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千里眼15

时间: 2020-05-27    进入日语论坛
核心提示:JAI それからすぐに、美由紀は編集長の朝霧を助手席に乗せて、目黒区のはずれにあるという好摩の仕事場へとクルマを走らせた
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JAI

 それからすぐに、美由紀は編集長の朝霧を助手席に乗せて、目黒区のはずれにあるという好摩の仕事場へとクルマを走らせた。
いいクルマですな、と助手席でつぶやいた朝霧は、しだいに緊張も解《ほど》けてきたらしく、矢継ぎ早に美由紀に質問を繰りだしてきた。
住まいはどちらで? ご結婚を考えているようなお付き合いとかないんですか? 連日大勢の人にカウンセリングを求められているそうですが、いまの稼ぎはおいくらぐらい?
独占インタビュー風の記事でもでっちあげようとしているのだろう。美由紀は気のない返事をして、お茶を濁そうと考えた。
と、そのとき、朝霧がいった。「もうすぐご両親の命日ですが……」
美由紀はすかさず、朝霧に目を向けた。
にらまれた朝霧は失言と悟ったらしい、咳《せき》ばらいをして、なんでもありませんとつぶやいた。
前方に目を戻し、ステアリングを切りつづける。心のなかで張り詰めたものを、ほぐそうとため息をつく。
過去のことだ、と美由紀は自分に言いきかせた。
 好摩の事務所兼仕事場は、住宅街のなかの三階建ての貸しビル内にあった。白いタイルに包まれた、シンプルだが洒落《しやれ》た造りのビル。この立地なら賃貸料もそれなりにするだろう。
ビルの脇には二階につづく階段があった。好摩は、その二階をまるごと借り切っているらしい。
階段の前に立って美由紀はいった。「とても売れっ子さんだったみたいね……」
「とんでもない」と朝霧が苦笑を向けてくる。「フリーライターなんて、まっとうに名が売れている連中でも、同世代のサラリーマンほどにゃ稼げませんよ。好摩も例外じゃありません。次の仕事も、歌舞伎町の中華料理店のレジ泥棒を警察より先に暴いて記事にするとか、つまらんことを鼻息荒く語ってましたから」
「けど、この事務所は……」
朝霧は階段を昇りはじめた。「出版以外のサイドビジネスが成功してたってことでしょう。なにに手を染めてたかわかったもんじゃありませんけどね。内縁の妻がいるという噂もあったし、とにかくこっちとしても、金にならなきゃ付きあいたくない男ですよ」
美由紀も朝霧の背につづいて階段をあがった。二階専用のエントランスの前で、朝霧がチャイムを鳴らす。
しばらく待ったが返事はなかった。朝霧がぶつぶつとつぶやく。おかしいな、明かりは点《つ》いているみたいだが。
ドアの錠は鍵穴《かぎあな》ではなく、テンキーの埋めこまれた電子ロックだった。朝霧がキーを押す。1、8、6、3。
「暗証番号が間違っています」と電子音が告げてきた。
朝霧は首をひねりながら、何度もその四|桁《けた》を繰りかえし打ちこんだ。「妙だ」
「番号を知ってるの?」
「以前に、留守中に原稿を取りに来るときには勝手に入ってもいいと言われてましてね。アメリカの奴隷制度が終わった年だといってましたから、リンカーンの奴隷解放宣言の年号でしょう。だから1、8、6、3と……。また駄目だ。どうしてだろうな」
「わたしに試させて」と美由紀は身を乗りだした。思いついた数字を入力する。1、9、9、5。
ピッと音がして、開錠された。ノブをひねると、ドアはゆっくりと開いた。
驚いたようすで朝霧がたずねてくる。「なんですって? 一九九五年?」
「そう。ミシシッピ州だけが奴隷制度の全廃を州憲法に記載するのを忘れててね。二十世紀の終わりになってやっと気づいた人がいて、修正された。だから正確には、合衆国の奴隷制度が終わったのは一九九五年」
「知らなかったな」
「あなたを困らせてから正解を告げるつもりだったんでしょうね。いたずら好きな面もあるってことかしら。でも嘘をついたわけじゃないから、虚言癖ってわけでもないだろうけど」
「どうだかね。あいつは信用できん男ですよ」朝霧は苦い顔でそういって、先にドアから入っていった。
美由紀も慎重に事務所のなかに立ち入った。無人のオフィス、内装は上品なヨーロピアンモダンに統一されている。天窓から明かりが差しこんでいるほか、デスクの照明も点灯したままだった。
デスクの上に散らばっているのは、ジャンボ旅客機の整備用の図面のようだ。詳細な座席配置図、コックピットの計器類の解説図もある。客席の天井裏にあるフライト・コントロール・ケーブルの配線図さえもあった。それら書類にはJAI、ジャパン・エア・インターナショナルのロゴが刻印されている。
市販されたものではなく、航空会社から持ちだしたもののようだ。美由紀は朝霧にいった。「旅客機のことを本気で調べあげようとしていたのは確かみたいね」
「はったり記事をでっちあげるための資料かもしれんがね」朝霧は奥のドアに近づいていった。「こっちは書庫だけだと思ったが……」
と、朝霧がドアを開けたとたん、叫びをあげて立ちすくんだ。
びくっとして美由紀は顔をあげた。朝霧に駆け寄りながらたずねる。「どうかしたの?」
朝霧はひきつった顔で、書庫のなかを指差した。
そこには、吊《つ》るされたロープに首を巻きつけたスーツ姿の男の死体が、干し肉のようにだらりと垂れさがっていた。
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