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国盗り物語12

时间: 2020-05-25    进入日语论坛
核心提示:奈良屋消滅 おりから、月がある。街路が、夜目にも白い。庄九郎は、左手に松明をかかげつつ、単騎京の夜を南へすっ飛んだ。「退
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奈良屋消滅

 おりから、月がある。
街路が、夜目にも白い。
庄九郎は、左手に松明をかかげつつ、単騎京の夜を南へすっ飛んだ。
「退《ど》け、退け」
とわめきながら、馬をあふってゆく。
——紅梅殿の廃墟《はいきょ》、いま流行《はや》りの一向宗道場、院庁《いんのちょう》の廃墟などをまたたくまにすぎ、竹田街道へ乗り入れた。八条の十字路で犬を一頭、蹴《け》殺《ころ》し、九条を出、東《とう》寺《じ》の山門前では、路上に臥《ふ》せている乞食の群れにぶつかるや、
「動くな、怪我をするぞ」
と、みごとな手《た》綱《づな》さばきで飛びこえ飛びこえして、羅生門《らしょうもん》の旧址《きゅうし》へ出た。
「なんじゃ、あれは」
颶《ぐ》風《ふう》のように駈《か》けすぎた騎影をみて、乞食どもがぼう然と立ちあがったときは、すでに庄九郎は西国《さいごく》街道に出てしまっている。
「魔性であろう、おおかた。——」
「怖《こわ》や」
と、口々にわめいた。
庄九郎は、駈けてゆく。
やがて前方、月明の空に、天王山《てんのうざん》の隆起がくろぐろとみえてきた。
そのふもとに、山崎の町の灯がみえる。
左手は、漫々たる淀川《よどがわ》の水。
(ああ、にぎやかなものだ)
庄九郎は、この付近にうまれただけに、山崎という商業都市が、京のような取りすました帝都よりもむしろ好きであった。
戸数はざっと三千軒以上。
深夜でも、難波《なにわ》からのぼってくる夜船が、荷積み、荷おろしをして、そのかがり火、たいまつの群れがしきりと動いている。戦場に似ている。
(さすが、山崎よ)
町の入り口で、ひらりと馬を降りた。深夜というのに路上に商人、人夫が行き交《か》って、とても騎乗のままでは通れないのである。
(日本一の賑《にぎ》わいじゃ)
とおもうのだ。
山崎の商都は、中世末期に栄えてその繁栄は戦国中期にまで及ぶ。庄九郎のころが、全盛の末期というべきころで、こののち、油を菜種からしぼることが発見されたため、この荏胡《えご》麻油《まあぶら》の商工業地はしだいにすたれ、二十世紀のこんにちでは、一望の竹藪《たけやぶ》と田園に化してしまっている。
ついでながら、当時の山崎市の中心である大山崎八幡宮は、国鉄東海道線ができたために境内を分たれて小さくなってしまったが、当時はおそらく敷地は一万坪もあったであろう。
鳥居の両側に、百三十軒の社《しゃ》家《け》屋敷がたちならび、町はずれには遊女屋がびっしりと軒をならべていた。
庄九郎は、神官津田大炊《おおい》の門をたたき、
「京の奈良屋でござりまする。火急のことあっておねがいに参上しました」
と町中ひびきわたるような声でさけぶと、門番が長屋門の窓から顔をのぞかせ、
「もう夜ふけじゃ。明朝にせい」
といった。
すかさず庄九郎は、銭袋《ぜにぶくろ》を窓から投げ入れた。しばらく待った。ききめは、てきめんだった。
「なんの用ぞい」
と小門がひらいた。
「事務官《ざっしょう》の松永多左衛門どのはおいででござりまするか」
と入りながらいうと、門番はねむそうな眼をこすって、
「御《ぎょ》寝《し》あいなっておるわ。何の用かは知らぬが、あすにせい」
「頼みまする」
と、庄九郎、腰がひくい。
「ばか、いまどき起こせばわしが叱《しか》られるわ」
「そこを折り入って」
「ならぬ」
「門番」
庄九郎は、いきなり言葉をかえた。
「うっ」
と門番がうめいたときは、庄九郎に利《き》き腕をとられてねじあげられていた。
「銭《ぜに》を食っていながら、わしのいいつけをきかぬと申すのか。この腕、へし折ってみせるが、よいか」
「ああっ」
「どうじゃ」
庄九郎の顔、本気でへし折るつもりらしく眼が血走っている。
「門番、うわさにも聞いていよう。わしがただの商人と思うては心得ちがいだぞ」
「お、おのれっ」
門番はもがいた。
「どうやら、折られたいようじゃな」
と薄っすら笑って門番の顔をのぞきこんだから、門番はさすがにおびえた。いったんおびえてしまえば他愛もなかった。くたくたと折りくずれて、
「と、とりつぎまする」
「よい心掛けである」
と、庄九郎は、銭をふやしてやった。
やがて庄九郎は、境内にある事務官(雑掌)の松永多左衛門の家へ入った。
多左衛門、
「何用だ」
と不興げにいったが、平素、庄九郎から多額なつけとどけを受けているので、ぞんざいにはあつかえない。
「じつは火急のことあり、殿様(神官津田大炊)にお会いしたいのでござりまするが」
「いま、何刻《なんどき》と心得る」
「まず、これを」
と、庄九郎は砂金を入れた小さな袋をとりだし、多左衛門のひざにのせた。
「おおさめくださりまし。かような用ならば夜でもご不快はござりますまい」
「ふむ」
多左衛門はふところにねじこみ、
「して、殿様に御用とはなんのことじゃ」
「いや、仔《し》細《さい》はござりませぬ」
と、ふところから、なめし皮の大きな砂金袋をとりだして、前へおいた。
「献上したいのでござりまする」
「これを?」
多左衛門の眼つきが、いやしい。
「いつにかわらず殊勝な心掛けじゃ。しかしこの夜分、お起こしするのはどうかと思うゆえ、暁《あ》けまで待て」
「待つと奈良屋がつぶれまする」
「つぶれる?」
「潰《つぶ》れてもよいと申されるならば、いつまででもお待ち申しまする。多左衛門様、いかがじゃ」
「仔細をいえ」
と、多左衛門は、たじろいだ。庄九郎の眼光が物凄《ものすご》かったからである。
「いや、仔細は殿様に拝謁《はいえつ》してから申しあげることにしましょう。いまはただ取りついでいただくだけでよろしゅうござる」
「仔細をきかねば、取りつぐわけには参らぬわい」
「すると多左衛門様はなんでござるか、それがしがせっかく宮《ぐう》司《じ》の殿に献金すると申し出ておるのをご一存で差しとめられるわけでござりまするな。あとでこのことが殿様にわかってお叱りをうけてもかまわぬ、と申されるのかな」
「お、おどすのか」
「おどしはしませぬ。この庄九郎、殿様に火急のおねがいがあって参っております。もし暁けがたになれば、奈良屋の店がつぶれているかもしれませぬ」
「だから、なぜ潰れるのか、そのわけを申し聞かせよといっているのだ」
「それは拝謁して申しあげます」
と、庄九郎、微動だにしない。
(いまごろは京の店はどうかな)
無事か。
いや、ぶじではなかろう。
(あれだけおおぜいの神人がむらがっているのだ。おそらく火をつけているか、屋舗を打ちこわしてしまっているか、どちらかだろう)
その奈良屋打ちこわしを庄九郎はひそかに待っている。
(奈良屋など、今夜をもってつぶれてしまえ)
と、庄九郎。
実をいうと、京の奈良屋を取りまいている神人が屋舗を打ちこわすであろうことを期待しつつ、つまり神人に打ちこわしの時間をくれてやるために、多左衛門とこの無用の押し問答をしているのである。
「されば多左衛門様」
と、庄九郎は、巧妙に折れて出た。
「おおせによって、いま強《し》いては拝謁をねがいませぬ。朝、お目ざめを待って拝謁ねがうことにして、そのかわり、この砂金だけはたったいま、お取りつぎねがえませぬか」
「おお、それならば」
黄金が入ることなら、夜中たたきおこされても津田大炊は厭《いと》うまい。人情である。
「庄九郎どの。よう聞きわけてくれました。この袋だけは、いま持って参上しよう」
と、多左衛門は立ちあがった。

一方、京の奈良屋をとりまいている山崎の神人どもは主人の庄九郎が逃げたとみて、
「わっ」
と門の中に乱入した。
一種の司法行為である。
油の専売権は、大山崎八幡宮がもっているということは何度も触れた。同時に、八幡宮は、その専売権をまもるために司法権ももっており、その司法権を委任されているのが、ここにむらがっている大山崎神人どもである。たとえば、寺でいえば叡山延暦寺《えいざんえんりゃくじ》や、奈良興福寺の寺領・教権を守っている僧兵のようなものだ。
だから、神人どもは堂々たる、
「警察軍」
として奈良屋を押しかこんでいるわけだし、打ちこわそうが、火をつけようが、すべて正当な警察行為なのだ。
乱世である。
「ま、まってくだされ。主人がほどなく戻《もど》って来ましょうほどに」
と赤兵衛が必死にささえたが、長《なが》柄《え》でむこうずねをかっぱらわれて倒された。
奥で杉丸が、お万阿をかかえて土蔵の中へのがれ、床板をめくって、地下室にひそませた。 
「杉丸、旦《だん》那《な》様はどうなされたのであろう」
「いや、ご安心くださりませ。旦那様は馬をとばして大山崎八幡宮に参られております。宮司様におすがりし、神人どもの乱暴をさしとめていただくよう嘆願されているはずでござりまする」
 そのとおりである。
庄九郎は、
「嘆願」
と称して、悠々《ゆうゆう》、事務官《ざっしょう》の屋敷で、夜明けを待っている。座ったまま、例の端正な姿勢をくずさず。
そのころ奈良屋に乱入した神人たちは、油《あぶら》桶《おけ》をうちこわしたり、めぼしい調度を掠奪《りゃくだつ》したりして乱暴のかぎりをつくしていたが、やがて神棚《かみだな》から、八幡宮の朱印状をさげおろして、庭のかがり火に投げた。
ぼっ、
と燃え、灰になった。
これで、奈良屋が大山崎八幡宮から許可されていた荏胡麻油の販売権は消滅したことになる。
奈良屋は、油商としてはつぶれた。
「よかろう」
と、神人どもが山崎にむかって引きあげをはじめたのは、丑《うし》ノ下《げ》刻《こく》もすぎたころであった。
 八幡宮にいる庄九郎は、一番鶏《いちばんどり》で悠々と口をすすぎ、二番鶏の鳴くころになって、雑掌屋敷に駈けつけてきた赤兵衛に対面した。
「しょ、庄九郎様っ」
と、赤兵衛が青くなって報告しようとしたのをかるく扇子でおさえ、
「奈良屋はつぶされたか」
といった。
「さ、さようでござりまする」
「まあ、落ちついて模様を話せ。いや、ちょっと待った。この話、わしひとりが聞くよりも、多左衛門殿の同座の上で聞こう」
と、多左衛門をよんだ。
赤兵衛、現場からたったいま駈けつけたばかりだから、話しぶりに巧まざる昂奮《こうふん》、恐怖がある。
ひとわたりの話がすむと、庄九郎はおもむろに多左衛門に眼をむけ、
「おききのとおりでござる。多左衛門様があのとき、お取りつぎくだされば、かような事態もおこらずに済んだ。奈良屋はこの町の神人につぶされましたが、これは多左衛門様の責任でござりまするぞ。どうしてくださる。まさか、云《い》いのがれはなさるまいな」
「そ、それは」
多左衛門は、事の重大さに色をうしなってしまっている。
「庄九郎、ど、どうすればよいのじゃ」
「それがしこそ、お聞きしたい。神人の乱暴は天災と同然でわれら商人には手がつけられぬ。かれらを差しとめる力は、宮司の殿しかない。その宮司の殿へのお取りつぎを多左衛門様はお拒みなされたゆえ、このような始末になった。つまりあなた様が奈良屋をつぶされたのも同然じゃ」
「庄九郎。——」
青くなっている。
庄九郎はからからと笑って、
「雑掌殿、気安うお呼びすてなさるな。奈良屋庄九郎、いまでこそは無腰の商人ながら、かつては武士じゃ。いまでも銭勘定よりは、弓《ゆみ》矢《や》刀槍《とうそう》の術のほうがうまい。店をつぶされた仇《かたき》に、ここで手並をみせましょうか」
用意の太刀《たち》をひきつけたから、多左衛門はいよいよ青くなって、
「ま、まあ、短慮するでない。そちとはかくべつ昵懇《じっこん》の間柄《あいだがら》じゃ」
「左様、金銀もずいぶんと差しあげたはず」
「ま、まったく」
と、多左衛門は意気地がない。
「どうすればよかろう」
「あらためて、朱印状をさげて頂きたい」
「し、しかし」
無理なのだ。神社側からいえば神人の身分などはるかに卑《ひく》いのだが、かれらに警察権を委任してしまっている以上、かれらが奪った奈良屋の「営業権」を、神社側で勝手に復活させることはできにくい。
「多左衛門殿」
庄九郎は、おかしそうに笑った。
「お智恵がないの。奈良屋はつぶされたが、庄九郎は生きておる」
「ふむ?」
「たったいまより、奈良屋の屋号をやめ、それがしの生地である山崎の地名を家号とし、山崎屋庄九郎とあらためたい。この山崎屋庄九郎に朱印状をつかわすというなら、八幡宮も御異存はありますまい」
「なるほど」
多左衛門は、ほっとした。
「さっそく宮司の殿にも拙者から申しあげ、社家の殿輩《とのばら》にもとりはからって、山崎屋庄九郎に朱印状がさがるよう、努力してみよう。それまで日《ひ》数《かず》はかかるが、京へもどって吉《きっ》左《そ》右《う》を待ってくれ」
「いや、ここで待っている。今日じゅうに御《ご》状《じょう》がさがるようはからってもらいたい」
「それはこまる」
「こまりはせぬ。わしの立場も考えてもみなされ。わしは奈良屋の入婿《いりむこ》じゃ。入婿が店をつぶしたとあっては、このままおめおめと京の内儀《かか》殿《どの》のもとに戻れませぬ。それとも多左衛門様はもどれと申されるのか」
「い、いや」
「多左衛門様。奈良屋には多少の財宝がござる。あなた様の仕事がしやすいように、百数十軒の社家の皆様や、神人の主だった衆に手厚く撒《ま》くつもりでござりまする」
「そ、それならば、見込みがある。さっそく御殿に参上するゆえ、そちはここでひかえているように」
「ああ」
庄九郎は、野太くうなずいた。
営業権はその日こそおりなかったが、庄九郎が滞留して三日目におりた。
狂喜したのは、心配のあまりずっと八幡宮に詰めきりだった、奈良屋子飼いの手代杉丸である。
「だ、旦那様。これで奈良屋の店も絶えずにすみました。ご料人様はどれほどおよろこびでございましょう」
「早速、そちが一走りさきに京にもどって報《し》らせてやれ」
「そう致しませいでか」
杉丸は、街道を京へ駈け出した。
そのあと庄九郎は数日逗留《とうりゅう》して、宮司、社家、神人頭たちに手厚く謝礼したあと、快晴の朝、社頭を馬で発《た》った。
右手は男山《おとこやま》。
ひだり手は、天王山。
まんなかの茫々《ぼうぼう》たる葦《あし》のなかを、淀の大河が流れている。
(山崎屋庄九郎か)
奈良屋が消え、庄九郎は自立した。
(もう入婿ではないわい)
いままでの立場では、庄九郎の自尊心がゆるさなかった。
その束縛から解放された。
(いまに見よ)
ここ数日の庄九郎のあざやかな智恵働きが、のちの「斎藤道三《どうさん》」の国《くに》盗《と》り工作の自信固めになったといえる。
庄九郎、駒《こま》の脚が軽い。
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