日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

国盗り物語71

时间: 2020-05-25    进入日语论坛
核心提示:菜の花 その夜、美濃鷺山城で、道三は、ねむれなかった。(あすだな)と、つい思うのである。例のたわけ《・・・》殿に会う。木
(单词翻译:双击或拖选)
菜の花

 その夜、美濃鷺山城で、道三は、ねむれなかった。
(あすだな)
と、つい思うのである。例のたわけ《・・・》殿に会う。木曾川べりの富田の聖徳寺に出かけねばならぬ。それにしても信長とはどういう男であろう。
(会えばわかることだ。そのためにこそ会うのではないか)
と自分にいいきかせてみたが、すぐそのし《・》り《・》から、
(はて、信長めは。——)
と、思うのである。道三は眼をつぶりながら、自分のおろかさがほとほとおかしくなってしまった。
(ながく、おれも人間稼業《かぎょう》をつづけてきた。しかも人を人臭いとも思ったことのないおれだ。そのおれが、これほどまでに隣国の若僧の存在が気になっている。……)
どういうわけだろう。
(相手が、むすめの婿殿であるせいかな?)
つまりひとなみな人情のせいか、と自問してみたが、そればかりではなさそうであった。
(あの若僧とおれは、ひょっとするとよほどふかい宿縁でつながっているのかもしれぬ)
と、いかにも坊主くさく思ったりした。宿《・》縁《・》という、わかったようなわからぬような、変にばく然とした宗教用語で説明するしか、この気持のしめくくりようがなかった。 
朝になった。
道三ははね起きて近習を呼び、
「支度はできたか」
と大声でいった。城内は、大さわぎになった。
道三は、すでに触れ出している時間よりも半刻《はんとき》はやく出発をくりあげたのである。
供まわりは武装兵千人。
これは、申しあわせにより、信長の側と同数である。ただ、道三は十人の兵法達者をえらび、駕籠《かご》わきにひきつけ、徒歩でつきしたがわせた。
万一、織田家から襲撃されたばあいの用心のためである。また同時に、ふと道三自身が、
——信長を刺せ。
と、とっさに命じねばならぬような場合の用意のためでもあった。
この日、天文二十二年の春である。よく晴れ、野の菜種の黄がまばゆいばかりに眼に沁《し》みた。
道三の行列は、その菜種のなかの道を、うねうねと南下してゆく。
(時勢が、かわってゆくことよ)
と、その菜の花を見るにつけても、道三はおもうのである。
道三の若いころは、最高の燈油は荏胡麻《えごま》から搾《しぼ》ったものであった。道三の故郷の大山崎にある離宮八幡宮《はちまんぐう》の神官がその搾《さく》油《ゆ》機械を発明し、専売権を得、その利潤で兵(神《じ》人《にん》)をやしない、はなはだ豪勢であった。道三はその荏胡麻油を売りながらこの美濃へきた。
が、いまでは、菜種から油をとることが発見され、荏胡麻油は駆逐され、大山崎離宮八幡宮はさびれた。
荏胡麻が菜種にとってかわられたごとく、戦国の覇《は》者《しゃ》どもも、あたらしい覇者にとってかわられるときがくるかもしれない。
やがて、木曾川《か》畔《はん》の村々が、野のむこうにみえてきた。
 その朝、信長は湯漬《ゆづ》けを食いおわると、濃姫の部屋にゆき、
「お濃、行ってくるわい」
と、いった。
「父にお会いなされましたならば、帰蝶《きちょう》は病みもせずに、達者でいる、とおおせてくださりませ」
「わすれるかもしれん」
と、干し豆を一つ、口に入れた。白い歯でがりがりと噛《か》みながら、
「ぶじに生きて戻《もど》れば、今夜、そなたを抱いてやる」
「不吉なことを」
「ばかめ。人の世はもともと、不吉なことだらけだ」
「変わったことをおおせられますこと」
「なんの、あたりまえの事をいっている。人の世が吉であれかしと祈っている世間の者こそよっぽど変人だ」
濃姫は笑うだけで、相手にならなかった。
信長は、表の間に出た。
家老《おとな》の青山与三右衛門をよび、
「申しつけたとおり、探索《くさ》者《もの》どもをくばったか」
といった。
青山は平伏し、
「みなことごとく行商《あきんど》に変装させ、富田の町の雑踏のなかに二十人ばかりばらまいてござりまする」
ふむ、と信長はうなずき、着替えをもってこさせてすばやく着替え、
「陣貝《かい》を吹け」
と、廊下へとびだした。

道三は、鷺山城から四里の道をゆき、ひる前、木曾川べりは富田の聖徳寺についた。
(まだ尾張衆はついておらぬな)
と、山門を見あげた。
聖徳寺は、三町四方の練塀《ねりべい》をめぐらせた城のような寺で、一向宗の寺らしく、白壁ぬりの太鼓楼をあげ、望楼、櫓《やぐら》の役目をさせている。
会見の場所は、本堂である。
方丈が、南北に二棟《ふたむね》あり、北の方丈が美濃の支度所にあてられている。
その方丈で道三はしばらく休息したあと、堀田道空をよび、
「会見の前に、信長をみたい。どこぞ、隙《すき》見《み》のできるような家を一軒さがすように」
と命じた。
ほどなく道空がもどってきて、「お供つかまつりまする」といった。
道三は、平服のまま山門を出、その百姓家に駈《か》けこんだ。
家は街道に面している。格《こう》子戸《しど》があって、その街道の様子が自在にみえた。しかも屋内が暗いため、そとからは見られる心配がない。
「これはいい」
と、道三はこの人のわるい趣向に、ひとり悦に入《い》った。が、そのいちぶ始終を、織田家から出ている探索者どもに見られてしまっていることを、道三は気づかない。
刻《とき》が移った。
街道はにわかにさわがしくなった。織田家の先触れがきて人を追いはらっている。
「殿っ、そろそろ尾張衆が参りまするぞ」
と、堀田道空がいい年をしてはしゃぎ声をあげた。道空だけでなく、美濃衆はみなきょうの馬鹿《ばか》見物がたのしみで、うかれ立っているのである。
「どれどれ」
と、道三は格子ぎわへ寄った。
陽《ひ》が、街道を照りつけている。走ってゆく先触れの足に、軽塵《けいじん》が舞いあがっていた。
やがてきた。
どどどど、と、踏みとどろかせるような、常識をやぶった速い歩きかたで尾張衆がやって来、道三の眼の前を通りすぎてゆく。
中軍に信長がいる。
やがて信長がきた。
(あっ)
と、道三は格子に顔をこすりつけ、眼を見はり、声をのんだ。
(なんだ、あれは)
馬上の信長は、うわさどおり、髪を茶筅髷《ちゃせんまげ》にむすび、はでな萌《もえ》黄《ぎ》のひもでまげを巻きたて、衣服はなんと浴衣《ゆかたびら》を着、その片袖《かたそで》をはずし、大小は横ざまにぶちこみ、鞘《さや》はのし《・・》付でそこはみごとだが、そのツカは、縄《なわ》で巻いている。
腰まわりにも縄をぐるぐると巻き、そこに瓢箪《ひょうたん》やら袋やらを七つ八つぶらさげ、袴《はかま》はこれも思いきったもので虎皮《とらがわ》、豹皮《ひょうがわ》を縫いまぜた半《はん》袴《こ》である。すそから、ながい足がにゅっとむき出ている。
狂人のいでたちだった。
それよりも道三のどぎも《・・・》をぬいたのは、信長の浴衣の背だった。背に、極彩色の大きな男根がえがかれているのである。
「うっ」
と、道空が笑いをこらえた。他の供の連中も、土間に顔をすりつけるようにして笑いをこらえている。
(なんという馬鹿だ)
と道三はおもったが、気になるのはその馬鹿がひきいている軍隊だった。信秀のころとは、装備が一変していた。第一、足軽槍《あしがるやり》がぐんと長くなり、ことごとく三間《さんげん》柄《え》で、ことごとく朱に塗られている。それが五百本。弓、鉄砲が五百挺《ちょう》。弓はいい。鉄砲である。この新兵器の数を、これほど多く装備しているのは、天下ひろしといえどもこの馬鹿だけではないか。
(いつ、あれほどそろえた)
しらずしらず、道三の眼が燃えはじめた。鉄砲の生産量が、それほどでもないころである。その実用性を疑問に思っている武将も多い。そのとき、この馬鹿は、平然とこれだけの鉄砲をそろえているのである。
(荏胡麻がほろび菜種の世になるのかな)
と、ふと道三はそんなことをおもった。
「殿、お早く、裏木戸のほうへ」
と、堀田道空が笑いをこらえながら、道三を裏口のほうへ案内した。
みな、畑道を走った。裏まわりで聖徳寺の裏木戸へ駈けぬけるのである。
北の方丈に入ると、礼装を用意していた小姓たちが待っていた。
「いや、裃《かみしも》、長袴などはいらん。おれはふだん着でよい」
と、道三は言った。相手の婿殿が猿《さる》マワシのような装束《いでたち》できているのに、舅《しゅうと》である自分が礼装をしているというのは妙なものだ、とおもったのである。
袖なし羽織に小袖の着ながし、それに扇子を一本、というかっこうで道三は本堂に出た。
座敷のすみに屏風《びょうぶ》をたてまわし、そのなかに道三はゆったりとすわった。
やがて、本堂のむこうから信長が入ってくるのを、道三は屏風のはしから見て、
(あっ)
と、顔から血がひいた。
さっきの猿マワシではない。
髪をつややかに結いあげて折髷《おりまげ》にし、褐色《かちん》の長袖に長袴をはき、小《ちい》さ刀《がたな》を前半《まえはん》にぴたりと帯び、みごとな若殿ぶりであらわれ、袴をゆうゆうとさばきつつ縁を渡り、やがてほどよいあたりをえらんですわり、すね者めかしく柱に背をもたせかけた。
顔を心もち上にむけている。
 平服の道三はみじめだった。やむなく屏風のかげから這《は》い出てきて、座敷に着座した。
が、信長はそれを無視し、そっぽをむき、鼻さきを上にあげ、扇子をぱちぱち開閉させている。
「か、上総介《かずさのすけ》さま」
と堀田道空がたまりかねて信長のそばへにじり寄り、
「あれにわたらせられるのは、山城入道《やましろにゅうどう》でござりまする」
と注意すると、
「デアルカ」
と、信長はうなずいた。このデアルカがよほど印象的だったらしく、諸旧記がつたえている。
信長はゆっくりと立ち、敷居をまたぎ、道三の前へゆき、
「上総介でござる」
と尋常にあいさつし、自分の座についた。
道三と信長の座は、ざっと二十歩ばかりの間隔があったであろう。たがいに小声では話しあえない距離がある。
ふたりは、無言でいた。
信長は例によってやや眉《まゆ》のあたりに憂鬱《ゆううつ》な翳《かげ》をもち、無表情でいる。
道三は、不快げであった。この馬鹿にふりまわされて平服で着座している自分が、たまらなくみじめだったのであろう。
やがて湯漬けの膳《ぜん》が運ばれてきた。
寺の衆が、膳を進める。
ふたりは、無言で箸《はし》をとった。無言のままで食べ、ついにひとこともしゃべらず、たがいに箸を置いた。
そのまま、別れた。
 道三は帰路、妙に疲れた。
途中、茜部《あかなべ》という部落があり、そこに茜部明神という社祠《やしろ》がある。その神主の屋敷で休息したとき、
「兵助《ひょうすけ》よ」
と、よんだ。
猪《いの》子《こ》兵助である。道三の侍大将のひとりで、近国に名のひびいた男であった。のち、信長、秀吉につかえた。余談だがこの家系は家康にもつかえ、旗本になっている。
「兵助、そちは眼がある。婿殿をどう思うぞ」
と、きいた。
兵助は、小首をひねった。
「申したくは存じまするが、殿の婿殿でありまするゆえ、はばかられまする」
と、そばの道空をかえり見、
「道空殿より申されませ」
といった。道空は膝《ひざ》をすすめ、
「まことに殿にとって御祝着《ごしゅうちゃく》なことで」
といった。
祝着、という言葉で、みなどっと笑った。美濃にとってもうけものだ、というのである。
「兵助も、道空とおなじか」
と道三がかさねてきくと、兵助ほどの男がひょうきんなしぐさで、
「はい、まことにおめでたく存じまする」
といった。
道三だけは笑わない。憂鬱そうな顔でいる。
「殿の御鑑定はいかがで」
と道空がいうと、扇子を投げ出し、
「めでたいのは、そのほうどもの頭よ。やがておれの子等は、あのたわけ《・・・》殿の門前に馬をつなぐことだろう」
といった。馬をつなぐとは、軍門にくだって家来になる、という意味である。
道三は夜ふけに帰城し、寝所にも入らず、燈火をひきよせ、すぐ信長へ手紙をかいた。
「よい婿殿をもって仕合せに思っている」
という旨《むね》の通りいっぺんの文章にするつもりだったが、書くうちに変に情熱が乗りうつってきて、思わぬ手紙になった。
「あなたを、わが子よりも愛《いと》しく思った」
とか、
「帰館してすぐ手紙をかくというのも妙だが、書きたくなる気持をおさえかねた」
とか、
「わしはすでに老いている。これ以上の望みはあっても、もはやかなえられぬ。あなたを見て、若いころのわしをおもった。さればわしが半生かかって得た体験、智恵、軍略の勘どころなどを、夜をこめてでも語りつくしたい」
とか、
「尾張は半国以上が織田家とはいえ、その鎮定が大変であろう。兵が足りねば美濃へ申し越されよ。いつなりとも即刻、お貸し申そう。あなたに対して、わしにできるだけのことを尽したい気持でいっぱいである」
とかいう、日ごろ沈《ちん》毅《き》な道三としては、あられもない手紙だった。
自分の人生は暮れようとしている。青雲のころから抱いてきた野望のなかばも遂げられそうにない。それを次代にゆずりたい、というのが、この老雄の感傷といっていい。
老工匠に似ている。この男は、半生、権謀術数にとり憑《つ》かれてきた。権力慾というよりも、芸術的な表現慾といったほうが、この男のばあい、あてはまっている。その「芸」だけが完成し作品が未完成のまま、肉体が老いてしまった。それを信長に継がせたい、とこの男は、なんと、筆さきをふるわせながら書いている。
 信長は帰城し、例の男根の浴衣《ゆかたびら》をぬぎすて、湯殿に入った。
出てきて酒をもって来させ、三杯、立ったままであおると、濃姫の部屋に入った。
「蝮《まむし》に会ってきたぞ」
と、いった。
「いかがでございました」
「思ったとおりのやつであった。あらためて干し豆などをかじりながら、ゆっくり話をさせてみたいやつであったわ」
「それはよろしゅうございました」
と、濃姫は笑った。言いかたこそ妙だが、これは信長にとって最大の讃《さん》辞《じ》なのだということが、濃姫にはわかっている。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%