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千里眼108

时间: 2020-05-27    进入日语论坛
核心提示:設立俺はどうしてこの女と向かい合わせているのだろう。漫画喫茶のブース内でソファにおさまりながら、鳥沢幸太郎はぼんやりとそ
(单词翻译:双击或拖选)
設立

俺はどうしてこの女と向かい合わせているのだろう。
漫画喫茶のブース内でソファにおさまりながら、鳥沢幸太郎はぼんやりとそう思った。
成り行きまかせとはいえ、一緒に茶をしばく必要などどこにあったのか。誘いに乗った自分の意図はどこにあったというのだろう。
いま目の前にいる、不機嫌そうな顔で『ドラえもん』の一巻を読みふける女性は、ここに来るまでのいきさつさえ知らなければ、美人以外のなにものでもない。少しばかり頑固そうな面持ちも、小言を発しそうに歪《ゆが》めた口もとも、気の強そうな女という意味で幸太郎の好みにぴたりと当てはまる。
たぶん誘いを断らなかった唯一の理由はそこだろう。美人に声をかけられて悪い気がする奴はいない。
いや、大抵の男は、美人であってもここまで性格の歪んだ女はパスするかもしれない。そんな女にまでつきあってしまう俺は、単純というか下世話というか……。
ふいに麗香がじろりとにらんできた。「なに見てんの?」
「べ、べつに……」
ふん。鼻を鳴らして麗香は漫画本に目を戻した。「ドラえもんって馬鹿だよね。タイムマシンとどこでもドアがあれば地球を征服できるじゃん。っていうかそれ以前に、もしもボックスひとつですべて事足りるのに。ケロロ軍曹のほうが少しは利口よね、征服を目的にしてるぶんだけ」
やたらと角川書店を持ちあげたがる不可思議な女。それならそもそも『ドラえもん』を手にとるべきではないと思うが、小言はよそう。ここでまた大声を張りあげられたら、かなわない。
だが、その危惧は次の瞬間には現実になった。
「ちょっと!」麗香はいきなり顔を輝かせた。「これ見てよ! のび太って将来、就職できなくて自分で会社を始めるんだって!」
「ああ……一巻ではたしかにそうなってるね。でもその直後に、会社は全焼しちゃって……」
「これじゃん! これよ。ましな就職先がないんなら、自分たちの手で作っちまえばいいんじゃん! なんで今まで気づかなかったんだろ」
「まさか会社の名前はSOS団とか言いだすんじゃ……」
「なにそれ? 知らない。とにかく、会社を登記して法人を設立すればいいんでしょ。いますぐ申請書出してくる」
「おい、ちょっと待てって。会社を作るって、その諸経費は……」
「いまじゃ一円企業ってのがあるんでしょ。一円ぐらいならあるじゃん」
「はあ……。ま、落ち着いてくれないか、そのう……京城麗香さん。たしかに一円企業制度ってやつを利用すれば、確認会社として法人を設立できるけど……」
「でしょ?」
「設立のための費用は? それらもけっこうかかるはずだよ」
ところが今度は、麗香のほうがため息をついた。
「幸太郎」麗香はいきなり呼び捨てにしてきた。「あなた、わたしを馬鹿だと思ってんの? 登記費用、認証手数料のほか、印紙代、代表者印作成料などの経費。確認有限会社が二十万七千七百六十五円、確認株式会社で三十一万六千二百三十二円が、最低でも必要な額でしょ。内訳をしっかり説明してほしい?」
「……いや。特には……」
「まったく。話にならないわね。一円企業だからって、一円でなにもかも揃うと思うなんて、幼稚にもほどがあるじゃん。恥を知ったら?」
「ま、まあ……そうだね。すみません……」
なにを謝っているのだろう。自分のふがいなさに腹が立つ。いましがた麗香を責めようとしたはずなのに、瞬時に立場をひっくりかえされてしまっている。
麗香は髪をかきあげながら立ちあがった。「区役所にいってくる。あなたはここのパソコンで求人サイトに書き込みしておいて。新会社設立、社員急募って」
「本気かい? 社名も決まってないのに? それに業種も……」
「社長のわたしの名前に由来して株式会社レイカとしておいて。職種は一般事務。あ、ヒンディー語以外の外国語が話せるなら優遇。会社の業種はてきとうに書いときゃいいの。誰もそんなこと気にしちゃいないから。ただし、メイド喫茶だなんて書いたら殺すから。じゃ、頼んだわよ。さっさと仕事して」
それは、俺を社員として雇うと決めたということだろうか。給料は……?
というより、二十万から三十万ほどかかる経費を、どうやって用立てるつもりなのだろう。
だが、尋ねる間もなく、麗香はさっさとブースから出ていってしまった。
ひとり取り残された幸太郎は、ただ呆然《ぼうぜん》としていた。
正確には、幸太郎が希望していたのはメイド喫茶ではなく、ツンデレ喫茶のほうだった。麗香に従ってしまうのも、そのせいかもしれない。
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