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千里眼214

时间: 2020-05-28    进入日语论坛
核心提示:薄らぐオーラ 午後六時すぎ。五十嵐聡は視聴覚室の仕事を終えて、少しばかり遅れて行政庁の定例会議に向かった。会議室にはほぼ
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薄らぐオーラ

 午後六時すぎ。
五十嵐聡は視聴覚室の仕事を終えて、少しばかり遅れて行政庁の定例会議に向かった。
会議室にはほぼすべての統治官と補佐、そのほか行政庁がらみの役職に就く者が集まっていた。
このところ国内の状況が順調であることから、明るい話題も多い夕方の会議だったが、きょうは違っていた。いつになく重い空気に包まれている。
「遅くなりました、すみません」五十嵐は頭をさげて、会議テーブルのいつもの席についた。
隣りで知世がささやく。「遅いじゃないの」
「ごめん……。なにかあったの?」
「なにかって……事故の話、聞いてない?」
「ああ。一年生がパチンコ台を運んでて、階段を転げおちたとか……」
「それが重体らしいの。意識不明で……」
「え?」五十嵐は息を呑《の》んだ。
塩津がテーブルを叩《たた》いて発言した。「行政庁にとってはひとりの国民にすぎないが、彼も人間だぞ。一年C組、南山順平《みなみやまじゆんぺい》。保健室で手当てをしたぐらいじゃどうにもならん。彼の命を失わせるわけにはいかんだろ」
と、長島がうんざりしたように天井を見あげた。「そんなこと言ったってよ。この国は独立国家だろうが。外の大人たち……っていうか日本に頼らずに自治してるから意味あるんじゃなかったっけ?」
「だがこのままじゃ、南山は死ぬぞ」
「冷静に」石森がいった。「南山を助けてくれなんて大人たちに頼んだら、降参したも同然だよ」
「薄情ね」沙織は冷ややかな目で石森を見やった。「国家のためには犠牲者がでるのはやむをえないっての?」
「そういうわけじゃ……ないけど」
雪絵は神妙にいった。「言い争っている暇はないわ。南山君を助けるのは、この校舎内では不可能よ。医師がひとりもいないっていう現実が、ここまで重いものになるとは思わなかった……」
会議室はしんと静まりかえった。
なにを悩むことがあるのだろう、と五十嵐はじれったく思った。ひとりの生徒が瀕死《ひんし》の状況にある。救わなくてどうするというのだ。
「救急車を呼ぼうよ」と五十嵐は告げた。「それが常識だよ」
石森が抗議する口調でいった。「五十嵐。おまえな。そんなに簡単に……」
長島が遮った。「俺は五十嵐に賛成だな。南山ってのは見ず知らずの赤の他人だが、俺らも体調崩したり大怪我負ったりする可能性はあるわけだろ? そんなときどうすんだい? 行政庁の人間だから優遇されるのかい? 裏口からこっそり出て病院に行けるとかさ」
沙織が首を横に振った。「そんなことしたら、生徒たち……民衆の反発を買うわよ」
そのとき、沈黙を守っていた菊池が静かに口をきいた。「それをいうなら、脱出ではなく越境だ。こちらは氏神高校国、向こうは日本国。塀は国境だからな」
塩津が立ちあがった。「そんなこだわりはどうでもいい。死にかけてる下級生がいるってのに……」
「どうでもよくはない!」菊池が一喝した。
また会議室内に静寂が漂う。無音のまま、しばらく時間がすぎた。
「だが」菊池はぼそりといった。「人命には替えられん」
「え?」長島が意外そうな顔をした。「どうするんだい? 兜《かぶと》を脱いで降参か?」
「そんなことは断じてありえない。国家としての意地は最後まで貫く」
雪絵がうなずいた。「発展途上国に限らず、国内に充分な医療設備や治療手段がなかったら、それを持つ別の国に依頼をするでしょ? それと同じことよ」
「そうとも」と菊池はいった。「けっして日本国の軍門に下るわけではない。慎重におこなわねばならないが……」
五十嵐は妙な気配を感じた。
きょうの菊池には、いつものような圧倒的な権威性が感じられない。というより、彼の発するオーラはこのところ、少しずつ薄らいでいたような気がする。
迷いが生じているのか。そんなの、とんでもない話だ。五十嵐は内心そう思った。僕らをここまで引っ張ってきて、途中で挫折《ざせつ》されたのではたまったものではない。
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