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千里眼101

时间: 2020-05-27    进入日语论坛
核心提示:オフィスフロア 藍は怯《おび》えてはいないつもりだったが、それでも緊張のせいか手が震える。タワーのエレベーターのなかで、
(单词翻译:双击或拖选)
オフィスフロア

 藍は怯《おび》えてはいないつもりだったが、それでも緊張のせいか手が震える。
タワーのエレベーターのなかで、三十四階のLEDランプを黒のマジックインキで塗りつぶす。たったそれだけの作業なのに、手もとがおぼつかない。
「急いで」舎利弗は、扉が閉じないように押さえていた。「美由紀はもうギャンブルでの勝負を持ちかけただろう。監視係もそろそろ来るころだ」
その発言に呼応するかのように、エレベーターがブーと鳴った。
下の階でボタンを押した者がいる。とっくに退社時間を過ぎているいま、このオフィスフロア専用エレベーターに乗ろうとする者は、彼ら以外にない。
やっとのことで藍は作業を終えた。「オーケー。じゃあ行くよ」
「連中とすれ違っても、目を合わせるなよ」
「だいじょうぶかな……。いきなり刺されたりしない?」
「事件を起こしたら不利になるのは彼らだから、心配ないよ。……なんなら僕が行こうか?」
「いえ。女のわたしのほうがあいつらも油断するって、美由紀さんも予測してたし……。頑張ってみる」
「よし。ボタンを押し忘れるなよ」
舎利弗が手を放し、扉は閉まった。藍ひとりを乗せたエレベーターが下降を始めた。
藍はハンドバッグから携帯電話を取りだした。さもオフィスフロアで働いているOLのようなスーツ姿。IDカードも似たものをパソコンで作り、首から下げていた。
LEDランプの表示はロビーを通り過ぎて、業者専用駐車場のある地階に向かっている。
間違いなく彼らだ。
三十四階のボタンに指をかけて、もう一方の手で携帯電話を保持し耳に当てる。
エレベーターが止まり、扉が開いた。
と同時に、藍はなにげなくそのボタンを押して、喋《しやべ》りながらエレベーターから降りた。「だからさ。残業で遅くなったって言ってるでしょ。いま外に出たところなの。いえ、もうオフィスフロアには誰もいないよ。わたしが最後じゃない?」
扉の前には、ふたりの男がいた。中国人であることはあきらかだった。警戒心に満ちた冷ややかな目がこちらを捉《とら》えているのがわかる。
だが藍は、気にかけていない素振りを努めた。このように電話をしながら歩き去れば、彼らも容易に手はだせない。なにかあれば、電話の相手が通報する可能性もあるからだ。
男たちの視線が背中に落ちているのを感じていたが、藍はかまわず歩きながらまくしたてた。「ちょっとぐらい遅れたっていいじゃない。だいたい、ここから六本木ヒルズってちょっと距離があるじゃん。ふつう迎えに来るのが常識でしょ? なにそれ? クルマが車検で整備中って。ださ」
ポーンと背後で音がした。
振り向くと、エレベーターの扉が閉まり、上昇が始まっている。男たちの姿はない。エレベーターに乗ったらしい。
藍はため息をつき、冷や汗をぬぐった。
よかった、刺されなくて……。藍は心の底からそう思った。
 遼《リヤン》はエレベーターのなかで、相棒の張《チヤン》に告げた。「今夜もカジノの監視なんてな。家でNFLの中継観る予定だったのに」
「ついてないな」と張がうなずいた。「なんでも呉欣蔚委員の歓迎パーティーの余興らしいぜ?」
「へえ。物好きな客がいたもんだ」
「ところで望遠鏡は?」
「いつものメンツでとっくに運びこんであるってさ。三十六階に」
扉のわきにある各階のボタンを見やる。さっき押した三十六階にのみ赤いランプが灯《とも》っている。
エレベーターはほどなく止まり、扉が開いた。遼は張とともに外にでた。
いつものように通路に歩を進めていく。
と、奇妙なことに、暗証番号のゲートは開いたままになっていた。
「おかしいな」と張がいった。「開きっぱなしになってるなんて」
「望遠鏡の搬入係が閉め忘れたのかもな」
そういいながらも、遼はどことなく不穏な空気を感じていた。
蒋[#「くさかんむり/將」、unicode8523]世賓が大勢の部下を使い、やっとのことで手に入れた暗証番号によって、ようやく通行が可能になるゲート。常に固く閉ざされていてふしぎはない。それがいま、どうぞとばかりに開放されている。
何日か前にも警察に待ち伏せされたばかりだ。このところ三十六階を連続して使っている。罠《わな》が張ってあってもおかしくない。
張が先に立って歩きだした。「さっさと済ませちまおうぜ」
「まて。なんか、ようすがヘンだ」
「気のせいだって。早く勝負がつけば、早く帰れるかもしれんだろ」
戸惑いが生じる。
怪しむべき状況なのはたしかだ。だが、不安なら常に感じている。予感が外れることも稀《まれ》ではない。
それより、早く帰れるという張の言葉の響きに魅了される自分がいた。たしかに、仕事を早く切りあげることができれば、NFLの中継に間に合うかもしれない。
遼は迷いを振りきり、張につづいてゲートをくぐった。
ところが、その先にある会社の看板を見たとき、足がとまった。
ヘロドトスという会社が入居しているはずなのに、看板がない。フロアは未入居のままがらんとしている。当然、望遠鏡もない。
「おかしい」遼はいった。「階が違う」
引き返そうとしたとき、遼はこのフロアにいるのが、自分と張だけでないと知った。
小太りで髭面《ひげづら》の男が、ゲートを向こう側から押して閉めにかかっている。
「よせ!」遼は全力でゲートに駆け戻った。
だが、一瞬遅かった。ゲートは寸前で閉まった。
解錠用のテンキーに、記憶していた暗証番号を打ちこむ。ブザーが鳴った。音声のアナウンスが告げる。暗証番号が違います。
張が情けない声をあげた。「なんてこった。閉じこめられた!」
遼はへなへなとその場に座りこんだ。なんだよ。悪い予感が的中しちまったじゃねえか。
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