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千里眼225

时间: 2020-05-28    进入日语论坛
核心提示:真実の代償 校内で生徒たちが上げた歓声は�待機所�付近にまで聞こえていた。舎利弗はまだ呆然《ぼうぜん》と、その順位表を眺
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真実の代償

 校内で生徒たちが上げた歓声は�待機所�付近にまで聞こえていた。
舎利弗はまだ呆然《ぼうぜん》と、その順位表を眺めていた。
信じられない。二位以下には全国でもトップクラスの進学校で知られる高校が名を連ねている。きわめて偏差値が高いとされる東京の私立大学の付属高校も出揃っている。
それでも、氏神高校はそれらに差をつけ、単独首位の座に君臨していた。
ほかの教科も決して悪くはない。全教科の総合は全国で十七位だった。世界史Bの正解率との格差が激しいが、それでも二十位以内に下げ止《とど》まっている。生徒全員がどの教科もそれなりの高得点を挙げることができた、そうに違いなかった。
「いかさまだ」弘前校長が苦虫を潰《つぶ》したような顔でいった。「カンニングしたにきまっとる。教師による監視もなくおこなわれたこの模試はフェアではない。このような試験結果を鵜呑《うの》みにできるものか」
「でも」保護者のひとりがいった。「習研ゼミの模擬試験は事前に答えが判るはずもないんでしょう? 教科書の覗《のぞ》き見や、隣りの生徒の答案を参照するような方法で、全員がここまでの高得点を獲得できるでしょうか?」
「なにかインチキを働いたにきまっとる。あの生徒たちが私たちにしたことをもういちど、思い起こしてほしい。女子生徒が死んだように見せかけたり、教育委員会に念書をしたためたふりをして愚弄《ぐろう》したり、姑息《こそく》にこちらの常識の裏をかく詭計《きけい》ばかりだ。今度もまた、そういう騙《だま》しの類《たぐ》いだろう」
そうではない、と舎利弗は思った。
警察の監視班が撮影した画像を、舎利弗は見ることのできる立場にあった。
この模擬試験の最中、生徒たちに不穏な動きはみられなかった。生徒たちは間違いなく、自力で試験に臨んだのだ。そして勝利した。全国で唯一、いまだに世界史の履修不足問題を是正していなかった高校の生徒たちが、この短期間の学習で逆転を果たした。
どんな方法を使ったのだろうか。いや、方法だけではない。いま氏神高校国なる場所に身を置くことが、いかに集中力を喚起させ、集団でひとつのことを成し遂げるのに適した状態を作りだすか。その成果をまざまざと見せられた気がする。
校舎から漏れ聞こえてくる歓声に、報道陣が動きだした。なにごとかと辺りを見まわしている。何人かの記者が、早くもこちらに目をとめた。
この事実がニュースとなって全国に広まる。
舎利弗はふと寒気を覚えた。
氏神高校の生徒が、ほかの高校の生徒を凌駕《りようが》した。きょうという日を境に、この高校を見る世間の目が変わる。
大衆は熱狂的に支持するだろう。だが、日本政府はそうではあるまい。
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