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千里眼62

时间: 2020-05-27    进入日语论坛
核心提示:賭け ジェニファー・レインはソファにおさまり、プロジェクター・スクリーンを眺めていた。テーブルの上に並んだキャビアやシャ
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賭け

 ジェニファー・レインはソファにおさまり、プロジェクター・スクリーンを眺めていた。
テーブルの上に並んだキャビアやシャンパンに手をつけるつもりはない。
こういう場所で食べ物を口に運ぶなど自殺行為に等しい。事実、ホールに十七人いるベルデンニコフの手下は全員、スーツの下に銃をしのばせているのがわかる。
臆病《おくびよう》者の集まりだ。こちらと対等な関係を築いているなど、とんでもない思い違いにすぎない。こいつらは犬だ。犬の餌にありつく趣味はない。
いかにもエンジニアらしい紺のスーツの男が、気取ったしぐさで近寄ってきた。「間もなく発射です。スクリーンの表示についてご説明申しあげます。画面は三分割され、メインの映像はトマホークの弾頭に搭載したカメラの映像です。右は衛星から送られてくるミサイルの位置情報、左はTERCOMといって……」
「電波高度計から得た高度情報を、あらかじめインプットされたレーダー地図と照合しながら、計画どおりの飛行ルートにミサイルを誘導させる。経路上に点在する中継点にさしかかると、その都度画面に表示が出て、新しい高度と方位を伝える。ほかになにか、補足することでもあるの?」
「いえ……結構です。それでは、間もなく台風の中心が浜岡原発付近に達します。あと十分少々で発射を……」
「ただちに発射して」
「……ベルデンニコフ氏のご依頼により、日本時間で午後六時きっかりに原発に着弾するよう計算しておりまして……」
「台風の速度を考えれば、十分間の違いはさほど効果に影響を及ぼさないわ。さっさと発射するのよ」
エンジニアは困惑ぎみにベルデンニコフを見た。
ベルデンニコフが拒絶の意志をしめしていることをジェニファーは視界の端にとらえたが、無視をきめこんだ。この場のボスは彼ではない。わたしだ。
「了解しました」エンジニアは無線機を取りだして告げた。「太陽《ソーンツエ》から月《ルナー》へ。トマホーク、ただちに発射せよ」
激しいノイズの向こうで応じる声がする。「了解。トマホーク発射します」
数秒の沈黙のあと、スクリーンの画像が激しく揺れた。
暗闇から海面に迫り、しぶきをあげて空に舞いあがる、ミサイルの弾頭がとらえた映像がうつしだされる。
厚い雲に覆われた空、激しい雨が降りしきる。稲光が瞬くなかを、ミサイルは水平飛行に移り、海面をかすめ飛んでいく。左手には陸地がみえていた。景色は奥から手前へと、吸いこまれるように流れていく。
エンジニアは得意げにつぶやいた。「志摩半島の海中から発射されたトマホークが御前崎の浜岡原発を直撃するまで、ほんの七分十四秒の空の旅です。たっぷりとお楽しみください」
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