの男はとくに要注意である。飽食、運動不足、ストレスなどがさらに拍車をかけ、心臓発作や脳卒中を誘発する。
動脈硬化は血管壁にコレステロールがたまって血管が脆くなり、内腔が狭くなるから血流は悪くなる。流れをよくしようと心臓は普段より余計に働くので、徐々に心臓は肥大し、血圧も高くなり、脳卒中や心臓発作を起こしやすくなる。長生きするためには、どうしても動脈硬化がこないようにしなければならない。
育ち盛りの子供は栄養のあるコレステロールなどをたくさん摂取する必要がある。しかし彼らには動脈硬化は見られない。成長エネルギーとして消費されてしまうからである。成長の必要のない大人は、おいしいものを食べ運動をしないと、動脈壁にコレステロールがたまってくるので、運動などをして体を動かし、これを消費してしまう方がよい。
二十年前の研究であるが、飲酒もまた動脈硬化を予防すると私は学会で発表した。心臓の栄養血管である冠状動脈を調べると、あまり酒を飲まない人たちが年をとると心臓は肥大気味になり、冠状動脈に硬化が現れて心筋は十分な栄養がとれなくなり、狭心症や心筋梗塞を起こしやすい危険な状態になる。ところが酒好きの人(アルコール依存症といわれるような常習多量飲酒者)は冠状動脈の硬化は少なく、心臓はむしろ小さくなっている場合が多いので、心筋は十分な栄養をとっているように思われた。しかし、顕微鏡で詳しく調べると、血管壁に水分がたまって、血液中の栄養や酸素が心筋に十分供給されていないため、動脈硬化と同じように心筋が変性萎縮《いしゆく》していることがわかった。
酒を飲まないと心筋梗塞を起こしやすい。依存症といわれるほど酒を飲むと、血管壁に水分が溜まって動脈硬化と同じように、心筋がだめになる。
どちらにせよ極端はよくない。両者の中間で酒一〜二合の晩酌は心臓、血管系にとって非常によい結果をもたらすものである。飽食を慎み、年齢相応の運動と適量の飲酒など、自分にあったリズムで生活環境を整えることが、動脈硬化を予防する上で最も大切なことである。
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