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イブのおくれ毛11

时间: 2020-06-09    进入日语论坛
核心提示:器  量ハイジャックがひんぴんとあるので、日本人の海外渡航熱はすこし下火になるんじゃないか、と書いてある本もあった。私が
(单词翻译:双击或拖选)
器  量

ハイジャックがひんぴんとあるので、日本人の海外渡航熱はすこし下火になるんじゃないか、と書いてある本もあった。私が、海外へしばしば出かける紳士にそう聞くと、
「ヒャー、そんなことおまッかいな。一向こたえしまへんわ。ハイジャックが何ぼあったかて、自分はぶつかるはずはない、と信じてますからな。あいかわらずドンドン、いきよりますわ」
と、このインテリ紳士はいった。
彼はそういう日本人の性癖——子供っぽい物見だかさ、流行に足をすくわれやすいうわついた無思慮、無意味な優越感や、好奇心をおもしろがり、気に入ってるのである。
「けど、それはアホ、いうこっちゃなあ」
とカモカのおっちゃんはいった。
おっちゃんは、人間、何をするにも「器量」というものがある、という。
器量に見合ったことをせにゃならぬ。
五合ビンに一升の酒は入らぬのだ。
しかるに今日びの日本人はみな、一升の酒を五合ビンに入れようと狂奔しとるのだ。
これが、すべての破調の原因だという。
「故に、器量のあるもんでなきゃ、海外へいったらあきまへん」
「英語がしゃべれるとか、金があるとか」
「いや、そんなもんはいらん、それは器量の中には入りまへん」
では何かというと、ハイジャックに会っても、泰然自若、という器量だという。
「すると、日本人はみな器量がある方とちがいますか。わりにみな、何事もなかった、ケロリとした顔で、帰って来てはる」
と、さっきのインテリ紳士がいった。
「うんにゃ、ちがいます。器量というのはその本人だけとちがう。まわりの器量も、問題になる。まわりに器量のない人間をもってる、ということは、その本人自体に、器量がないことである」
とカモカのおっちゃんは断言した。つまり、奇禍に遭った家族の右往左往、泣き声、涙、さらには出迎えのときの狂喜乱舞、うれし泣き、家族の情愛として当然かもしれぬが、あまりに女々しく、また、それを、これでもかこれでもかと追っかけてうつすテレビ屋の嬉しがり、新聞屋のらんちきさわぎ——もうみな、日本人全体、器量のないことを、暴露してるという。
「そやろ、ハイジャックに会《お》うたからいうて、いちいち泣き声たててさわぐなら、はじめから行かんといたらええねん。——るす番家族が、各地から上京して羽田に陣どってワイワイいうて詰めてる。あれもムダなこと、家におってテレビ見てる方が何ぼうか、ニュースが早い。仕事もあるやろに抛《ほ》っぽり出して詰めてることはあるまい。ハイジャックに会うのは、運がわるいので仕方ない、しかし会ったら何とかする、と覚悟のホゾをきめてゆくのが、人間の器量いうもの。また、るす家族も、あいつなら万一のことがあっても、何とかしよる、と思いきめて出すのが、人間の器量。双方、その器量ないのに、フラフラ出あるくさかい、一たんコトがおきると、目ェ血走らせて狂奔し、関係者を責めたり吊るし上げたり、見当ちがいも甚だしい。器量ないもんは、うごくな、ちゅうねん」
「おっちゃん、そんなこと、この日本でいうたら、石投げられるよ」
と私は忠告した。更に、おっちゃんの盃に酒をついでやりつつ、
「おっちゃんは日本人ばなれしたこと、時々いうからいけない」
「そうかいなあ」
「そら、そうよ。家族が危ない目に会《お》うたら、るす宅のもん、心配で右往左往するのは当然。一刻も早く安否を知りたいと、地許《じもと》の本拠へかけつけたくなるのも、これまた、人情の自然。やはり日本には、日本の人情がございますですよ」
「そこでンがな。昔の日本人は、日本人らしく、身のほどわきまえて行動した。自分の器量、知っとったんや」
「でも、おっちゃんかて、もし、奥さまがあんな目に会ったら、取るものも取りあえず羽田へかけつけて、何時間も椅子に坐ってニュースを待ってイライラしてるでしょ」
「いや、僕はかなわんですな。仕事もおまっさかいな。仕事しとってラジオのニュース聞いてたら、正確やし早い。それに羽田へ僕が行ったからとて、女房《よめはん》一人、先に帰ってくるもんでもなし」
「おっちゃんニヒルやねえ」
と私がインテリ紳士をかえりみると、紳士もうなずき、
「いや実をいうと、僕もそうですな。しかし人間は義理人情いうもんがおましてな。もし、家内がその飛行機に乗っとるとする。するてえと、家内の老いたる両親や兄妹なんてえ手合いが、羽田へかけつけるね、これは。親きょうだいがいくのに、亭主がいかんとはけしからん、てんで、僕は無言の非難のまなざしを浴びる。一人超然としてるのがどうも具合わるくなり、こうなりゃ、人間の器量がどうのこうの、といってられない。羽田へ詰めることになるでしょうなあ、いやが応でも」
「そういや……今までのあんな事件《ケース》の」
とカモカのおっちゃんは、紳士に酒をつぎつつ、いった。
「るす家族の中でも、かなりそういう義理で来とる亭主も居ったんちがうかしらん。男は辛いもんで、自分は毛頭その気が無《の》うても、義理でうごかねばならんときが多い。ゆうべもそうや」
「こっちは超然としてるのに、女房の方はその気になったりして」
「無言の非難のまなざしを浴びて……」
「居心地わるく、われとわが心に鞭打って」
「目を血走らせて右往左往してしまう」
「人が見たら、あほらしいやろうなあ、とわかってるんですが……」
「しかし人間には、義理人情いうもんがおまして、女房《よめはん》がその気になってるのに、知らん顔してるのも、日本人ばなれしてますし」
何の話や。ハイジャックの話じゃないのか。
「結局、器量のないのに、女房なんか持つからです。やっぱり人間、器量の問題よ」
と私がいってやったら、男二人、いやあな顔して私を見よった。
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