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食生活を探検する34

时间: 2020-04-21    进入日语论坛
核心提示:誰が最初にフグをたべたか フグを食べるのは、日本人と中国人である。「河豚は食いたし、生命は惜しし」ということわざが、一六
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誰が最初にフグをたべたか

 フグを食べるのは、日本人と中国人である。「河豚は食いたし、生命は惜しし」ということわざが、一六四五年刊行の「毛吹草」第二巻にある。これが、フグが有毒であることをのべた、日本で最古の文献だそうだ。豊臣秀吉の朝鮮征伐のさい、各藩の軍勢が下関に集結した。産地のことゆえフグは、魚売りから簡単に求められる。料理法を知らないで内臓まで煮てたべては、中毒死する者が続出した。そこで、町の辻々に高札をだしてフグの絵を描いて、「この魚食うべからず」というふれをだしたという。
江戸時代のものの本になると、フグ中毒の話は枚挙にいとまがない。フグの毒にあてられたら、スルメをかじったらよいとか、会津産のロウをたべるべきであるとか、砂糖をなめたらよいとか、さまざまの解毒法が記されている。
一八二五年刊の「兎園小説」によれば、旅籠屋でフグ料理をしたとき、すてたフグの骨と内臓を小犬と猫がたべて中毒し、口から泡をふいて七転八倒し、犬はそのまま死んだ。猫は、よろめきながら座敷にあがって、ちょうど、座敷の壁紙をはるためにおいてあった、ツノマタのノリをたべたところ、たちまちにして中毒がなおったという。ツノマタとは海藻の一種で、これを乾かして壁土用のノリに使うものである。
フグの毒は、テトロドトキシンとよばれ、日本の学者によって研究が進められた。たいていの毒物と同じく、適量を使えば、フグ毒も薬になる。現在では神経痛、喘息発作の薬に使われている。フグ中毒の初期症状は、嘔吐をもよおすことである。フグ毒の動物実験の結果でも、猫は特に嘔吐しやすいため死ぬことはないとされている。末広恭雄氏は、経口的に毒を与えた場合、前記の話で犬が死んだのに、猫が生きのびたのは、ツノマタのせいではなく、猫は毒をはいてしまったからだろうと考えている。
 フグとナマコを最初にたべた英雄は誰だろうという話がよくでる。
日本人がフグをたべはじめたのは、文献にもあらわれない遠い昔のことである。日本各地の縄文式時代の貝塚からフグの骨が発見される。しかも、その大部分は、トラフグである。フグには、さまざまの種類があるが、トラフグが一番うまく、現在でも一番高価である。縄文式時代にも、フグのうまさを知っていたのであろう。
日本では、古代ほどサシミ、ナマスの類にして魚類の肉だけをたべ、内臓をたべなかったと思われるので、フグ中毒もそれほど多くはなかったのかもしれない。それにしても試験をうけて、「フグ調理師」の免許を持つ板前の手で、安心して、|てっさ《ヽヽヽ》や|てっちり《ヽヽヽヽ》がたべられるようになるまでは、次郎長一家のフグ中毒のように、多くのギセイ者が首だけだして、土中に身体を埋められたり、ロウソクを飲まされたりして苦しんだにちがいない。
赤嶋長安がフグ食いを、「暫時の口味に|泥《なず》んで身命を賭にするのは、密淫をする者の心持、その趣一なり」といっている。重ねて四つにされるのを覚悟で、不義の恋に生きるそのスリルと、あたることを知りながらフグを食うのも同じことという意味であろう。
フグの料理は、栄養摂取の手段としての食物と、異状嗜好との限界にあたる食物であろう。そしてまた、享楽としての食事のきわまったところといえよう。
フグの味を知らない外国人にとって、フグ料理は、明らかに異状嗜好のカテゴリーに入れられる。
ある英国人と食物の話をしているうちに、「ところで、われわれ日本人は、グローブ・フィシュをはなはだ好む」
と説明したところ、フグのグロテスクな姿しか思いうかべることができないらしく、フーンといった顔で、フグが毒魚であることを知らないらしい。そこで、
「日本人が好んで食べるグローブ・フィシュの一種は猛毒で、一尾の臓器だけで、三十人以上を殺すに足る毒をもっているのである」
てなことを言ったら、肩をすくめて、
「おまえら日本人は、なんとクレイジーなことよ」
とのたまった。
ところで、ナマコには骨がないので、貝塚では残らない。日本でナマコのあらわれる一番古い文献は「古事記」である。
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