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千里眼117

时间: 2020-05-27    进入日语论坛
核心提示:マグニチュード事務所の窓ガラスはすべて割れ、外気が吹きこんでいる。風に乗って緊急車両のサイレンの音が響いてくる以外、街は
(单词翻译:双击或拖选)
マグニチュード

事務所の窓ガラスはすべて割れ、外気が吹きこんでいる。
風に乗って緊急車両のサイレンの音が響いてくる以外、街は異様なほど静かだった。
幸太郎は床にへたりこんだまま、ポアの行動を呆然《ぼうぜん》と眺めていた。
ポアは失神したままの刑事の襟もとをつかみ、床をひきずっていくと、扉を開けて廊下に投げだした。
面食らって、幸太郎はつぶやいた。「なにを……」
扉を閉めてポアがいった。「都心部に震度七の大地震発生。私服警官が転倒して頭を打ち、気を失うことがあったとしても、さほど意外ではありません」
「でもあの刑事さんは、きみが攻撃してきたことを覚えてるだろ?」
「本人はみずからの記憶に疑いを持たないでしょうが、彼の訴えを聞く同僚はそうではない。事務職の若い女性にムエタイで攻撃され、首を絞められて失神などという状況が信じられるはずもありません。結局、大地震の発生による記憶の混乱、PTSDによる幻覚などと片付けられるでしょう」
「京城麗香さんを連行していった刑事たちが、きみに疑いを持つかも」
「それも心配ないんです。刑事たちはもう、京城麗香に構ってなどいません。窓の外を見てください」
幸太郎は膝《ひざ》の震えを抑えながら、なんとか立ちあがった。
窓辺に近づいてみる。
いくつかの家屋が倒壊し、瓦が散乱している。アスファルトにひびが入った大久保通り沿い、地震発生の直前に走りだしたはずのパトカーは、少し離れたところに停車していた。
警視庁捜査三課の新藤という刑事が、ほかの刑事らと駆けまわっているのが見える。
焦燥のいろを浮かべ、制服警官らになにか指示をだしていた。
パトカーの後部座席のドアは開けっぱなしになっていた。麗香の姿はない。
察するに、地震の混乱のなかで逃げだしたのだろう。新藤たちの狼狽《ろうばい》ぶりを見るかぎり、まだ発見できていないようだ。
と、無線の呼びだしがあったらしく、新藤がパトカーに乗りこんでマイクを手にとった。
しばらく、なにごとかまくしたてていたが、やがてマイクを叩《たた》きつけると、ほかの刑事らに声をかける。
全員が車内に乗りこみ、パトランプを灯《とも》して走りだす。
現場に残った警察関係者はひとりもいなかった。
「なんだ?」幸太郎はつぶやいた。「逮捕者に逃げられたのに、放りだしていくなんて」
ポアが近づいてきて、並んで窓の外を眺めた。「日本人は地震のあとも決して治安を乱すことはありませんが、外国人は別です。東京在住のアジア系外国人には、不法就労者が少なくない。彼らのなかの一部が率先して、混乱に乗じた略奪を始める。窃盗被害の件数は地震発生前の比ではなくなる。当然、捜査三課の刑事は総動員で捜査に駆りだされるわけです」
「京城さんより、そっちの捜査が優先されるっていうのか?」
「治安維持に結びつくことですから、警察にとって最優先事項です。クルマを盗み、109の前でパフォーマンスをおこなっただけの京城麗香は、いまのところ誰も傷つけてはおらず、取り立てて危険分子とは見なされない。あの新藤という刑事はそう思っていませんが、警察組織の上層部は杓子《しやくし》定規なものの見方しかできません。ひとりの女よりも複数の外国人による犯罪を懸念するのは、彼らにとって常識です」
「でもその常識が通用しないのがきみたち、っていうことだな?」
ポアは真顔でうなずいた。「彼らはこの地震が自然発生したと思いこんでいます。それ以外の可能性を疑うことさえない。でも実際には、東京に地震を起こすことなど難しくありません。東京湾北縁断層、すなわち千葉県北西部の東京湾沿いを北西から南東方向に延びる伏在《ふくざい》断層。活断層でなくてもこの地下十キロ地点に七百メガトンの爆発を起こすことにより、マグニチュード七・五の大地震となって地表に影響を及ぼします」
「地震を起こした? きみらが? 何のために?」
「京城麗香を警察の魔手から解放するためです。さすが京城麗香。千載一遇のチャンスを逃さず、まんまと身を潜めましたね」
「ありえないだろ、そんなの! 女ひとりを逃がすために大地震だなんて」
「証拠を残さないためには自然現象を装うのが一番です。むろん放射能の影響が残る核爆弾は用いていません。例によりベルティック・プラズマ爆弾によるクリーンな破壊が活用されています」
例によりと言われても、メフィストの陰謀論とやらを語る女と初めて出会った俺としては、なんのことかさっぱり理解できない。
ひょっとして、すべてはこじつけではなかろうか。偶然起きた地震までも、必然だったかのようにうそぶいて、俺を煙に巻こうとでもしているんじゃなかろうか。
すると、ふたたび心を読むかのように瞳《ひとみ》のセンサーを素早く作動させたポアが、冷ややかな微笑とともにいった。「こじつけではありません。歴史はメフィスト・コンサルティングの管理と統制のもとに刻まれていくんですよ、幸太郎さん」
「そうすると、行方をくらました京城さんがどうなるかも、あらかじめ設定済みなのかい?」
「もちろんです。わたしは地震発生直後から目を逸《そ》らさず、ここから彼女の行動を注視していました。京城麗香はあのマクドナルドの脇にある路地、イナバ物置のモノパルテという商品名の倉庫に潜んでいます」
「倉庫の商品名まで覚えているなんて……」
「イナバ物置の商品名はきわめて上品かつ芸術的です。床が土間打ちになっているものはドマール、車庫はシャコリーナと名づけられています」
上品だろうか。メフィストという組織の考える芸術性の基準はよくわからない。
「それで」と幸太郎はきいた。「倉庫に逃げこんだ彼女を、誰が迎えに行くんだい?」
「あなたです。幸太郎さん」
「俺?」
「そうです。彼女の心理を考慮すれば、現状で彼女を迎えられる人物は、あなたをおいてほかに存在しません。それと、もうひとつ留意していただきたいことがあります」
「なんだい?」
ポアはじっと幸太郎を見つめてきた。「メフィスト・コンサルティングについて、京城麗香には明かさないほうがいいでしょう。彼女のため、そしてあなた自身のためにも」
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