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千里眼85

时间: 2020-05-27    进入日语论坛
核心提示:新たなフロア 北千住《きたせんじゆ》駅のロータリー前に連なるタクシーの列に、黒木タクシーの車両は一台だけあった。五十歳前
(单词翻译:双击或拖选)
新たなフロア

 北千住《きたせんじゆ》駅のロータリー前に連なるタクシーの列に、黒木タクシーの車両は一台だけあった。
五十歳前後の小柄で人のよさそうな男が、クルマから降りて別の運転手と談笑している。あれが布川大輔にちがいなかった。
美由紀はそっとその車両に忍び寄った。このあたりのロータリーは狭く、突っ切っていく歩行者も多いため、多少変わった行動をとっても、あまり不審がられることはなさそうだ。
前部のタイヤに近づき、エアーバルブをひねった。シューと小さな音がして、空気が抜けていく。
しばらくそのまま放置して、バルブを締めなおした。空気の流出はおさまった。タイヤがわずかに楕円《だえん》形に変形したのがわかる。
立ちあがったとき、ちょうど布川が美由紀の存在に気づいたらしく、怪訝《けげん》な顔でこちらを見ていた。「なにか?」
「あ……。東京ミッドタウンまでお願いします」
「はいよ」と布川は運転席に乗りこんだ。
タイヤの空気を抜いたのは、ばれていないようだ。
開いた後部ドアから、美由紀は座席に乗った。ほどなくクルマは走りだした。
美由紀は助手席側のダッシュボードに立てられた運転手の顔写真と名前をたしかめた。布川大輔。間違いなかった。
「あのう」美由紀は話しかけた。「料金はどれくらいかかるでしょうか?」
「そうだねえ。三千円もみておけば充分じゃない?」
「へえ。もっとかかると思ったんですけど……」
「いつも走りなれている道だからね。お客さんはべっぴんさんだから、確約してあげるよ。三千円以内に到着してみせるからね」
副業で儲《もう》かっているからだろう、ずいぶん余裕の発言だった。実際、東京ミッドタウンにハイヤーを飛ばしている経験から、金額の算出はたしかなのだろう。
ステアリングにかけた布川の手首に、ロレックスの腕時計が光っていた。
多額の報酬。それは、ミッドタウンタワーの特定のフロアに出入りする暗証番号と引き換えに得たものに違いない。又吉のときと同じく、本人はその秘密の番号を他者に明かしたとは思っていないのだろうが。
道は渋滞も少なく、クルマは快調に飛ばしていった。
ところが、麻布十番《あざぶじゆうばん》のあたりで料金メーターはすでに三千円を越してしまった。
布川は愚痴っぽくつぶやいた。「お金を気にするのなら、大江戸《おおえど》線を使うという手もあるんだよ。知らなかった?」
「ええ」と美由紀はしらばっくれた。
タクシーはホイールの回転数で料金があがる仕組みだ。空気を抜けばそれだけ回転数があがってメーターも早くあがる。
美由紀がこっそりとそんな工作を働いたのは、悪戯《いたずら》が目的ではなかった。
いま布川は、三千円以下で走ると確約した手前、体裁の悪さを感じている。
負い目のある人間のほうがすなおになるものだ。美由紀は布川がそういう心理状態になるよう、画策したのだった。
「運転手さん」美由紀は愛想よくいった。「道、お詳しいですね。こんなところを抜けられるなんて……」
「まあ……ね。東京ミッドタウンにはいつもハイヤーで行ってるから」
「へえ。ハイヤーで? 誰か有名人を迎えに行くとか?」
「いや、有名人じゃないね。今月はずっと、ヘロドトスって金融会社の専務の送迎を担当してるんだよ」
美由紀は手もとのカメラ付き携帯電話を操作し、さっきミッドタウンタワーで撮影した社名一覧を見た。
ヘロドトス。三十六階だ。蒋[#「くさかんむり/將」、unicode8523]の一味はそのフロアの暗証番号を手にいれ、昨晩から監視用望遠鏡の設置場所に選んだに違いない。
「ふうん」と美由紀は、さも関心ありそうにいった。「ハイヤーかぁ。お金持ちの乗り物ですね」
「そうだけどね……。あんな金融会社、やり方は汚いし、いずれ潰《つぶ》れるよ。本当の金持ちは、富をひけらかしたりしないものさ」
「本当のお金持ち?」
「ああ」布川の声は自慢げな響きを帯びていた。「言っても信じてくれないかもしれないけどね。私はこう見えても、俳優デビューしてるんだ。それもハリウッド映画のだよ」
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