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イブのおくれ毛23

时间: 2020-06-10    进入日语论坛
核心提示:嫁 入 道 具このまえ、町を歩いてたら、大安の日なのか、友引、先勝の日なのか、ともかく日柄のよい日らしく、婚礼の荷物送りの
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嫁 入 道 具

このまえ、町を歩いてたら、大安の日なのか、友引、先勝の日なのか、ともかく日柄のよい日らしく、婚礼の荷物送りの車を何台も見た。
あれは関西以外の地でもするのだろうか。
トラックの車体に、定紋入りの幕をめでたく張りめぐらし、紅白の紐を華やかに荷物にかけわたして、車体にくくりつける(細引きやムシロ、ロープを使ったりすると引っこしになってしまう)。紅白の紐と青いまん幕、これが嫁入道具の荷はこび風景で、その車が風を切って颯爽と走るのは、(女にとっては殊に)目を奪われる光景である。
私は、こういう慣例に従った結婚というものをしたことがないので、たいへんうらやましいような、かつ、尻こそばゆいような気になる。
それを説明することはむずかしい。人さまの身の上なら、べつに何ともないが、自分がもしそうするとなると、妙に気はずかしい、てれた気分になる。
若い美しい花嫁の高島田、裲襠《うちかけ》というものはいいものだが、私がそんな恰好するというと(たとえ若く美しい私、と仮定しても)何だかおちつきわるく、エレベーターで、スーッと下るときの、なんともいえぬへんな気分に襲われる。
どうも私は、結婚式の慣例、風習というものに馴染めない体質らしい。
そのくせ、人さまの、そんなことをなさるのを見るのは大好き、かつ、人さまの場合だと、いかにもしっくりと似つかわしいのであるが。
そんな具合で、婚礼の荷物送りの車も、わがことにあてはめると、何だか、まぶしい感じで身にそぐわない。かつ、車自体、気にくわない。そこのけそこのけ、という感じで諸車をかきわけ疾駆する。これは嫁入道具やぞ、退《の》かんかい、あほ、という感じで傍若無人に跳ね躍って走る。
車上にあるのは冷蔵庫、洗濯機、ステレオ(らしきもの)、テレビ、電子レンジと、電気製品一式、たんす、衣裳箱に、綿のふっくらはいった重ね蒲団一式。蒲団も、蒲団袋などに入れてはいけないことになっている。
外からよく見えるように積み上げ、まっかな綿繻子《めんじゆす》の、鶴など浮き出した華やかな夜具、そこへ紅白の紐をくいこませてしっかり結《ゆわ》えつけ、更に、荷物も、たんすの裏側などを見せて積むものではない。ちゃんと外側へ向けてきれいに並べ、上げ底でもよいから、いっぱいに積んであるという風に、見せかけるのである。
たまたま、私の乗ったるタクシーなんぞが信号で止まる、あるいは高速で長い渋滞、ちょうど横へ、嫁入道具の車が来たりして見ると、運転手は、何の面白くもなさそうな顔で、やおら煙草をとり出してふかし、ぶすッとしていて、これは当り前である。べつに運転手が結婚するわけやないねんから。
荷台の上には、采配の男がうずくまって一人二人乗っており、たいがいこれは花嫁の身内、兄弟か、それに近いもの、「荷物目録」なんぞ、かくしにつっこんでいて、先方についたら渡す役目、別のポケットには、運転手や助手にやる祝儀袋や煙草が入れてあったりする。この男もつくねんと、早春のうすい日ざしを浴びて膝小僧を抱え、面白おかしくもない顔で荷物の谷間にうずくまっている。
結婚というヤツが面白いのは、全くのところ当事者二人だけで、あとは誰一人、面白いものは居らぬ。
花嫁花婿は、それを、ようく、心得られたい。
くだんの荷物はこびの宰領の男も、時には大|欠伸《あくび》、耳の穴に指をつっこんだり、鼻の穴につっこんだりして、目をしょぼしょぼさせたりしているのだ。こんな天気のええ日、釣りかゴルフにでもいった方がましや、と思っているのかもしれぬ。
尤も、この頃は、「荷物目録」もへったくれもなく、また運び先も婚家というより、2Kの団地やアパートというのもあるであろう。そういう簡略なのは、花婿自身、車に乗り、花嫁も助手台に乗って運ぶ、というのもあるかもしれない。
しかもそこまで簡略化すると、青いまん幕も紅白の紐も不用、引っこしと同じように心得て、ぎりぎりロープでしばる、という不粋なことになるかもしれない。
かつ、嫁入道具は新品、ときまったものだが、このごろは強引でちゃっかりした娘が多く、親や親戚の家の不要品をせしめて、それで購入代金を浮かすという子もあり、それらを混ぜ合わせてはこぶと、ますます、引っこし荷物、ガラクタ道具になってしまう。本人自体、新品でないのもいようから、べつに、どうってこともあるまい。そして、そういう嫁入道具の荷はこびなら、私も、べつに尻こそばゆくなったり、おちつきわるくなったりしない。同乗してる花婿花嫁が、うれしそうに荷物の谷間でべちゃくちゃしゃべっていたりするのは、家具の配置場所を論議するのであろうか。それはそれで、いいながめでかわいらしい。こんなのは私は好き。
しかし青いまん幕、紅白の紐は何としよう。ピカピカの新品、これ見よがしの紅いなまめかしい夜具、朝な夕なに、新妻のあですがたをうつす新妻鏡、たんすに台所道具、それらは無言のうちに、
「結婚するねんぞ、これは結婚、ヨメイリ、婚礼の道具やぞ、どや、うらやましやろ、うらやましかったら、お前も早《は》よ結婚せんかい、あかんたれ、何やて——相手まだよう見付けんのか、鈍《どん》くさい奴ちゃ、何ボヤボヤしとんねん、そういう奴はな、一生みつかれへんわい、ワーイ、見い見い、この嫁入道具のはれがましさ。お前ら嫁入り、結婚て、何するのんか知っとるか、ぼんくらメ」
と、叫んでいるように思われる。その叫びは車の疾走と共に町中にどよめいてふりまかれ、ヒトリモノ、ヤモメ、ゆきおくれのハイミス、爺さん婆さんを切ながらせるように思われる。私の、尻こそばゆい原因はこれかもしれない——しかしカモカのおっちゃんは私に娘がいるかと聞き、いるというと、
「それ、それやがな。あれだけの嫁入道具、娘に持たせるのんかと思うと、しぶちん(ケチ)のおせいさん、背筋寒うなったんやがな」
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