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イブのおくれ毛15

时间: 2020-06-09    进入日语论坛
核心提示:淫・食・遊物がない、物が高すぎる、という話を、私はしていた。あいてはむろん、カモカのおっちゃん。おっちゃんは、物不足にも
(单词翻译:双击或拖选)
淫・食・遊

物がない、物が高すぎる、という話を、私はしていた。
あいてはむろん、カモカのおっちゃん。
おっちゃんは、物不足にも動じない御仁であるから、
「実に清潔なご時勢になりました。今まで物がありすぎるのがまちごうとったんや。今みたいに物不足の方が本当なんですなあ。そないたくさん、モノがある方がおかしい」
とゆったり、のたまう。
「そうね、あるもんで間に合わせるとか、大事に惜しんで、すりきれるまで使う、という方が本当でしょうね」
と私もうなずいた。
「いまの人はゼイタクやから、まだいたんでないのにすぐ、ホカのと買い替えたり、新品同様なのを打っちゃらかしたり、しますね。あれはいかんと思うわ」
「それはそうですが、しかしモノによっては、すりきれるまで使う根気がない、ト。いたんでないけど、ホカのと替えとうなる、ト。新品同様やけど、目移りしてすぐ打っちゃりとうなる、ト。——物によってはそういうのもあるかもしれまへん」
おっちゃんは同情的口吻でいう。
「物ってどんなものよ」
「たとえば女房《よめはん》であるとか……」
「だまれ!」
なんですぐ、そこへ話をもってくる。
「私のいいたいのは、ですね」
と私はおっちゃんに酒をついでやり、
「アノー、いまおっちゃんは、清潔なご時勢や、というたわね。それはかめへんのです。しかし物不足から精神主義に突走って、すぐ精神の統制までとろうとする考え方が、日本人にありますねえ。あれは、かなわんなあ」
ある地方都市の市役所、ガソリン不足からマイカー通勤を禁止した。それはよろしい。しかしゴルフ・麻雀のたぐいもついでに、自粛するようお達しが出た、という新聞記事を見た。
役所が、ゴルフ場新設願いを不許可にした、などというのは、それはかまわない。しかし麻雀ゴルフを個人がするのまで、ヤイヤイ目くじらをたてていたら、世の中うっとうしく灯が消えたようにいじけてしまう。えてして、物不足というと、こういう所へまで突走っていやらしい。
戦争のはじめの頃、トビアガリの国防婦人会あたりが、街頭にしゃしゃり出て、「パーマはやめましょう」「袂《たもと》が長すぎます」ととがめだてしたのと同じ、うっとうしさを感じてしまう。
こういう考えこそ、イナカモンと思うのですが。
私が舌ったらずでまくしたてているのを、カモカのおっちゃん鷹揚《おうよう》に聞いてうなずき、
「まア、しかし、どんな時代でも、そないいうて旗ふる奴はおるんですわ。それも人間の生まれつきのタチで、しょうがおまへん。そんなん、いちいち怒ってもしょうない」
いったい、おっちゃんは、どんな時に目くじらをたてて怒るのかね。
「そら怒るときありまンがな。メシの炊きかたがまずい、とか、酒の燗がぬるい、とか……こんな腹立つことがおますか。人間、真剣に怒るべきは、そういう時ですぞ。そういえば、この酒はぬるい、もっと熱うせい!」
私、あわてて酒を暖めつつ、
「すると、物不足になって、食べもの飲みものがいよいよ欠乏すると、おっちゃんは餓鬼か阿修羅のごとくなりますかね」
「なーに。酒がなけりゃ焼酎を飲む。焼酎もなけりゃ、薬用アルコールをシロップで薄めて飲む。米がなくなりゃ芋のツル、どないしてでも腹ふくらかしますわ」
しぶとい奴だね。
「すると、おっちゃんの困るものって何もないのかしら、衣食住のうち……」
「衣食住、というのもおかしいですなあ」
とおっちゃんは熱燗をちょっと飲んでみて、満足すべき熱さだったらしく、にこにこしていった。
「僕ら、何着てても平気。どんな家に住んでてもこたえまへん。衣はもって、寒を防ぐに足り、住はもって、雨露をしのぐに足れば、気になりまへん。物ぐさ太郎みたいに、四方に竹キレたてて、上にムシロかぶしとる家でも平気ですな。しかし食べもの(中に飲みものもふくまれる)ならびにもう一つのものは、これは、注文が多い」
「もう一つのものって何ですか」
「それはもう。色にきまってます。そやから、衣・食・住なんて、僕らからみると、何でこんな並べかたしたんか、思う」
「じゃ、どう並べるのよ、色・食……」
「遊、ですな」
「あそびごとですか」
「さよう、ゴルフも麻雀も、かけごと、スポーツ、勝負ごと、一切入ります。そういうもんなかったら、何のために人間生きとんのやわからへん。これが遊、です」
「すると、おっちゃんの人生というのは、食べる飲む、色にいそしむ、遊ぶ、つまり、世に謂うところの、飲む打つ買う、になりますね」
「飲む打つ買う、これもしっくりしまへん」
と、おっちゃんは中々、気むずかしく字句の定義をあげつらう。
「飲むだけではあかん。食べものがようないと、僕は気に入らん。打つ、というのはまあ、まし。買うというのがおかしい。僕は売り買いだけではたのしくない。買うに買えん手合いをイロイロ試みてたのしむ、そこに、ええとこがあります。ひとしなみに、オナゴいうもんをたのしむ、オナゴいうもんが、そこにいるだけでええ、その空気の暖《ぬく》もり具合をたのしむ、こういう気持を、単に『買う』だけで表現できますか。あきまへんやろ」
「ウーン、それは色、でしょうねえ、やはり」
「むしろ、淫かもしれまへん。すると僕のは、衣・食・住の代りに、淫・食・遊ですなあ」
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