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千里眼125

时间: 2020-05-27    进入日语论坛
核心提示:症例幸太郎は本郷にある臨床心理士会事務局の待合室で、身を硬くして座っていた。平日の昼間、それも大規模な地震があった翌日だ
(单词翻译:双击或拖选)
症例

幸太郎は本郷にある臨床心理士会事務局の待合室で、身を硬くして座っていた。
平日の昼間、それも大規模な地震があった翌日だけに、臨床心理士は出払っているらしく、事務局には美由紀のほかには舎利弗浩輔という男がいるだけだった。
そのふたりの専門家による説明に、幸太郎はまたしても面食らわざるをえなかった。
「自己愛性人格障害……ですか?」と幸太郎はいった。
「ええ」美由紀はうなずいた。「それが西之原夕子の症状。かつて精神科を受診したときに、そう診断されてる」
「ってことは、病気ってことですか?」
「いうなればそうね。正常な精神状態ではないという意味で。だから、幸太郎さん。彼女はあなたが期待したような女性とは違うの」
「き、期待って?」
「わがままで自己中だけど、すなおで自分に正直で可愛いところがある女。率直にいって涼宮ハルヒを期待してたかもしれないけど、まるで異なるってこと」
図星を突かれ、幸太郎は思わず息が詰まりそうになった。
「ど、どうして……そんな……嫌だなぁ、そんなこと想像してみたこともないよ」
「メフィストのせいで一見、非日常的に見える事態が頻発したため、一層ハルヒっぽさを感じて、はまりこんだ」
「な、なんのことやら……。だいたい、なんですか、涼宮って……アイドル歌手かなにかですか?」
美由紀の冷ややかな目が向けられる。
千里眼のまなざし。脳のなかをスキャンして、あらゆる隠しごとを見抜いてしまうかのような鋭い目つき。
幸太郎は心臓が破裂しそうだった。
と、舎利弗がにこりとしていった。「『驚愕《きようがく》』もう読んだ?」
「はい、もう……」思わず返事をしてしまい、幸太郎は自分を呪った。「あ、やばい……」
ため息をついて美由紀が告げた。「べつに隠すようなことでもないと思うけど」
「いや、でもね……。世間の目は冷たいからさ。三十過ぎて秋葉系オタクじゃ就職できないのも無理ないって、たちまち呆《あき》れられちゃうし……」
「そんなことないわよ。わたしの知り合いに、外務省勤務でその種の趣味の人もいるし。現にこうして臨床心理士会にも……」と美由紀は舎利弗に目を向けた。
舎利弗はとぼけた顔で肩をすくめた。「『分裂』より『驚愕』のほうがよかった」
「はあ、そうですね」反射的に乗ってしまい、幸太郎はまた自己嫌悪にとらわれた。
「それに」と美由紀はいった。「フィクションの世界に魅せられて、現実でもそれを求めることは必ずしも間違っていない……どころか、むしろ推奨される生き方なのよ。人は子供のころ、親がきかせてくれる童話から世を学び、実体験と対比させながら人生を理解していく。初めに物語があって、そこに理想をみいだし、世間のどこに理想を満たす現実があるかを探求する……。聖書も物語だしね。ある意味で、人が生きていくということは、そういうことだと思うの」
「はあ……そんな崇高なことかなぁ。俺はべつにハルヒとかにそこまでハマってはいないし、まして現実にそういう女と出会いたいと本気で思ってたわけじゃ……」
舎利弗が口をはさんだ。「ツンデレ喫茶に勤めたがっていたのに?」
またもや幸太郎は、首を絞めあげられたような気がして咳《せき》こんだ。「どうして、そ、そんなことを……」
「わかるよ。ツンデレ喫茶の店長になりたいと言ったんじゃあまりに趣味性が強すぎるんで、少しばかり一般的にメイド喫茶と言ってみたんだろう? 牧野先生からの報告で、すぐにぴんと来たよ」
美由紀は訝《いぶか》しそうな顔で舎利弗にきいた。「ツンデレ喫茶って?」
「あのですね」幸太郎は声高にいった。「舎利弗先生はそう仰いますが、俺は決してそんな変わった性癖の持ち主では……」
ところが、美由紀は片手をあげて幸太郎を制すると、穏やかな口調で告げてきた。「弁明しなくても、あなたの嗜好《しこう》が舎利弗先生の言葉どおりだってことはわかるわ」
「な……なぜ」
「嘘をついているかどうかだけは、簡単に見抜けるの。わたしにわからなかったのは、ツンデレ……だっけ? その言葉の意味だけ」
舎利弗がいった。「美由紀。きみのことだろ」
「え? 何?」
「この美由紀の態度に不快感を覚えないんだから、幸太郎さんはやっぱり充分にツンデレ萌《も》えってわけだ」
ぐうの音もでない。
幸太郎はすっかりやりこめられた気分でつぶやいた。「はい、仰せの通りで……」
美由紀は真顔になった。「よくわからないけど、女性のわがままを受けいれる心がまえがあるなんて、とても紳士的よね。けれど、西之原夕子はそんな心につけこんでくる。あなたの理想とは相反する存在だってこと」
「そうですか。でも、どうもわからないんです。彼女はたしかに変わってはいましたけど、病んでいるようにはみえなかった。それに、自己愛っていえば、誰にでもあると思うんだけど」
「ああ」舎利弗がうなずいた。「もちろんだよ。自分を愛するというのは健全な心の発達のために必要不可欠だ。問題は、それが病的なまでに膨れあがって、自分に誇大感を持つようになる場合のことだ。それが自己愛性人格障害だよ」
「誇大感……」
「そう」美由紀は幸太郎をじっと見つめた。「ありのままの自分を愛するのではなく、優越している自分自身を夢想し、それが現実化しないと気が済まないという欲求に絶えず駆られているところがあるの。問いかけられもしないのに自分の話ばかりしたがったり、話題がほかに移っても強引に自分のことを喋《しやべ》りつづけたり、高慢で横柄な態度にその兆候が表れたりする。他人に対する共感の念が薄いために、他人を利用することになんの躊躇《ちゆうちよ》もしめさない。むしろ、周りのほうが不当に自分を利用したがっていて、自分はその被害者だという意識が強かったりするの」
「ああ……それはたしかに、彼女に当てはまるかも」
「自分が特別な存在でなければならず、そういう自分にしか興味が持てない。でもそれは、ありのままの自分ではないと薄々感じている。だからまず自分を欺くために、他人の悪口を言ったりして徹底的に卑下することで、己の優越感を満たす。うまくいかないことがあっても、自分は特別な人間にしか理解されないと思いこんで、相手を責めることで不満を浄化してしまう」
「けれど、それならただ性格の悪い女というだけで、犯罪者にはなりえないんじゃないかな?」
「ええ、自己愛性人格障害がそのまま犯罪につながるわけではないの。でも、虚栄心を満たすために嘘をつきやすく、それをご都合主義で正当化してしまうところがある。罪悪感はないわけじゃないんだけど、被害者意識があるせいですぐ払拭《ふつしよく》されてしまう。その反面、自分が批判されると過剰に反応するため、トラブルも招きやすい」
舎利弗が壁の本棚に近づき、一冊の分厚い本を引き抜いた。そのページを繰りながら、舎利弗はいった。「アメリカ精神医学会は、明確な基準を定めているよ。自分の才能を誇張したり、充分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待する。限りない成功、権力、美意識、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。自分が特別でユニークな存在であり、ほかの特別または地位の高い人や団体からしか理解されないと信じてる。また、自分が関係を持つのはそのような人もしくは団体に限るとも考えてる。過剰な賞賛を求め、特権意識を持ち、自分の期待に沿うような取り計らいが自動的になされることを期待する。目的達成のためには手段を選ばない。他人の気持ちおよび欲求には気づかないか、気づいていたとしても認めない。しばしば他人に嫉妬《しつと》し、と同時に自分が嫉妬されていると思いこんだりもする」
幸太郎は開いた口がふさがらない思いだった。
読みあげられた症例は、ひとつ残らず西之原夕子に当てはまっている。
「なるほど」幸太郎はつぶやきを漏らした。「ぴったりかもしれない……」
「以前、西之原夕子は放火事件を起こしたときに、美由紀と知り合った。美由紀が臨床心理士だと気づいた彼女は当初、従順な態度をしめした。それは美由紀が有名人だったからなんだ。千里眼だなんて呼ばれている岬美由紀と付き合うことは、西之原夕子の特権意識を満たす。こいつは自己愛性人格障害の顕著な特徴でもあってね。この症状の人間はたいてい、マスコミで顔や名の売れた人や権威性の高い人の世話になりたがる。ただし、相手が自分の意にそうような結果をだしてくれないと、たちまち牙《きば》を剥《む》きはじめる。敵視して、二度と心を開こうとはしないんだ」
美由紀が深刻そうにうなずいた。「わたしに対してもそうだった……。西之原夕子は、わたしに救われなかったことに腹を立てて、いまではおそらく復讐《ふくしゆう》心さえ燃やしてる」
幸太郎はきいた。「救わなかったの、彼女を?」
「いいえ。ただ、ほかに優先せねばならない事態があった。彼女には少し待ってもらうしかなかった。けれども、彼女にとってそれは理解しがたいことだったようね。真っ先に自分を救おうとしない臨床心理士なんて敵と同じ、すぐにそうみなしたのよ」
「……夕子さんがポアって呼んでた韓国人だけど……それから、ジェニファー・レインっていう女性についても……。警察に通報しておくべきじゃないかな」
「そうだな」舎利弗がうなずいた。「美由紀、警察には友達が大勢いるんだろう? 大久保通りでひと騒ぎ起こしておいて、なんの連絡もしないんじゃまずいだろう。きみの古巣の防衛省にも報告しておいたほうがいい。装甲車だっけ、瓦礫《がれき》の下敷きになっちゃったんだろ?」
ふいにそわそわしだした美由紀がいった。「ええ、わかってる。舎利弗先生、そのう、クレクレタコラのDVD、貸してもらう約束だったんだけど」
「あん? ああ、僕の机にワンセットあるけど」
「いま貸してくれない?」
「いいけど……どうして?」
「ええと、幸太郎さんも観たいだろうし」
幸太郎は面食らって、どういう意味なのか尋ねようとしたが、美由紀が目でそれを制した。
「へえ」舎利弗は上機嫌にいった。「きみも興味があるんだ。ファミリー劇場の放送じゃ欠番のエピソードがあったんだけど、DVDは全話揃ってるよ。用意してくる」
舎利弗が立ち去っていくと、美由紀はほっとしたような顔をした。
思わず幸太郎は笑った。「他人の嘘が見抜けるのに、自分の嘘は下手だね」
「まあね。嘘をつくのは苦手なの。いつもバレバレだっていわれるけど、舎利弗先生は騙《だま》されやすいから」
「彼に聞かせたくない話でもあるの?」
「そうよ」美由紀は真剣な面持ちで、声をひそめて告げた。「さっきの騒動、警察には通報しないわ。その必要もない」
「どうして?」
「メフィスト・コンサルティングが絡んでいるから」
「世を超越した秘密結社だからってこと?」
「結社じゃないけど、似て非なるものね。世界的規模の勢力を有していて、一国の法律ていどじゃ裁けないのは確か」
「歴史をつくるとか言ってたけど……」
「手のこんだトリックで人を計画的に煽動《せんどう》するわけだから、詐欺師の集まりと同じよ。西之原夕子はその一員にふさわしいとみなされた。わたしに敵愾心《てきがいしん》を抱いていることも評価されたのかも」
「向こうはかなり岬先生をライバル視してるみたいだよ? 恨んでいるっていうか」
「こっちもよ。何度となく酷《ひど》い目に遭わされてるから。でも、ジェニファー・レインって名前には聞き覚えがないけど……。さっきのあなたの話では、西之原夕子は整形後、トム・スレーターと話題のカップルにまで祭りあげられたわけよね? 特別待遇を受けたがる彼女にはぴったりの接待よね」
「でも西之原さんはトムに愛想をつかしたと言ってた」
「それがジェニファーっていう人には意外だったんでしょうね。だから帰国した夕子を監視しつづけた。一方、夕子のほうも再びジェニファーによる接待を望みだした。そこになにが待っているかを知るよしもなく……」
「岬先生。そのう、自己愛性人格障害だけど、なにが原因になっているんだろ?」
「幼いころに親が子の自立を促してくれないと、親への依存を持ったままになる。子は、そういう依存心をもてあそび従属させようとする親の支配に抵抗するけど、面と向かってはものがいえない。そんな状況下で、子供のほうは親を打ち負かす夢想に浸るようになる。空想によって立場が逆転した気分を味わおうとするのね。これが癖になると、自己愛性人格障害の芽生えになるといわれてる。己の誇大感によって他者を見下すことで、かろうじて自分のアイデンティティを保つ人間になっていく」
幼少の頃に端を発するわけか。責任が親にあるとするのなら、西之原夕子も被害者といえるわけだ。
「回復っていうか、治療は……?」
「困難といわざるをえないわね。人の心というものが白か黒かに割りきれるものではなく、グレーゾーンがほとんどで、しかもその領域が必ずしも裏切りや嘘を意味するものではないと説得する必要があるんだけど……。彼女が気を許せる身近な人間でないと無理ね」
「どんなタイプの人間ならそうなれるんだろう?」
「自己愛性人格障害の人が必要とするのは、マネージャーのように周りの世話を焼いてくれたり、無償のサポートを買ってでてくれる人。西之原夕子にとってはずっと兄がその役割を担っていたみたい」
「でもそのお兄さんは、冠摩《カンマ》の事件の主犯として逮捕されたんでしょ?」
「そう。だから彼女はいま天涯孤独の身……」
しんと静まりかえった待合室で、幸太郎は無言で考えにふけった。
俺は、なにを気にしているのだろう。
西之原夕子が付き合うべき女でないことがあきらかになり、事態は千里眼の岬美由紀や、メフィスト・コンサルティングなる組織まで登場して、到底人智の及ぶ範囲でない領域にまで拡大している。
もう一介の失業者、あるいはワーキングプアでしかない俺の手に負える範囲ではない。
けれども、なぜか終わった気がしない。いや、終わらせてはいけない、そんな妙な使命感が自分のなかに疼《うず》いている。
どうして放棄しないのだろう。
何かすべきことはないかと、思考をめぐらせているのはなぜだ。俺は何を望んでいるのだろう。
判然としない心とともに、幸太郎はつぶやいた。「このまま放ってはおけないよ。また大地震が起きるっていうし……」
美由紀はうなずいた。「人工地震を隠蔽《いんぺい》するために、再び地震を発生させることは充分に考えられるわね。まだ各地の地層や地質の調査も充分でないから、二度目の大地震が起きたら、一度目の地震の震源も特定しづらくなる。物証を残さないことがモットーのメフィストなら、充分ありえるでしょうね」
「本気で首都機能を壊滅させるみたいなこと言ってたけど……まさか冗談だよね? 地震保険で経費を回収するだなんて……」
「ありえるわよ。メフィストは過去にも日本と中国のあいだに戦争を引き起こそうと画策した経緯がある。そのときも日中両国の不動産に多額の保険をかけていて、準備段階の多大な支出を補おうとしたことも判明してるの」
なんてこった。幸太郎は背筋に冷たいものが走るのを感じていた。
この手の状況は漫画ではお馴染《なじ》みだが、現実のものとなったのでは破滅のときを待つ以外に手段がないではないか。ここには異次元からやってきた超生命体も、七つ集めれば都合よく願いがかなうアイテムも、魔王を倒せば部下がすべて死んでくれるという浅はかな設定もない。
目で見て、耳で聞く現実の世界。この世にはそれしかないのだ、幸太郎はいまさらのようにそう感じた。
夢想に逃避することは、現実の世に生きることを休止している時間にすぎず、決して別の世界に移り住めるわけではない。
そんな世の中が治安を失い、陰惨たる地獄と化したら……。個人の力では、どうすることもできない。そのまま生き、死んでいくだけだ。
ふいに、携帯電話が鳴った。幸太郎はびくっとした。
ポケットから電話を取りだして、応答する。「はい?」
意外な女の声が呼びかけてきた。「幸太郎?」
「に、西之原さん!?」
美由紀の表情が硬くなった。
電話の向こうで夕子は、いつもと変わらない陽気な声でいった。「幸太郎。明日午前九時、横浜みなとみらいにオロチまわしてきて。赤レンガ倉庫の駐車場で待ってるから」
「な……ちょっと。そんなの無理だよ。警察に追っかけられてるし、だいいちオロチは大久保通りに停めっぱなしだよ。クルマ取りにいったら、ポアさんに狙われる」
「ポアのことなら心配ないって。ちゃんと話はつけておいたからさ。じゃ、忘れずに来てよ」
それっきり、電話は切れた。
静寂のなか、夕子の声は美由紀の耳にも届いていたらしい。
美由紀はつぶやいた。「話をつけたってことは、ジェニファー・レインって人に再会する約束を交わしえたって意味ね」
「どうしよう……。指名手配犯とわかってて会いに行くなんて、馬鹿がやることのような気もするけど……」
「常識ではそうかもね。でもこの際、誘いに乗るべきかも」
「っていうと?」
「向こうにしてみれば、あなたがわたしに連れ去られたとわかってるはずなのに、連絡してきた。つまりジェニファー・レインの意志じゃなく、本人があなたに会いたがっているのよ。わたしに妨害されるリスクを承知のうえでね」
「僕に? どうして?」
「さあ。それを知るためにも、本人に会ってみるべきかもしれない」
幸太郎は重苦しい気分で頭を抱えた。
弱った。非日常的な女に気に入られることが、これほど心労につながるなんて。
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