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千里眼226

时间: 2020-05-28    进入日语论坛
核心提示:蜘蛛の巣 数日にわたって、二十人もの男子生徒の協力を得て捜索しているのに、爆弾の残骸《ざんがい》が見つからない。こんなこ
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蜘蛛の巣

 数日にわたって、二十人もの男子生徒の協力を得て捜索しているのに、爆弾の残骸《ざんがい》が見つからない。こんなことがあるだろうか。
美由紀は、体育館の真ん中に据え置かれたパイプ椅子に腰掛け、長テーブルに頬杖《ほおづえ》をついていた。
テーブルの上には、生徒らが方眼紙に描いた体育館の図面がある。
三人ずつの班に分かれて、怪しむべきところを隈《くま》なくチェックし、図面に印を書きこんでいく。当初はこのやり方で、少なくとも爆弾の破片のひとつぐらいはあぶりだせると考えていた。
ところが、図面すべてが印で埋まっても、目当てのものは発見できなかった。ふたたび最初からやり直したが、結果は同じだった。
石森健三が近づいてきた。顔は煤《すす》だらけで、真っ黒になっていた。「岬先生……」
「ああ、石森君。南側の通風ダクト、どうだった?」
「やっぱり駄目でした。それらしきものは見当たらないし……」
「そう……。みんなを集めてくれる?」
はい、とうなずいて、石森は笛を取りだして鳴らした。
体育館のあちこちから、男子生徒たちが駆け戻ってくる。
全員の学生服が埃《ほこり》で白くなり、顔は汗だくだった。
美由紀は立ちあがって、彼らを見た。ひどく疲れきっているようだ。
「ごめんね」美由紀はいった。「無理ばかりさせちゃって……」
長島高穂が手で顔をぬぐいながらつぶやいた。「いいっすよ、謝らなくても……。俺らも爆弾とやらを拝みたいし。実際、爆発があったのは確かなんだし」
「そうよね。でも……」
「もういっぺん捜索しなきゃな。今度こそ見つけださにゃ」
「いえ……。二度も探して見つからなかったからには、捜索の方法が間違っているのかも……。それに、みんなを危険な目に遭わせたくないし」
「危険って?」石森が肩をすくめた。「ダクトのなかを這《は》ってくぐらい、わけないですよ。勾配《こうばい》もそれほど急じゃないし」
「だけど、たとえばこの北西のダクトは? ほとんど垂直に、真上に伸びてる」
石森が図面を覗きこむ。「ああ、こりゃたしかに、たいへんそうだ。……こんなところを調べた奴がいるのか? すげえな」
長島も近づいてきて図面を見やったが、ふんと鼻を鳴らした。「ありえねえな。梯子《はしご》も入らないほど狭いダクトなのに、十数メートルもの竪穴《たてあな》をよじ登ったのかい? 南東の斜めになったダクトでさえ難しかったのに、こんなところ調べられるか?」
「でも」と石森が図面を指差す。「チェック済みの印がついてるよ」
美由紀はうなずいた。「そう報告を受けたはずだけど……」
石森は全員を見渡してたずねた。「北西のダクトを調べたのは誰だ?」
二年の男子生徒が恐縮ぎみに手を挙げた。「僕らですけど……」
「登って奥まで調べたのか?」
「……いいえ」
「いいえ、だと? なら、どうしてオーケーの報告をした?」
「そのう……ずっと使われなかったダクトらしくて、蜘蛛《くも》の巣がびっしり張りめぐらされてたので……」
鈍い感触が身体を駆け抜ける。美由紀はきいた。「蜘蛛の巣?」
「はい。長いこと誰ひとりとして侵入してない、と思ったんです」
「そうとは限らないわ……。蜘蛛はたった八時間で巣を作るのよ。数日もあればダクトを巣で埋め尽くすことぐらい、わけないはずよ」
美由紀は歩きだした。演壇のわきにある戸口を入り、階段を登って舞台の袖《そで》に入る。
その真上に、北西のダクトが伸びていた。
「懐中電灯、ある?」美由紀はきいた。
「ペンライトなら」と石森が差しだしてきた。
美由紀はそれを受け取り、真上を照らしだした。
生徒の報告どおり、四十センチ四方のダクト内には、白く光る蜘蛛の巣が縦横に張りめぐらされている。
だが、どれも新しいものだ。
「この中で爆発が起きたら」美由紀はつぶやいた。「光は体育館じゅうに達するわね。それに、空気も化学反応の影響を受ける」
長島が同意した。「位置的には可能性ありますよね」
「脚立、運んできて」
「よっしゃ」長島と石森、それに男子生徒らが駆けていき、すぐにアルミ製の脚立を運びこんできた。
その脚立をダクトの真下に据え置く。美由紀は登りだした。「わたしが行くわ」
石森がいった。「気をつけてください」
ダクトのなかには、メンテナンス用の足場がそこかしこにあった。そこに足をかけながら、慎重に身を捻《ね》じこませる。
蜘蛛の巣にまみれながら狭い竪穴を登るという作業は、不快きわまりないものだった。ペンライトを口にくわえ、たびたび頭上を照らしながら、ゆっくりと登る。
汗で手が滑りそうになる。足場も小さく、踏み外してしまいそうだ。
息苦しさを覚えながらも、なんとか頭が天井につくところまできた。ここから先は横穴だ。
ライトで行く手を照らしたとき、美由紀は息を呑《の》んだ。
直径三十センチほどの球体、半分ほど砕け散って、ダクトのなかに転がっている。あちこちに破片が散乱していた。まるで、不気味な生物の卵が孵《かえ》ったかのようだ。
美由紀はペンライトをつかみとると、下に向かって叫んだ。「あったわ!」
一瞬の沈黙ののちに、男子生徒たちの歓声が響いてきた。
とうとう見つけた。美由紀は横穴のなかに身を躍らせながら思った。生徒たちが劇的な変化を遂げた、そのきっかけとなった化学反応。なにが起きたのか、いまそのすべてがあきらかになる。
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