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千里眼19

时间: 2020-05-27    进入日语论坛
核心提示:昭和四十三年 その中華料理店は、歌舞伎町の一丁目と二丁目の境にあった。雑居ビルにはさまれた、こぢんまりとした店だ。高級感
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昭和四十三年

 その中華料理店は、歌舞伎町の一丁目と二丁目の境にあった。雑居ビルにはさまれた、こぢんまりとした店だ。高級感はなく、完全に大衆向けだった。
美由紀は自動ドアを入った。中華料理といっても、ほとんどラーメン店に近い。カウンターとテーブルにひとりずつ客がいるだけだった。昼どきにしては寂しいが、店内はわりと清潔な印象がある。
店は女主人がひとりで切り盛りしているように見えた。女主人は中国人で、日本語はほとんど話せなかったが、美由紀は彼女の言葉に合わせて中山方言の広東語できいた。フリーライターの好摩さんが、ここで起きた事件について取材してたはずですけど……。
女主人はカウンターのなかで皿を拭《ふ》きながら、ぶっきらぼうに応じた。しょっちゅうレジの金銭を盗んでいく泥棒の被害に遭っていたが、盗まれた金は数日経つと、なぜかレジにこっそりと戻されている。そういうことがたびたび起きたらしい。
好摩は二か月ほど前、暇な休み時間にぶらりとやってきて、この辺りの泥棒被害について取材しているといった。女主人は、警察に届けたいが日本語がわからないし、少額だから受けつけてもらえないかもしれない、好摩にそういった。
けれども好摩は、通報はよしたほうがいいと逆に諭してきた。お金が戻っていたのなら被害とはみなされないだろうし、日本の警察は中国人に不親切だから協力してくれないだろう、そう告げたという。
この件は匿名で記事にしたいと好摩は言い、五万円の謝礼を置いていった。女主人はそれを受け取り、記事の件についても了承したらしい。彼と会ったのは、それきりのようだ。
笹島が口をはさんだ。「いちどにつき、いくらぐらい盗まれたんですか?」
美由紀が通訳すると、女主人は答えた。「多いときは七百円ぐらい。少ないときには、七十円とか」
妙に思って美由紀はきいた。「そんなに少額のお金が消えていることが、よくわかりましたね? これからも心配ですね」
「今後はだいじょうぶ。レジのなかの金額も、貨幣それ自体もしっかり管理してるから」
「というと?」
「ほら、これ」女主人はノートを見せてきた。「ここに紙幣の番号とか、ぜんぶ書いてある。硬貨の場合は年号」
ノートにはびっしりと鉛筆で、紙幣と硬貨の種類と番号または年号、枚数が一覧表になって日ごとに書きこまれていた。
よほど盗まれたくないと思っているのだろう。しかし、なぜかノートの表記はすべて日本語だった。
「これは誰が書いたんですか」と美由紀はきいた。
「吉野律子《よしのりつこ》」女主人は答えた。「ここで働いてもらってるバイト。日本人の、二十歳の娘《こ》」
「従業員を雇っているんですか」
「ふたりほどね。律子はよく働いてくれてる。植物管理センターのバイトと掛け持ちだけど、こっちを優先してくれるし」
「植物管理センターって、渋谷にある大きなビニールハウスみたいなところですね? 花や樹木を鉢植えにして売る前に、育てるための……」
「そう。植物の卸みたいなところ。律子、きょうは二時からそこでバイトよ」
ならば、行くべきはそこしかない。美由紀は直感し、すぐに踵《きびす》をかえした。「どうもお邪魔しました」
足ばやに店をでると、笹島が追いかけてきて横に並んだ。
「どういうことだ」笹島がきいてきた。「怪しいのは律子ってバイトかい?」
「まず間違いないわ。あの女主人は嘘をついてないし」
「でも、どうしてバイトの子が金銭泥棒だと……」
「記載がでたらめだから。昭和四十三年の一円玉ってのが何度も記入してあるけど、その年に作られた一円玉は実在しないの」
「へえ……。きみには感心しきりだな」
「警察に届け出をしない程度の小さな金銭被害があった店に、好摩が現れて取材し、五万円も置いていった。タイミングよすぎる話じゃない?」
「律子と好摩のあいだに、なんらかのつながりがあるってことか。あいかわらず細い線だけど……」
「手がかりには違いないわ」
迷っている暇はない。美由紀の歩は速まった。きょうという日の残り時間は、どんどん失われる。当日になって旅客機の落ちる場所が遠方だった場合、もう打つ手がなくなってしまう。列島の隅々まで移動できる余裕を残して、情報をつかまねばならない。
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