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千里眼181

时间: 2020-05-27    进入日语论坛
核心提示:孤児の帰還日が暮れた。夜空は遠雷に閃《ひらめ》き、暗黒に雷雲を浮かびあがらせる。雨はいっそう激しくなってきた。信州街道沿
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孤児の帰還

日が暮れた。夜空は遠雷に閃《ひらめ》き、暗黒に雷雲を浮かびあがらせる。雨はいっそう激しくなってきた。
信州街道沿いの目立たない側道でベントレーは停車していた。運転席の伊吹は、カーラジオの告げるニュースに聞き耳を立てている。
美由紀は助手席で、携帯電話のカメラで撮影した画像を呼びだしながら伊吹にきいた。「なにか言ってる?」
「まあな」伊吹はラジオのチャンネルを切り替えた。「羽鳥駅で銃撃事件、ふたりが重傷を負って病院に運ばれ、犯人の男女は逃走。午前中に桜川警察署を訪れた男女と同一とみられる。俺たちにとっちゃ、さして耳新しい話でもない」
「警察はわたしの名前を知ってるはずなのに……」
「指名手配を食らうのも時間の問題だろうよ。で、そっちはどうだ?」
「ええ。いまやるところよ」
車内はさっき調べたが、車検証すら積んでいなかった。頼りにできる手がかりは、あの数列だけだ。
駅で撮影した画像がでた。さいわい、黒板の文字ははっきりと読みとれる。
 20・17・27・15・4・30 15・31 20・4・9・20 13・11・18・4・19・25
19・20・4・18・19・25 19・20・8・11・14・1・30・7 25・21・30 4・30 21・16・21・27・25 15・30・17 9・27・1・12
16・4・14・4・19 14・17・4・27・25・15─14・15・11 4・30 19・20・21 22・1・6・21 14・4・7・17 15・31 20・1・18・11・30・1─6・15
「さて」美由紀はボールペンと紙片を取りだした。「問題はここからね」
「そんなの、本当に解読できるのか」
「うろ覚えだけどね、仁井川らしき男がこういう暗号に取り組んでるのを見た覚えがあるの。それも一度や二度じゃないわ。アルファベットを横一列に書き連ねて、最初の文字に1、二文字目に2……って番号をふってた」
「じゃあ単純に、アルファベットを数字に変換するだけか。Aが1、Bが2って」
「それじゃ第三者に解読されちゃうでしょ。ABC順じゃなくて、その日ごとに変わるキーセンテンスを使用していたと思うの。防衛大の戦術の授業にあった暗号学の理論ね」
「あのあたりはさぼってたから、よく知らないな」
「すばしこい犬は、そののろまな茶狐を飛び越える。文章の雰囲気からすると英文ね」
「どうして英文を使う? 仁井川の取り引き相手は外人か?」
「そうかもしれないけど、日本語の文字だと五十字以上も必要だから、アルファベットのほうがいいし、ローマ字だと母音と子音の法則性で解読されやすいから……。伊吹先輩、ほんとに暗号学は勉強してなかったの?」
「記憶にないな。教官も熱心じゃなかったんだろ」
伊吹はたしか首席卒業しているはずだった。よくそれで学年のライバルたちに抜かれなかったものだ。
美由紀はボールペンを紙に走らせた。「ええと……。�のろまな茶狐�には�その�っていう定冠詞がついてるのに�すばしこい犬�のほうにはない。たぶんこっちは不定冠詞ね。茶狐のほうはthe、犬のほうはa。そうすると……」
直訳しながら、筆記体ではなく活字体で一文字ずつ間隔を置いて書きこんだ。
 A quick dog jumps over the lazy brown fox
 しばらく眺めて、美由紀は納得とともにうなずいた。「たぶんこれね」
「本当か?」
「キーになるセンテンスは、AからZまですべての文字が使われていることが重要なの。この一文にはぜんぶ入ってる」
文章の最初の文字から順に、数字を書きいれていった。Aが1、Qが2、Uが3……。
「なるほど」と伊吹がいった。「変換表ができあがったわけか」
「まだ合ってるかどうかわからないけどね。あ、でも……。たぶん間違いないわ。黒板の数列のほうに19、20、21っていう単語がある。これはT、H、Eに当てはまるから定冠詞のtheね」
「やるな。で、暗号にはなんて書いてあったんだ?」
「待って。一文字ずつ変換しなきゃならないから……」
数字をアルファベットに置き換えて記していく。
なんの取り引きかは、冒頭の単語を変換した時点であきらかになった。h、e、r、o、i、n。ヘロイン……。
やがて、すべての文字がアルファベットになった。
 Heroin of high purity. Thirty thousand yen in every one gram.
Visit Seiryo-sou in the lake side of Haruna-ko.
 伊吹がため息とともに翻訳した。「高純度ヘロイン。一グラムにつき三万円。榛名湖畔のセイリョウソウにお越しを、か」
「榛名湖って、榛名山の山頂にあるカルデラ湖のことね?」
「ああ。まぎれもなく雷雲の通り道だよ」
稲光が瞬き、一瞬だけ車内を白く浮かびあがらせた。
紛れもなくそこが、仁井川の隠れ家だ。四歳のわたしが監禁状態にあった場所。仁井川はいまもなお、当時と同じ麻薬密売を営みつづけている。
あのころと同じ状況が、いまも……。
「美由紀」伊吹が真顔でいった。「どうやら、突きとめたみたいだな」
「ええ……」
二十四年の時を経て、ついに戻るときがきた。故郷に。いや、地獄に。
伊吹は腕時計をちらと見た。「夜間にも取り引きしてるかな?」
「夕方近くに伝言板に告知したんだから、取り引きはむしろこれからとみるべきよ」
そうだな、とつぶやいて、伊吹がエンジンをかけた。ベントレーは走りだし、側道から国道に復帰した。
行く手にまた稲光が閃いて、暗黒の山々を照らしだす。その向こうに口を開ける絶望の谷底が、みなしごの帰還を歓迎している。そんなふうに思えてならなかった。
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