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千里眼137

时间: 2020-05-27    进入日语论坛
核心提示:秋九月の中旬。出勤の時刻には、まだ太陽はさほど高くない位置にある。気温も穏やかで、過ごしやすかった。美由紀は本郷の臨床心
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九月の中旬。
出勤の時刻には、まだ太陽はさほど高くない位置にある。
気温も穏やかで、過ごしやすかった。
美由紀は本郷の臨床心理士会事務局に、定刻どおり出勤した。
ガヤルドを駐車場に停め、エレベーターで三階に昇る。
大勢の臨床心理士らが、きょうの出向先を確認するために掲示板を見にきている。美由紀はそれらの人々に挨拶《あいさつ》しながら、オフィスに入っていった。
「やあ、おはよう」舎利弗浩輔が顔をあげた。「けさも早いね。美由紀を見るとほっとするよ」
「どうして?」と笑いかえしながら美由紀はきいた。
「きみが出払ってないことが、この世の平和の証《あかし》に感じられるからさ。ここんとこ暇じゃないかい?」
「そうでもないわよ。夏場の地震の被災者は少なかったから、ケアにも時間がかからなかったけど、地方ではほかにも災害が起きてるし……。明日から鳥取に出張なの」
「へえ。きみみたいに優秀な人は引っ張りだこだな。人材が不足してるって専務理事も嘆いてたよ」
「あと半年もすれば、新しく資格を取得した人たちが入ってくるわよ」
「ああ、そうだ。きみと知り合いだった鳥沢幸太郎さんだっけ? カウンセラーの研修を受けているってさ」
「幸太郎さんが?」
「そう。受験資格を満たしてないから臨床心理士は無理だけど、心理相談員めざして勉強中だって」
「夕子の会社の社員じゃなかったのかな?」
「その彼女の会社がカウンセリングを生業《なりわい》とする方針なんだってさ」
カウンセラー。夕子自身もその職業を目指す気なのだろうか。どんなふうに看板を掲げるつもりなのだろう。
とはいえ、一時はハローワーク仲間だったふたりに、目標が見つかったことは喜ばしかった。
「よかった」と美由紀はいった。「舎利弗先生にとっても喜ぶべきことでしょ? 趣味が一致してたみたいだし」
「いやあ。それほどでもなかったよ。彼とはあれから電話で話したんだけど、アイアンキングとシルバー仮面の顔の違いがわからないみたいなんだ。もちろん身体を見れば一発なんだけど、顔もだいぶ違うんだけどね」
あいかわらず理解不可能な話が始まった。
相槌《あいづち》を打ったりしたら、きっとまたDVDをセットしはじめるに違いない。
「じゃ、けさは徳永《とくなが》さんとハローワークに行くことになってるから……」と、美由紀はオフィスを出ようとした。
「あ、ちょっと待って。美由紀。きみに届け物が来てるよ」
「わたしに? 誰から?」
「さあ。ええと、ああ、これだ。小包なんて珍しいね」
それは十センチ四方ほどの立方体の包みだった。
伝票が添えられていたが、差出人の名は記載されていなかった。
包装紙を破ると、紙の箱がでてきた。
開けてみると、なかには大小の赤い積み木が、隙間なくおさまっていた。
積み木を取りだしてみた。箱に、手紙などは添えられていなかった。
「なんだい?」と舎利弗がきいた。
「見てのとおり、積み木。それも、ぜんぶ真っ赤……。ずいぶん使いこんだものみたいね。傷だらけだし、何度も塗りなおした痕《あと》がある」
まるで見覚えのないしろものだった。幼児のころの記憶にもない。家に、こんな玩具《がんぐ》はなかったはずだ。
積み木自体、話題にしたことは一度もない。わたしに積み木遊びの趣味があると人に誤解される理由でもあれば、まだ納得もいくが、そんな話を他人にしたことはない。
「オークションででも注文したのかい?」
「まさか。宛名はたしかにわたしになってるけど……。覚えがないなぁ」
「間違いかもしれないよ。問い合わせが来るかも。包装しなおしておこうか? こういうのは得意でね」
「お願いします。保育所勤務の臨床心理士と間違えているかもしれないし」
「はいよ。任せてよ」
戸口から、同僚の徳永良彦が顔をのぞかせた。「美由紀。そろそろ行こうか」
「はあい。じゃ、舎利弗先生、また夕方ね」
オフィスをでて、徳永とともにエレベーターに乗り、一階まで降りる。
扉が開いて、秋の風が吹きこんできた。やわらかい秋の陽射し、並木の銀杏《いちよう》も降り注いでくる。
そんな銀杏の舞うなかに、美由紀は躍りでていった。
きょうもわたしを必要としてくれる人がいる。わたしはその人のために生きている。いつでも、そう信じられる。
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