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食生活を探検する49

时间: 2020-04-21    进入日语论坛
核心提示:大酒、大食いコンクール ひとは一昼夜に何回、息をするかごぞんじかな。ムジナとタヌキの区別は御承知だろうか。一つの胴体の両
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大酒、大食いコンクール

 ひとは一昼夜に何回、息をするかごぞんじかな。ムジナとタヌキの区別は御承知だろうか。一つの胴体の両端におのおの頭のある蛇の絵をみたことは?
文政八年に、新潟県で井戸を掘ったところ、石油を掘りあててしまった。これを見物しにきた、ヤギヒゲをしたヒゲ医者というあだ名のお医者さんが、チョウチンをさし出したとたんに、石油に引火して、自慢のヒゲをもやしてしまったことからはじまる油田の火事騒動を聞いたことがおありだろうか。
こんなことを知りたかったら、「兎園小説」をごらん下さい。たとえば、息の数については、古来、一昼夜に一万三千五百回という説から、三万六千五百回という説まである。しかしながら筆者が、五人について実験したところによると、一番息の長い人で、一万八千六百回、一番息の短い人で、三万四千七百四回であるといった工合に書かれている。本文には、もっとくわしいデータが列挙されている。
「ものの本」とはどんなものであるかを知りたかったら、「兎園小説」を一見することだ。滝沢馬琴、山崎北峯などが発起人になって、当時の文化人十二人が正会員のクラブをつくり、文政八年(一八二五年)の正月から十二月まで、毎月一回例会を開いたときの記事を編集したのが「兎園小説」だ。クラブ例会には、会員各自が見聞した珍しい出来事や、風俗、あるいは考証学的論文を各々筆記して持ちより、席上読みあげて発表しあった。いまなら、さしずめ、ディレッタント学会のレジメ集とでもいうべきものが「兎園小説」である。
「兎園小説」第十二集というと、十二月例会に発表された記事であるが、これに江戸でおこなわれた、大酒飲み、大食いの競技会の記録がある。
文化十四年(一八一七年)の三月二十三日、両国の柳橋にある|万《よろず》屋八郎兵衛方、略して万八楼で大酒大食いの会が催された。このときのレコードから、めぼしいものをひろいあげてみよう。
まず、酒組から。
チャンピオンは、芝の鯉屋利兵衛さん。年齢三十歳。三升入りのサカズキで六杯半というから、一斗九升五合を飲みほしたことになる。飲み終ったとたんその場に倒れたというから、壮烈な飲みっぷりだ。そのまま長い間寝こんだのち、目をさましてから、酔いざめの水を、茶碗で十七杯飲んだとのこと、二位が一斗五合だから、よほどの開きがある。
三位の金杉の伊勢屋伝兵衛さん四十七歳は、三合入りのサカズキで、二十七杯だから、八升一合だ。一位、二位が飲み終ったらひっくりかえったのに対して、伝兵衛さんはなかなかしっかりしている。酒を飲んだあと、メシを三杯食い、茶を九杯のんでから、いい気持になって、甚句を踊ったという。
酒量はそれほどでもないが、酒品のよいのは、山の手の六十三歳のサムライだ。藩中之人とだけ記されているのは、姓名を公けにするのをはばかったからに相違あるまい。一升入りのサカズキで四杯ほど飲んだあと、東西の謡をうたい、一礼して直ちに帰る、とある。
そのほか、二、三升の酒を飲みほした者は三、四十人ほどあるが、ものの数には入らないので記録せずとある。
菓子組の方はというと、八丁堀の伊予屋清兵衛さん六十五歳は、マンジュウ三十個、鶯餅八十個、松風センベイ三十枚をたべたうえに、タクアンをまるのまま五本かじったそうだ。御老体なのに丈夫な歯をしていたとみえる。
麹町の佐野屋彦四郎さん二十八歳は、米マンジュウ五十個、鹿の子餅百個をお茶五杯でたべた。
丸山片町の安達屋新さん四十五歳は、今坂餅三十個、センベイ二百枚、梅干一壺、茶を十七杯、の記録だ。五つ子の母親の|悪阻《つわり》でも、これだけの梅干をたべることはまずあるまい。
大メシ喰いコンクールの部では、普通の茶漬茶碗によそったメシを何杯たべられるかということで判定がなされた。オカズは万年味噌と、香のものだけで、お茶漬にして流しこむこともよしとされた。
横綱格になったのが、三河島の三右衛門さん四十一歳で、メシを六十八杯、スペシャルオーダーのオカズとして醤油二合でたべた。
第二位が、浅草の和泉屋吉蔵さんで、七十三歳のお年寄のくせに、からいものが大好きで、トウガラシ五十八個をオカズに、五十四杯たいらげた。
第三位の小日向の上総屋蔵平衛さん四十九歳は、メシを四十七杯。
 その後、十四年たった天保二年(一八三一年)九月五日にも、天保大食会として知られるコンクールが行なわれた。会場は前会と同じく万八楼。参加者百六十二名、会場受付で住所、氏名、年齢、職業を記入したうえ、次の間に通ると、ここで第一次予選が行なわれる。飯一合五勺入りの茶碗山盛りにしたメシ十五杯を味噌汁五杯でたいらげて、予選をパスしたのち、競技に出場することとなる。出席者は全員予選通過。本番の大食コンクールは、自由形で好きなものをたべられる。選手一同を円形にならべて、記録係三人、審判係三人、計算係三人を前にして、一同たべるわたべるわ。この時の大食記録保侍者を何人かひろいあげてみよう。
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