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イブのおくれ毛26

时间: 2020-06-10    进入日语论坛
核心提示:また敗けたか、八聯隊すべて、いささか反応が鈍い私は、このごろ、やっとゆっくり小野田サンのことを考えている。小野田サンをた
(单词翻译:双击或拖选)
また敗けたか、八聯隊

すべて、いささか反応が鈍い私は、このごろ、やっとゆっくり小野田サンのことを考えている。
小野田サンをたたえたり、あるいは貶《けな》したり、ということではなく、ともかく、あの人は大阪人にはないタイプとちゃうか、と切実に思うものだ。
命令を守って三十年も孤島のジャングルにひそみ、命令がなければ出てこない、という強靭《きようじん》な神経は、どうも、大阪っ子には恵まれていない気がする。
もし、大阪っ子の中から、たまたまそういう人があらわれたとしたら、それは、突然変異というか、生まれ損ないというか——
「江戸っ子の生まれ損ない金を貯め」
という川柳があるが、
「浪花《なにわ》っ子の生まれ損ない穴ごもり」
とでもいうべく、大阪っ子のイメージにはそぐわない感じである。
胡地の風雪に十九年も堪える、あるいは臥薪嘗胆《がしんしようたん》、何十年も復讐心《ふくしゆうしん》に燃える、または面壁九年の修行、などという、およそ一つことを思いつめて歯をくいしばってやりとげる、「忍の一字」を胸に秘め、何くそ、とやりぬく、そんなところが大阪っ子にはない。
思いつめてカーッとなる、また、じーっと、怒り狂う胸を抑えて忍耐する、そんなところもない。
どうも、深沈たる大度に欠けとる。
剛毅朴訥《ごうきぼくとつ》、というところも少ないようだ。思いつめてカーッとなる、しかしそれをぐっと抑える、という深みは、東北人、関東者の特質なのではないか。
よく電気紙芝居の大阪商人立志伝には、身を粉《こ》にして働いて初志を貫徹する成功者のストーリーがあるが、その在所をたずぬれば、きまって江州《ごうしゆう》や四国、九州の出身者である。太閤さんのお膝元で生まれ育った立志伝の主人公は、ないではないが少ない。
されば、大阪の旧軍隊は、日本軍の中でも弱卒劣兵が多いので有名。われわれ子供時分のハヤシ言葉は、
「また敗けたか、八|聯隊《れんたい》——」
というのであった。
自分の郷里の師団の敗退を、手を打って笑い、はやし立てているのだ。
こんなけったいな土地柄があるやろか。東北や鹿児島など、精強をもって鳴る土地の兵隊は、武勲|赫々《かくかく》という働きで郷土人の深い尊敬と誇りをかち得ているのに、わが大阪の兵隊サンは、「また敗けたか八聯隊」と手まり唄にうたわれるのだ。兵隊サンも聞いて笑ってる。
あるいは縄とび、ゴム紐とびに唄われる。オシッコの飛ばし合いに口ずさまれる。そうしてそれを小耳に挟むオトナたちも、たしなめるでもなく、嘆息するでもなく、まして恥ずるでもなく、至極当然な顔で聞き流す。
かかる土地柄の兵隊サンから穴ごもり三十年という堅忍不抜の勇士が生まれるはずはなかろう。
かりに大阪出身の兵士だと、もし、ひとり胡地に残置されたるとき、どうするだろうか。日ならずして、飽いてしまいそうな気がする。同郷人として、赤面のいたりであるが、どうも根気がない。仲間がいなかったりするとよけい、淋しがりになる。
(いっぺん、顔出してみた方が、ええのんちゃうやろか?)
などとヒトリゴトをいって自問自答する。
(あかんかってもモトモトやし)
などとひとりうなずき、それでもあれこれ考えたりして、しばらくはまた、保《も》っているが、やがてまたぞろ、
(あーあ、あほらしなってきた)
と思う。
大阪っ子の兵隊にとって、この(あほらしなってきた)という感慨ほど、蚕食力《さんしよくりよく》のつよいものはない。すべてこの言葉をぶっかけると、銹《さび》が鉄を食いつぶすごとく、じりじりとあらゆるものが腐蝕してゆく。もはや、神聖なもの、守るべきもの、拠り所とすべきものは銹に食われてしまう。あとに残るのは、醒めて白けた現実だけである。
(ワイ、いったい何しとんねん?)
と我とわが身をかえり見、
(ヒャー、あほくさ、もうアカン)
などと大阪っ子の兵隊は思う、いや、思いそうな気がする。どうも、そういう、ちゃらんぽらんなところがありそうで、お恥ずかしい。かくて彼はヒョロヒョロとすぐ出ていったり、また、村の原住民の娘と仲良くなって酋長の娘婿に納まりかえったり、しそうな気がする。
ちゃらんぽらんは大阪っ子のお家芸とはいえ、まああんまり自慢できない。
関西者といっても、都市部の大阪っ子と、地方都市とはちがう。一律に西日本といえぬ。
播州の兵隊サンは、同じ西日本でも精兵で知られ、これは第二次大戦中、おもに、中国大陸で奮戦したのだが、「真ッ先かけて突進し敵を散々|懲《こ》らしたる」勇士の集団。そのくせ、敗戦ときくとある聯隊など、すぐさまありったけの金を阿片に代え、それでもって引揚げの日まで悠々と食いつなぎ、引揚船に乗ったとき、他の兵隊は栄養失調で骨皮なのに、その聯隊だけ丸々太っていたというような、文武両道の達人がいたりする。
わが浪花っ子はそこまでも到らず、じつにもう、ちゃらんぽらんというのは、どっちつかずでたよりない。薄っぺらでございます。
カモカのおっちゃんにいわせると、
「そうそう、大阪っ子というのは、女と寝るときもそうですなあ。すぐおひゃらかして、醒めた眼をして眼鏡をかけて女をとみこうみ観察したりして、オチョクッたり、ヒヤカしたりする。軽佻浮薄《けいちようふはく》に寝よる」
そうかなあ。
その点、私は不同意である。だって、女と寝るのに、あまりちゃらんぽらんでは、第一、コトが運ばないではありませんか。あの場合は、たとえ一瞬でも、一応は、ともかく、カーッと熱くなって一心に思いつめて、歯をくいしばって、やりとげてもらわないと……
「いや、そこだんがな」
とカモカのおっちゃんはいう、
「寝る前は、カーッとして関東者になり、すんだあとは、大阪っ子にかえるんですなあ」
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