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千里眼44

时间: 2020-05-27    进入日语论坛
核心提示:白バイ 翌日の朝九時すぎ、美由紀はメルセデスのステアリングを切って、東関東自動車道を成田方面に走らせていた。雲は多いが、
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白バイ

 翌日の朝九時すぎ、美由紀はメルセデスのステアリングを切って、東関東自動車道を成田方面に走らせていた。
雲は多いが、旅客機の飛行には支障がないだろう。
ロシア大使館のバンデトフの話では、まずアエロフロート・ロシア航空でモスクワに飛び、そこから現地に移動するらしい。
モスクワの空も快晴だといっていた。きょうに限っては、遅延のトラブルは起きにくいだろう。
成田よりも手前、富里《とみさと》インターまであと五分ぐらいか。富里には、過去にも何度か足を運んだことのある精神科病院がある。同い年の臨床心理士、朝比奈宏美が東京カウンセリングセンターから出向して、そこに勤務中のはずだ。
彼女ならEMDRについての論文も書いている。香苗も身をまかせられるにちがいない。
昨夜、美由紀は電話で朝比奈と話した。突然の頼みながら、朝比奈は快く応じてくれた。
助手席の香苗がきいてきた。「その朝比奈先生は、岬先生よりも先輩なんですか?」
「いえ。まったく同期なの。同じ日に面接の審査を受けたのよ。だから経験も同じ」
「へえ……」
美由紀に近いタイプの臨床心理士が担当になってくれると知り、香苗は少しずつ元気を取り戻してきたようだった。
ほっとしながら美由紀はきいた。「ゆうべはよく眠れた?」
「ええ。岬先生はソファで寝たんですか?」
美由紀は笑った。「狭い寝床は慣れてるの」
「ほんとに、恐縮です。とても静かで、快適なお部屋で……。でも、夜中に何度か目が覚めてしまって」
「うなされてたみたいね。衝動的に跳ね起きてたみたい」
「ごめんなさい。いつもああなんです。起きた直後までは悪夢の内容を覚えてたはずなんだけど、すぐ忘れてしまって……」
「気にしなくてもいいわ。時間は充分にあるから、ゆっくり解決していきましょう」
「うれしい。ありがとう、岬先生」香苗の声は、なぜか弱々しいものになった。「安心したせいかな。眠くなってきちゃった」
その言葉に、美由紀も共感を覚えた。
妙に眠くなっている。
睡眠不足とは思えないのに、なぜかまぶたが重い。思考も鈍りがちになっていく。
ハンドル操作がふらつき、車線を割りそうになった。後方からのクラクションを受けて、あわてて立て直す。
おかしい。急に眠気に襲われるなんて。
美由紀は嗅覚《きゆうかく》に集中してみた。わずかに酸性の匂いが漂っている。
運転席の側面の窓と、そこから対角線上にある後部座席の窓を開けた。
走行中のクルマは左右に均等の気圧がかかっているため、このように斜めに風を通さないと車内の空気を浄化することはできない。
それでもまだ、頭がすっきりしない。美由紀はクルマを左の車線から路肩へと乗りいれ、ハザードを焚《た》いて停車させた。
「香苗さん……」美由紀は助手席に声をかけた。
だが香苗はシートにぐったりと背をもたせかけて、眠りにおちていた。
なにが原因なのだろう。
香苗の荷物はすべてトランクに積んである。車内に怪しい物体は見当たらない。
後部座席のハンドバッグを手にとり、逆さにして中をぶちまけた。
長いあいだ使っている自分の持ち物ばかりだ。ただひとつ、マトリョーシカを除いては……。
マトリョーシカに耳を近づけると、シューというかすかな音がする。
内部から、なんらかの気体が噴出している。
ふいに息苦しくなり、めまいを感じた。マトリョーシカを開ける。ひとまわり小さな同型の人形がある。それをまた開ける。さらにそれを開け、人形はどんどん小さくなる。
最後に、人形のなかから小さな銀の筒が現れた。気体を噴出する音は大きくなった。
美由紀はそれを窓の外に投げ捨てようとしたが、腕に力が入らない。
まぶたが閉じていく。前方に、路肩に停車する白バイの姿がおぼろげに見えた。美由紀はステアリングの上に突っ伏した。
けたたましいクラクションが鳴る。だが、意識が覚醒《かくせい》に向かうことはなかった。
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