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国盗り物語76

时间: 2020-05-25    进入日语论坛
核心提示:秘事 さて、挿《そう》話《わ》のつづきである。つまり、お勝・七郎左騒動。お勝の訴えをきいた稲葉山城主の義竜は、鷺山の道三
(单词翻译:双击或拖选)
秘事

 さて、挿《そう》話《わ》のつづきである。つまり、お勝・七郎左騒動。——
お勝の訴えをきいた稲葉山城主の義竜は、鷺山の道三につかいを送り、
「父上がちかごろお召しかかえになった者でもと織田家の家中佐久間七郎左という者がおりましょう。あれは尾張で理不尽に人を斬り、退転した者でござる。討たれた者のいいなず《・・・・》け《・》がけなげにも仇を討とうとおもい、それがしをたよって参っております。されば七郎左をおひきわたしねがいたい」
と、口上をのべさせた。
道三は、ぎょろりと目をむいた。目ばかりが動き、唇《くちびる》がうごかない。
沈黙している。この男がだまると、一種の凄《せい》気《き》が座敷にただようようであった。稲葉山城の使者は平伏したままふるえている。
庄九郎こと道三は、六十を過ぎてめっきりと老いこんだ。痩《や》せた。皮膚の衰えが尋常でなく、なにか、からだの深い場所に病気をもちはじめているのではないかとおもわれる色つや《・・》のわるさであった。
そのくせ、大きな眼だけが、やや黄味をおびてぎょろぎょろとうごくのである。もはや道三の覇気《はき》も壮気も肉体のあらゆる部分から蒸発し去って眼だけに凝集してしまっているようであった。
「ばけもの《・・・・》がそう申したか」
と、道三はやっといった。眼に怒りがこもっている。義竜が、子であるぶんざいをわすれて父にそのような要求をするとは、なんという増上慢であろう。しかも義竜は、佐久間七郎左を道三が可愛がっているということを百も承知のうえでこう要求してきているのである。信長からのあずかりものであることも、義竜は知っているはずなのだ。
「佐久間七郎左はな」
と、道三は声をふるわせながらいった。
「婿《むこ》の上総介《かずさのすけ》の幼童のころからの遊び相手で、その寵臣《ちょうしん》であった。わしは上総介からたのまれて七郎左をあずかった。わたせぬ——とそう言え」
使者は稲葉山城にかえり、「鷺山のお屋形さまはこのように申されました」と義竜に報告すると、
「ばかな」
と、大きな顔を赤黒く染めた。
「父上はわが子であるこの義竜よりも、隣国の婿どののほうが可愛いのか」
と怒号し、
「父上が左様な理不尽を申されるならば、こちらも考えがある。七郎左を奪いとるばかりじゃ。——小牧源太をよべ」
といった。小牧源太というのは、尾張春日井郡小牧のうまれで事情あって牢人《ろうにん》し、美濃に流れてきて道三にひろわれた。
道三隠退後、いまは息子の義竜のほうに出仕し、義竜からその武勇を愛されている。やがて、
「源太めでござりまする」
と、小牧源太は、義竜の前に平伏した。義竜は待ちかねたように、
「おう、はやばやとよう来た。いま鷺山にいる佐久間七郎左とそちとは同郷のうまれであったな」
「おおせのとおりで」
「顔見知りか」
「御《ぎょ》意《い》」
「さればたばかって、七郎左をこの稲葉山城下につれてこい。事情はこうじゃ」
と、お勝騒動の一件を話した。
「しかし鷺山のお屋形さまが七郎左はひきわたさぬ、とおおせられているのでござりましょう」
「かまわぬ。鷺山さまがお怒りあそばせばわしが矢表に立ってやる。——源太」
「はっ」
「主命であるぞ。そちが後ろ楯《だて》になってお勝の介添えをしてやり、七郎左を討って、ぶじ本懐をとげさせてやれい。源太、わかったな」
はっ、と小牧源太は平伏し、この瞬間に決意した。主命である、となればやむをえぬ。道三を見かぎって義竜の命を奉じよう、と覚悟した。それに、仇討の介添役というのは武辺自慢の者としてこのうえもない名誉である。
主従の関係よりも自分の武辺と自分の名誉を第一とする当世風の道徳のなかに、渡り者の小牧源太はいた。
「承知つかまつりましてござりまする」
やがて、お勝が義竜の侍女につれられてあらわれ、はるか下座で平伏した。
「あれが貞女お勝じゃ」
と、義竜はみずから紹介した。
そのあと小牧源太とお勝は別室にひきとり、あらためて対面した。
(美人じゃな)
と、源太は息をのむ思いがした。貞女烈婦などというからどれほどに強いおなごかと想像していたが、どちらかといえば男好きのする、抱き寝をすればどうであろう、と思いをめぐらしたくなるような女である。
「お上意により、それがしが仇討の介添えをつかまつる」
と、小牧源太がいうと、お勝はその大きな眼でじっと源太を見つめ、やがて頭をさげ、ひとえにおすがり申しまする、と、ややかすれた、意外にふとい声でいった。源太はぞくりとした。お勝が頭をさげるとき、えりもとがすこしくつろいで、胸の肉づきがみえたのである。小牧源太は、
「かならずご本懐を遂げさせて進ぜる」
と、叫ぶようにいった。これほどの女にたよられては、源太ならずともふるいたたざるを得ないであろう。
源太はその足で鷺山へゆき、城の大手門のそばに屋敷をもつ佐久間七郎左をたずね、
「おれだ、小牧源太だ」
といった調子で玄関に入って行った。佐久間七郎左はよろこんで迎えた。美濃で仕官をしている尾張者の先輩といえばこの小牧源太だけである。それが訪ねてきてくれた。なつかしさが七郎左を夢中にさせ、
「いやいや、痛み入る。当方から足を運んであいさつにゆくべきであったが、事にとりまぎれて遅れていた。向《こう》後《ご》、同国のよしみでよろしくおひきまわしねがいたい」
と、酒肴《しゅこう》を出して接待した。小牧源太は大いに飲み食いし、
「いや、馳《ち》走《そう》になった。この返礼というわけではないが、明後日、稲葉山城下のわしが屋敷まで足労ねがえぬか。漁師どもに言いつけて、よい鮎《あゆ》を獲《と》らせておくわい」
「それは楽しみな」
と、佐久間七郎左はよろこんで承《う》けた。
七郎左は、わな《・・》にかかった。約束の日、小牧源太の屋敷へゆき、鮎の馳走をうけ、さんざんに飲んだ。足腰もさだまらぬほどに酔ったころ、
「上意である」
と、にわかに小牧源太がとびかかってきて組みふせ、源太の家来どもも、とびこんできてまたたくまに手足をしばりあげ、屋敷内にもうけられた仮牢《かりろう》にほうりこまれた。
その翌日ひき出され、伊奈波明神の境内に隣接してあき地に仕つらえられた竹矢来のなかで、お勝と対面させられた。七郎左は剣をもって闘わされたが、小牧源太とその家来三人の槍《やり》に追いまくられ、高股《たかもも》を突かれてひっくりかえったところを、お勝の薙刀《なぎなた》で頸《くび》をはらわれた。それが致命傷になった。お勝はとりみだしもせずに脇差《わきざし》をぬき、倒れている七郎左のそばにちかづき、胸をえぐってトドメをさした。
この仇討は、
「稲葉山の仇討」
として近国にまで評判になり、烈婦お勝と勇士小牧源太の名は遠江《とおとうみ》、駿河《するが》あたりまでひびきわたった。
が、激怒した者がふたりある。
道三と信長である。

信長の立腹はすさまじい。
(お勝を殺してやる)
と決意した。信長の感情のなかでは、お勝は十分殺されるにあたいした。信長が道三にあずけた七郎左を、勝手に国抜けして隣国で殺しているのである。しかもあてつけがましく隣国の若い国主の後援をたのみ、信長に恥をかかせた。お勝の評判があがればあがるほど、信長の恥辱は大きくなる。
「お濃《のう》、お濃」
と信長は風聞をきいたあと、奥へどなりながら入ってゆき、
「きいたか、あの女の一件」
といった。濃姫も実家《さと》方《かた》でおこったこの事件を聞き知っていた。
「お勝は稲葉山城下で名をあげたということでございますね」
と濃姫がなにげなくいうと、信長は「お濃そなたまでがお勝の味方をするか」とどなった。
「めっそうもございませぬ」
「面目玉をつぶされたのは、おれと舅《しゅうと》の道三殿であるぞ」
「でも、お勝は貞女ではございませぬか」
「馬鹿《ばか》者《もの》」
信長は濃姫をなぐりたおしそうになったが、やっと自制し、
「お勝などよりも、それをあてつけがましく後押しした義竜こそ憎いわ。おれに余力があればたったいまでも美濃に攻めこんで、稲葉山城をかこみたい」
といった。義竜は濃姫の兄だから、信長にとっては義兄になる。
「お濃、義竜とはどんなやつだ」
ときいた。信長はすでに、義竜を攻略する想像にとりつかれているのだろう。
濃姫は、義竜についてのあらましをかたった。体が異常に巨《おお》きいこと、気ちがいじみたほどの武芸好きであること、表情がにぶいわりにするどい神経をもっていること、などを話した。
「それが、そなたの兄か」
「いいえ」
と、濃姫はくびをふり、しかし信長を見つめたまま口をつぐんだ。言うべきかどうかを、とまどっている表情だった。
「どうした」
「あの、義竜どのはわたくしとは血のつながりはございませぬ」
と、思い決したように一気にいった。信長は、「ん?」と妙な貌《かお》をした。意外なことをきいたときのこの男のくせである。
「兄ではないのか」
「はい。兄ではございませぬ」
と、義竜出生の秘密をあかした。
「すると、深芳野なる女が、先代頼芸のたね《・・》を宿したまま 蝮《まむし》殿の側室になったわけであるな。義竜自身は、道三殿の子でないことを存じておるか」
「さあ、それはわかりませぬ。あのように表情のにぶいひとでありますゆえ」
「お濃」
信長は、するどくいった。
「その秘密を義竜自身が知れば、道三殿は殺されるだろう」
信長はそう言いすてて部屋をとび出し、表の間へ駈《か》け、すぐ美濃へ使者を出発させた。
「お勝の身《み》柄《がら》を当方へわたせ」
という使者である。さらに道三に対しても別に使者を立て、「義竜を説いてお勝を尾張へひきわたさせるように取りはからってもらいたい」と口上をのべさせた。
翌日遅く使者がもどってきて、義竜からはねつけられた旨《むね》を報告した。
「もう一度ゆけ」
と、信長は、人を変えて出発させた。義竜が拒絶をつづけるかぎり、毎日でも使者を送るつもりであった。
が、義竜はまたもはねつけた。
 一方、道三である。
この男は、信長が陽気に殺気だったのとはちがい、この事件についてなにもいわなかった。事件でもっとも手ひどい傷をその感情にうけたのは、道三であるはずだった。婿からあずかっている家来を、義竜の詐略《さりやく》でひきだされ、なぶり殺し同然のやりかたで殺されているのである。
が、だまっていた。側近の堀田道空が、
「たいそうな評判でございますな」
と水をむけたときも、
「そうか」
と、いったなりで、話題をすぐ変えた。が、そのぎょろりとした眼だけは熱っぽい。たれの眼からみても、道三がこの事件について義竜をよほどはげしく憎みはじめていることが読みとれた。しかし道三は沈黙している。
この怒りを、どう表現すべきか、道三は思案をしていた。庄九郎、といっていた若いころから道三は、ほとんど怒りというものを他人にみせたことがなかった。かといって、その性情が温和である、というわけではない。この男はじつは怒りっぽい。しかし思慮のほうがはるかにふかい。その怒りを腹中ふかく沈め、思慮をかさねたあげく、それを他のものに転換してしまうのである。蝮といわれるゆえん《・・・》だろう。
いま、道三は、義竜にむかって怒号するよりも、
(義竜をどうしてくれるか)
という転換の方法《・・》に苦慮していた。
数日、無口な起居をつづけたあげく、
(廃嫡《はいちゃく》してくれよう)
と決意した。義竜の地位をとりあげ、それにかわって「義竜の弟」ということになっている自分の実子をその地位につけるのである。怒りの転換は、それしかない。
道三には、数人の実子がある。この鷺山城で同居していた。そのうち、孫四郎、喜平次という二人がすでに成人している。どちらもこの親にはおよそ似つかわしくなく、気がよわくて能力もなかった。道三自身、
(くだらぬやつらだ)
と絶望的な気持でかれらを見、ゆくゆく武将などにはしたくないと思っていた。武将という権謀術数の世界におれば、お人よしの貴族の子などはおだてられてやがては殺されるがおち《・・》であろう。頭を剃《そ》らせて僧門にでも入れるか——とまで考えていたのである。
(その孫四郎を、あとに就《つ》けよう)
と、道三は物《もの》憂《う》げにおもった。気のすすまぬことだが、義竜を稲葉山城に据《す》えているよりも感情が安まる。
そう思っていたやさき、信長から使者がきたわけである。
「お勝の一件でござりまする」
と使者は言い、主人信長の口上を伝えた。
道三はうなずき、
「佐久間七郎左はふびんな仕儀に相成った。婿殿から頼まれ甲斐《がい》もなく申しわけないとおもっている。しかし、お勝はここにはおらぬ。義竜の稲葉山城のほうにおる」
「存じておりまする。さればお父君の御威権をもって、稲葉山のお屋形さまに、お勝を織田家にひきわたすよう命じていただきたいのでござりまする」
「むりだな」
道三は苦笑した。
「義竜はちかごろ増上慢がつのって、もはやわしの手にも負えぬ。使いを出しても追いかえされるだけであろう」
「……しかし」
お父君ではありませぬか、と信長の使者がいおうとすると、道三はおさえ、
「わしには考えがある。しばらく待て」
といった。
使者はよろこんで帰った。このとき道三が尾張の使者にいった「考えがある」という言葉は、たちまち美濃一円を走り、稲葉山城にもきこえ、義竜の耳に入った。この男の耳に入ったときには、
「鷺山のお屋形さまは、お屋形さまを廃嫡して孫四郎様をお立てあそばすおつもりらしゅうござりまする」
という言葉に変わっていた。義竜はきくなり、
(さもあろう)
と、おもった。成人してこのかた、道三の自分に対する態度が異常につめたい。一方では弟たちを溺愛《できあい》している。その弟に自分の位置を譲らせようとの魂胆は、当然あの父ならばおこしそうである。
義竜はむろん、いまの地位から離れたくはない。
(いっそ)
と、おもった。こちらから決起してあの父と弟どもを追うか、とまで思いつめた。しかし父を追えば国中の信望をうしなうであろう。
思いあまって、ひそかに長井道利《みちとし》をよび、相談した。長井家は、かつて美濃の小守護として栄えた家だが、いまは所領の大半をなくし、当主道利は義竜のお咄衆《とぎしゅう》として禄《ろく》をもらい、飼いごろしのようなかっこうで世を送っている。
このいわば半生をほそぼそとあそんで暮らしてきた男が、義竜から余の家来にもいえぬ悩みをうちあけられたとき、しばらくとまどっている様子だったが、やがて思い決したような表情で口をひらき、義竜の世界を一変させるような秘事《・・》を、ぬるりと吐いた。
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