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食生活を探検する24

时间: 2020-04-21    进入日语论坛
核心提示:砂漠のサシミ 北アフリカの遊牧民調査のときのことである。谷さんとわたしは三カ月間砂漠のなかで自炊をするつもりだった。そこ
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砂漠のサシミ
 
 北アフリカの遊牧民調査のときのことである。谷さんとわたしは三カ月間砂漠のなかで自炊をするつもりだった。そこへ梅棹忠夫さん(京都大学教授)も、あとから訪ねてくることになっていた。食糧は現地調達でまかなう予定だった。だが、最低限の日本食品は持っていかねばならない。やはり、ときどきは味噌汁やお茶づけの味を楽しみたいものである。国際線の航空機に無料で乗せることのできる手荷物は、二十キロまでである。トランクに、着がえや調査機具をつめると、食糧は二キロ程度しか入れる余地がなかった。
出発の前日、わたしはスーパーマーケットへ買いだしにいった。プラスチックのビンに入った〇・五リットル入りの醤油、四百グラム入りポリエチレン包みの赤味噌と白味噌各一袋、干シイタケ一袋、ダシ昆布一袋、罐入りの煎茶、昆布茶の小さな罐、七味トウガラシ、サンショウの粉、ワサビ、化学調味料、粉末になったウドンツユの素三十杯分、味付けノリ百円分、プラスチックの容器に入った塩昆布、ウメボシ、小罐入りの玉アラレ、日本茶、これだけが買物のすべてだ。千円札でオツリがくる。スーパーマーケットそなえつけの買物かご一杯にみたない量だ。
プラスチックのビン入りの醤油は、そのまま卓上ビンとして使える。ガラスビンよりも軽いし、割れる心配がない。量の不足は、はじめから明白であった。しかし、現地で手に入れるマギーソースと併用すること、主としてかけ醤油として使い、煮物には使わないつもりであった。西洋料理、中華料理などのレパートリーが広ければ、それだけ醤油の消費量はすくなくてすむ。
白味噌と赤味噌は、まぜて使うつもりで買った。そのときの気分に応じて、濃厚な白味噌と塩辛い赤味噌の配合を変えて味噌汁を楽しむ。パック入りのインスタント味噌汁という手もあるのだが、これはどうもいただけない。毎日同じ味になってしまい、あきがくる。ニューギニアで使った経験では、インスタント味噌汁のなかには、百日くらいすると変質して酸っぱくなるものがある。それに、粉末のインスタント味噌じゃ、酢味噌や味噌煮をつくれないじゃないか。少々重くても、味噌は本物に限る。ポリエチレン包装だったら、袋をやぶるまでは半年くらいおいても変質しない。砂漠のなかでは、カビも生えやしない。
干シイタケ、ダシ昆布は、ときどき、本格的な日本料理をつくるときのためのもの。軽いものだし、持っていったら重宝だ。昆布でダシをとったあと捨てるようなもったいないことはしなかった。とっておいて、次の食事のとき酢のものや煮ものの材料に使った。また、昆布を水につけておいて、もどしたあとの液をダシ汁に使う。もどった昆布を糸のように切るとナマスの材料になる。ヒツジのエサを失敬したウマゴヤシと糸コブをあえたナマスは砂漠料理のうち、好評を博したものの一つだった。
昆布茶は、飲料としてだけではなく、スープのダシにも使える。粉末のウドンツユの素は、うすくのばして|清汁《すましじる》にしてよし、煮物に使ってよし。重からず、かさばらず、醤油の不足をおぎなうには、絶好の調味料だ。
わたしたちが辛いものずきのせいもあって、七味トウガラシは、現地生活一カ月でなくなってしまった。さいわい、赤トウガラシの粉末は、アラビア料理の基本的調味料の一つなので、現地で手に入れることができた。オレンジをたべたあとの皮を二日も置けば、砂漠のこととて堅く干上ってしまう。これを粉につきくだいて|陳皮《ちんぴ》とする。白ゴマは町の市場で買ってきた。トウガラシの粉、陳皮、ゴマ、サンショウの粉をまぜて四味トウガラシをつくって代用品とした。
サンショウの粉は、七味の代用品を予想して持ってきたのではない。吸物や煮物にちょっとかけると、それだけで味がひきたち、料理が高級なものに感じられるからふしぎだ。サンショウの粉は、料理人のゴマカシの武器の一つである。中華風の揚物をしたとき、サンショウの粉を食塩にまぜたものをつけてたべると、中華料理屋の味がする。砂漠のまんなかでサシミでもないのにワサビの粉を持っていくとは、と思われそうだが、あとで種あかしをするようにちゃんとワサビの用途はあるのだ。
味つけノリ、塩昆布、ウメボシ、玉アラレは、カユ、茶づけ用の小道具である。身体の調子の悪いとき、オカユをつくるとなると、周囲の状況の見さかいなしに、塩昆布、ウメボシのたぐいがほしくなるものだ。こんなとき、日本の味が少量あると、たべる量が多くなり、回復も早い。これらは、食物というよりは、薬品としての役目で少量持っていくこととした。玉アラレを浮べてお茶づけにすると、料理屋で飲みおさめに一杯お茶づけをかきこんでいるような気分になる。
リビア王国の首都、地中海ぞいの街、トリポリで自動車を借りて砂漠へ入ることとした。ここでは重量を気にせずに、調味料、食品を大量に買いこんだ。街中探しあるいて手に入れた調味料のリストをあげてみよう。
塩、砂糖、酢、オリーブ油、バター、メリケン粉、片栗粉(ケーキつくり用のデンプン代用)の基本的な調味材料。
ソースのたぐいでは、マギー、アロマ、ウースターソース、トマトケチャップ、チリソース(タバスコ)、マヨネーズ、粉末でインスタントのソースとしては、ホワイトソース、トマトソース、オニオンソース。
香辛料は、コショウ、ガーリックパウダー、ジンジャーパウダー、シナモン、タイム、月桂樹の葉、マスタード。
チーズのたぐいで調味料としては、パルメザンチーズとドレッシングに入れる粉末になったブルーチーズ。
スープの材料として、各種のインスタントスープとコンソメの素(ブイヨン)。
飲物ではコーヒー、ココア、紅茶、粉末ジュース各種、もちろん酒を忘れはしない。そのほか、罐詰、乾物類も買いこんだ。料理のための小道具としてクッキング・ホイル、ポリエチレンのラッピング・フィルム(冷蔵庫へ保存する野菜を包むのに使われるヤツ)、石油ストーブなどを手に入れる。
 トリポリから内陸へ入ること約千キロ、フエザン地方のオアシスの一つに、家屋を一軒借りて、わたしたちは住みついた。オアシスといっても植物の生えている場所は、小学校の運動場の二、三倍の面積しかない。まわりは、一面の砂と礫の海。年間降雨量数ミリ。乾燥のきわみだ。すべてが荒涼としていて、うるおいがない。砂嵐がやってくると、黄色い壁が目の前にたちはだかったようで、五メートル先のものも見えない。
こんな荒々しい自然のなかで、わたしたちは実に優雅な生活を送っていた。わたしは、三十種以上の調味料を入れたボール箱を前にして、ごきげんだった。
日記から、晩食の献立をひろいだしてみよう。
 二月二十四日
ナマス——ネギ、ニンジン、ダシ昆布を糸切りにして三杯酢であえる。白ゴマをいって、きざんだものをふりかける。
芙蓉蟹——前日あけたカニ罐の残りを利用して作る。ソースは甘酢にチリソースとブドウ酒を入れて煮たてて、片栗粉を溶きこんだもので、アンカケにする。
ジャガイモの洋風煮つけ——コンビーフと拍子木に切ったジャガイモをいためたのち、ブイヨンを入れて煮こむ。
タマネギ、ニンニクのバター焼き——みじん切りにしたニンニクと輪切りのタマネギをバターをたっぷり使って焼く。タマネギの上に、粉チーズをふりかけてたべる。
ニンジンの葉のアンカケ汁——ウドンツユの素でつくった清汁に、使い残りのニンジンの葉を入れ、片栗粉を溶かしこむ。
二月二十六日
スモークド・オイスターとネギの酢味噌あえ——燻製のカキをオイル漬にした罐詰をあける。さらしネギといっしょに酢、白味噌であえる。この罐詰で、カキメシをつくってもいける。
にぎりずし——魚は地図上の直線距離で五百キロ離れた地中海か、千七百キロはなれたチャド湖にいかなくては手に入らない。トリポリで買いこんだスペイン産の干ダラをもどす。もどし加減にコツがいるのだが、呼塩を入れた水に四時間程浸しておくと、塩ぬきが終り、くせのない鯛のサシミと同じ味になる。この砂漠のサシミは鮮魚にひけをとらない。ニワトリを手に入れたときは、ササミ、スナギモのサシミをつくった。砂漠へ行くにも、ワサビが必要なわけである。この夜のニギリのネタは干ダラと、ハムであった。ハムでつくる洋風にぎりもオツである。
清汁——カキ罐の汁を利用してつくる。燻製のニオイでもって、油っこさを感じさせない。タマネギのみじん切りを浮べた、清汁とコンソメのあいのこ。
二月二十七日
オードブル盛り合せ——ハム、オクラとネギをカラシ醤油でねり合わせたものと、ウマゴヤシのオヒタシにいりゴマをかけたものを皿に盛る。
茶碗むし——砂漠でとれた松露を村人から手に入れる。にぎりこぶしほどの大きさがある。料理法をきいたところ、皮はかたいのでナイフでむく。えぐさをぬくために塩水で煮るとのこと。村人は塩ゆでしたものをそのままたべるのだが、せっかくの砂漠の幸、少々こった料理をつくることとした。
卵は、腹痛をうったえるジイサンに胃腸薬をやったお礼にもらったもの。何とちっぽけな卵なんだ。ピンポンのボールのほうがずっと大きいじゃないか。でも、ニワトリそのものが、小柄で、ガリガリにやせて骨と皮ばかりなんだから、卵が小さいのもあたりまえなのかもしれない。一人前に二個ずつ使わなきゃならない。後生大事にとっておいた干シイタケの最後の二片をもどして使う。もどした干ダラを入れ、アクヌキをしたウマゴヤシを三つ葉のかわりに入れる。ダシはウドンツユの素を使う。ナベの底に空罐をならべて、蒸器とし、プラスチックの茶碗のフタには、クッキング・ホイルをかぶせる。
タラの包み焼き——干ダラの塩分がわずかに残るところまでもどす。コショウ、タイムをふりかけ、チーズを切ってのせる。輪切りのレモンと一緒にクッキング・ホイルで包んで焼く。
オクラスープ——ブイヨンを溶かしたコンソメスープに、オクラをきざんで入れ、パプリカをきかして赤色のスープにする。
 右にあげたのは、特別にごちそうをつくったときの記録ではない。毎日、砂漠のなかで、こんな料理をたべていたのだ。谷さんもわたしも、人生を楽しむすべを、いささか心得ている。わたしたちの晩食は、大体二時間くらいかかった。炊事用のストーブをはさんでちびちびと飲みながら、料理をつくりながらたべる。オアシスに定着しているときばかりでなく、砂漠のただなかを自動車で旅行して、野営するときでも、四品か五品の料理を楽しんだ。キャラバンの最中だからといって、手をぬくことはない。テントが吹きとびそうな烈風の砂漠のなかでも、暖かい食事と酒の二時間をすごしたら、昼の疲れがけしとんでしまう。こんなとき、乾パンとジャムだけで食事をすませ、あとはすることもなしに寝袋にもぐりこむなんて、考えただけでもわびしい話ではないか。荒っぼい仕事をしているときほど、食物を楽しむ余裕がほしいものである。
わたしたちは、別にゼイタクをしたわけではない。これで、一日一人の食費は四百円以下である。罐詰だって、一日一個しかあけないのが原則であった。一度に一罐全部を使わず、翌日まで残しては料理に変化をつける。食料品店のないところで生活しているのだから、少しずつ、いろいろな材料を使うことが楽しみを長く持続させる秘訣である。
罐詰ばかりで現地の食物を活用していないじゃないかと苦情がでそうだ。わたしたちのいたオアシスで手に入るものといったら、ナツメヤシとほんの少量の蔬菜だけだ。ニワトリはガリガリにやせたものが一羽千円以上もする。罐詰のほうがずっと安い。ニワトリをつぶすのは、わたしたちにとって、一番のごちそうだった。
わたしたちは、現地の村人と全く別の生活をしていたわけじゃない。村人から食事にまねかれたり、こちらが招待したこともある。現地食になじむということだったら、わたしは半月間自炊をせずに、ベドウィン族と食事をともにしたこともある。
 ついでながら、ベドウィン族をふくめた北アフリカのアラビア人のあいだで一般的な料理であるクスクスのつくりかたを、紹介しておこう。
アルジェリアで一番うまいアラブ料理は何だい、と聞いたところ、クスクスだという答え。リビアで同じ質問をしたら、クスクスがリビアの代表的料理であるとの返事。ものの本を読んでいたら、モロッコの代表的料理はクスクスであると書いてあった。結局クスクスは、北アフリカの代表的料理ということらしい。
小麦粉をねって、これを手のひらの間でこすりあわせ、粟つぶ位の細かな粒にしたのが、クスクスのもと。現在では、ソウメンを細かくきざんだような機械製のクスクスの素を売っている。これを水気がなくなるまで炊くか、正式には蒸して、スープをかけてたべる。スープは、オリーブ油でタマネギその他の野菜、ヒツジ肉をいため、そこへ水を加えて、サフランのほか、さまざまな香辛料と塩を加えて作る。サフランの入ったスープをかけると、クスクスは黄色っぽくそまって、うつくしい。
これを大鉢あるいは、洗面器に入れて、右手の手づかみでたべるのだが、粟つぶのような小さなパラパラした細かい粒なので、指の間からこぼれる。うまくまるめて口にほうりこむことに失敗した場合は、顔中クスクスだらけにしたりして、なれないうちは、食いづらいことおびただしい。
アルジェリアでたべたクスクスには、おろしチーズがかけてあり、お国柄を思わせた。
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