日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

イブのおくれ毛29

时间: 2020-06-10    进入日语论坛
核心提示:かわいい男郷ひろみがかわいいという中年女性が多いそうである。私も中年女であるが、あのひろみ君は、かわいい顔立ちをしている
(单词翻译:双击或拖选)
かわいい男

郷ひろみがかわいいという中年女性が多いそうである。私も中年女であるが、あのひろみ君は、かわいい顔立ちをしているものの、「かわいい男」というわけにはまいらないから、私にとって縁なき衆生である。赤ん坊のかわいいのを見るような感じで、小学唱歌のような歌をうたっているのを、お利巧さんお利巧さんというところである。郷ひろみの脚がどうの、野口五郎の頸がどうの、ジュリーの肩がどうのといって、しびれている中年婦人の傾倒は、私には何べん説明されてもわからないところ。
これは思うに、わが家に同じ年ごろの息子がいて、行住坐臥、私の叱言《こごと》のタネであり、私にとってこの年ごろの男の子は、幼稚園に毛のはえた程度で、とうてい男と見なしにくいからではないか。息子にまがう年頃の男の子の腰つきや肩がいかに恰好よくても、私にとっては、
「風呂にはいったの、何日、髪洗ってないんです! 洗わないと押えつけて丸坊主にするよ!」
「いいかげんに起きなさい、もう昼よ!」
という対象にしか捉えられぬ。年若い青年を異性とみとめられないのは、私にとってたいへん不幸である。若い子にキャーキャーと血道をあげる友人のうばざくら連を見ると、私は何だかソンをした気がする。
しかし、何にせよ、私がかわいいと思う対象、赤ん坊や少年少女《こども》はもう、たくさんだ。ウチにはコドモは馬にくわせるほど、どっさり、いるのだから。
やはり、「かわいい男」というのに、ぶちあたりたいですね。これはいくらたくさんいてもいい。
「かわいい男、というのは、どんなんをいうのでっしゃろ?」
カモカのおっちゃんは、いそいで聞いた。早いとこ自分も、その極意を体得して、女たちにかわいがられたいという魂胆であるらしく見えた。
「まあ、正直な男でしょうね。率直なこという男ね。やさしいだけの男はダメです」
「ムム、正直」
「それから、頑固」
なんで頑固がいいかというと、この間、私はものすごくかわいい男と思ったのは、石川達三センセイである。
センセイは、某誌に、ご自分の日録を発表していられる。これが中々人気があり、延々三年以上つづけていられるようだ。なぜ人気があるかというと、社会、政治、風俗、芸術、文壇に対して、ズケズケとワルクチをいって憚《はばか》らぬところにあるらしい。しかも現代の世相、七十歳の剛直|不羈《ふき》のセンセイの信条に逆らうことのみ多く、ことごとにセンセイは怒りを発し、腹を立て、毒舌を吐かずにいられないのである。
この間の三十九回をよんでいると、センセイは四十年来のホームドクターともいい合いする。医者は空腹時にいきなり酸っぱい果物などを食べるのは良くないといい、センセイは何をバカなことをいうかと「激論」になった。猿や兎や猪など、腹がへったら果物を食べる。それで猿や猪が胃病になった話は聞いたことがない、胃袋なんぞ野蛮な臓器だという。医者は憤然とするがセンセイは胃袋問答は自分が勝ちだと思う。
また、高校生の若い娘が突然、電話でアンケートを求めてくる。センセイはその非礼を諄々《じゆんじゆん》とさとす。私などからみるとそんな数言を費やすあいだにアンケートに答えてやればいいと思うが、センセイにとってはそれはスジが通らぬ。センセイの訓戒に娘は、「ハイわかりました」といちいちいう。
センセイは、(何でもわかってるくせに、自分の無礼がわかっとらん、現代の若い人にその感覚が欠落しとる)と思う。それはなぜか。センセイは考える。しかし「どうもはっきり解らない」——このへん、よんでてふき出してしまう。どうもかわいい男である。
郵便局から、年賀郵便を、暮れの内に配達してもよいかどうか問い合わせてくる——センセイは沈思し承諾する。
「大晦日も元日も、同じ一日である。呼び名がちがうだけだ」
またセンセイは元旦の新聞で目を引く記事を発見する。「玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする」という百人一首の式子《しきし》内親王の歌につき、田辺聖子氏が解説しているのだが、「日本人の恋唄として最高クラス」とほめているのはさておき、「弱りもぞする」は「|よあり《ヽヽヽ》もぞする」ではないかと、いろいろ考察する。さっそくセンセイは市販の歌留多の読み札を調べる。
「よわり」になっている。しかし信じられぬ。
更に「念のために」山岸徳平監修の註釈本を見る。これも「弱り」だが、ここでは田辺氏の解釈とまるで違う。「なお不安」になり、センセイは翌日、「専門的な研究家」である竹西寛子氏に電話で聞いてみる。竹西氏も「弱り」だという。そんなハズはない。
センセイは「更にしつこく」歌人・五島茂氏に電話をかけ、「美代子夫人に解説を求めたが」やはり「弱りもぞする」が正しいとされる。どうも釈然としない。
翌日、またもや「わざわざ自由ヶ丘の二軒の本屋を廻ってみる」。これも「弱り」ばかり、この上は国学院大学教授・角川源義博士にしらべてもらうか、天理図書館にたのんで古い文献をしらべてもらおうと思う。
さらに三日後、古典文学の研究家・塚本邦雄氏に「人を介して教えを乞うたところ」、やはり「弱り」と教えられる。しかしこの歌は良い歌ではないといわれ、センセイは納得、つまらん歌だと改めて思う。さらに五日後、久保田正文氏から古い写本の資料を送ってもらった。みな「よわり」である。ここに於て先生は不本意ながら、これにて「一件落着」とする。
その頑固ぶりと執念ぶりがじつにユーモラスでよんでておかしくてかわいらしくて、センセイがムキになって空振りすればするほどかわいらしくてたまらないのである。近ごろこんな、かわいい男ははじめてである。石川センセイ、だいすき。
しかしカモカのおっちゃんは憮然として、
「やはり何ですな、男も、かわいくなる頃にゃ、すでに七十なんですなあ」
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%