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死体は語る41

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:アルコール依存症酒に強い人と弱い人がいる。強いとか弱いというのは、飲酒の経験を積んだか否かによるものではなく、先天的要因
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アルコール依存症

酒に強い人と弱い人がいる。強いとか弱いというのは、飲酒の経験を積んだか否かによるものではなく、先天的要因によることが最近わかってきた。
体の細胞の中にアセトアルデヒド脱水素酵素という物質がある。この酵素が活発に働く人と、働きの弱い人が、生まれつきの遺伝で決まっている。酵素活性の強い人が酒を飲むと肝臓でアルコールはアルデヒドに分解され、さらに酢酸と水に分解されるので酔わない。活性の弱い人はアルデヒドの分解が不十分で、血液中にアルデヒドが出回り、酔いの症状が現れる。
前者は酒を飲んでもあまり酔わず、酒のうまさがわかってアルコール依存症になる傾向がある。後者は飲酒を重ねても、それほど強くはなれない。
飲酒経験の浅い若者がコンパなどで、先輩から飲め飲めとすすめられるまま、口あたりがよいので短時間に大量飲むと、あとでアルデヒドが分解されず血中に多量出回り、急性アルコール中毒症から心不全をきたして急死するなどの危険が起こる。
多量の飲酒(四合以上)を毎日続けていると、肝臓は脂肪肝から肝線維症となり、やがて治ることのない脂肪性肝硬変へと症状は悪化し、ついには食道動脈瘤《りゆう》破裂などを生じ、吐血、急死という結果になる。
男の依存症は酒びたりから仕事はそっちのけになって、収入も減り、上司からもうとんぜられ、身内からもつき上げられるから、反省を含めて一時酒量が減ることもあって、肝硬変になるまでにだらだらと十年くらいかかる。それでもやめられず、飲み続け家庭は崩壊状態になるケースが多い。
妻子に絞殺された酒乱の夫など悲しい話もあるが、それまでいかなくても、妻は子供をつれて家を出る。夫は独り暮らしから酒を飲み続けて吐血、急死か自殺へと追いやられる。
主婦の場合は止める人はなく、夫がいさめても飲酒をはじめた動機が夫の浮気などによる場合が多いので、かえってやけ酒をあおることになる。金がなくても主婦はツケで酒を入手できるので、肝硬変になるスピードは早く、五年くらいである。夫は妻を見捨てて他の女と同棲を始めたりする。結果は同じ、孤独な死である。
アルコール依存症の末路はあわれである。考えてみると、人間といっても細胞の集合体であり、細胞がアルコールを要求しているのである。体の中の細胞をうまくコントロールし、共存できなければ健康は保たれない。アルコール依存症になるのも、ならないのもそこにある。
自分の意志によって、細胞群の要求をある程度抑え、禁酒、禁煙などをして、体を調整することが必要であろう。この依存症は、嗜癖《しへき》に関することでもあり、衛生行政の届きにくい面もあろうが、検死の現場でしばしば遭遇すると、何とかならないものかとはがゆさを感ずる。都会の限られた地区の労働者にしか見られなかった依存症が、現在は全国の一般家庭の中にまで蔓延《まんえん》してきている。
アルコール依存症を個人の問題としてとらえていては、いつまでも解決はしない。温かく行政の手を差しのべ、家族ぐるみで対応し、明るい家庭、住みよい社会をつくるように努力しなければならないと思うのである。
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