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イブのおくれ毛37

时间: 2020-06-10    进入日语论坛
核心提示:強 い 男カモカのおっちゃんと飲んでいたら、私の家は陋屋《ろうおく》でありますゆえ、ゴキブリが足のそばを走っていった。客
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強 い 男

カモカのおっちゃんと飲んでいたら、私の家は陋屋《ろうおく》でありますゆえ、ゴキブリが足のそばを走っていった。客人に対し、申しわけありません。
「ナニ、これも、馳走のうちです」
とおっちゃんは泰然自若《たいぜんじじやく》、
「大厦《たいか》高楼にはそれなりのよさがあり、陋屋廃家にはそれなりのよさもあります」
ホント、何をみてもビックリしない御仁、ゴキブリが|ぐい呑み《ヽヽヽヽ》の中にあやまって落ちこんでも、漢方薬です、といって飲むかもしれない。
「いや、その漢方薬は少しこまりますが、しかしまあ、何にしろどうってことはない。ただ、やっぱり長物はにがてですなあ」
「蛇」
「蛇に、げじげじ、ムカデ、ヤスデ」
「男でもやっぱり、にがてですか。私は男であれば、そんなもの素手でつかんでポーイと抛《ほう》ってくれるもの、という先入観念があるのですが」
「無茶いわんといて下さい。男かて、怖いもんは怖いです。男なんて弱いもんですわ。僕ら、蛇やムカデみたら、アレエーなんて、叫んでしまう」
私は、おっちゃんとは、決して山へいかないぞ、と心にきめた。
「俵藤太《たわらのとうた》は、ムカデ退治をして男をあげましたわよ」
と、私はできるったけ侮蔑的表情をつくっておっちゃんを見た。
「源頼政はヌエを退治したし」
「エー、ムカデといえば、毘沙門天《びしやもんてん》サンはムカデが使者になってますな。キツネがお稲荷サンの使いみたいなもんで」
とおっちゃんは、いそいで話題をかえた。
そういえば、以前、私が播磨《はりま》の豊富町へいったとき、有乳山岩屋寺なるお寺で、平安の重文という毘沙門天を拝んだら、そこの絵馬にムカデが描いてあったっけ。
とっても大きい絵馬だった。宝珠をまん中に支えている二匹のムカデが、リアルになまなましく描いてあった。
俵藤太が矢で射て殺したムカデも、こんなに巨大だったのかもしれない。昔のサムライは勇ましく、男らしかったんだナー。
「エー、俵藤太はムカデを射るときにどうやって射たか、知ってますか」
おっちゃんは、話題が自分に不利なところへいきそうになると、必死でかえようとする。
「伝説によれば、いくら矢を射てもムカデが死なへん。おかしいなあ、と思《おも》て、矢にツバをつけて射てみた」
「あら、私の聞いたのは、矢に歯糞《はくそ》をつけた、というのでしたよ。ヘンな伝説やけど」
と私は訂正した。おっちゃん聞こえぬふりで、
「ツバをつけた矢はすぐ通った。二度めからはツバをつけないでも入った」
ここで返事したら、おっちゃんの思うつぼにはまるから、とりあわないでおきましょう。
「ところで、この間、ある雑誌に、主婦の手記が載っていましたが」
とこんどは私が話をかえる番である。
「男のひとで強い人、というのは、世間の常識を裏切って、青白くてやせた、非力《ひりき》な人だそうですね」
「その強い、というのは性的に?」
「そうです。ふつう一般には、見た眼に体が頑丈で、好色そうで元気あふれるような男が、強くて、技巧的にも万全、と思うでしょ。ところが、その手記によれば、それはしばしば、あやまりである、といっています」
「なるほど」
「書いてる人は主婦やけど、私、きっと、それは真実の体験やと思うわ。行間に真実がにじみ出てるもん。——青白いインテリみたいな人で、机に向う仕事をしてて、箸より重いもんもったことない、そういう男の方が、ほんとはずっと強いって、彼女はいってます。一見、豪快そうな、いい体つきの男は、しつこそうに見えて、内実は単純で、アカン、って」
「すると、ようテレビや小説にあるのはウソですな。青白きインテリの大学教授を夫にもつ妻が、欲求不満から、たくましい肉体労働者の沖仲仕とか、現場監督とか、タクシー運転手とかに身を任せる、などというのは。テレビや小説みると、そういう筋書きが、よくあります」
「それがウソだって。第一、今日び大学の先生なんて、春木先生や大場先生の例もあることですし、決して、引ッこみ思案で性的未熟、淡泊なんてことはない、と思うわ。——しかるに片や、肉体労働者の方は、これがあんがい、弱い。タクシー運転手さんは胃弱で苦しんでたり……」
「沖仲仕は打ち身、肩こり、ギックリ腰を、焼酎飲んでやっとまぎらわしてたり……」
「そうそう、色恋どころやおまへん、というのが多い」
「そこへもってきて、やはり、ああいうことは、精神的なもんですから、想像力とか心理洞察力とかいうもんも、大いに影響するやろうし。そうなると、頭脳労働者の方が、性的に強い、ということもうなずけますな」
とおっちゃんはうなずいた。
「そういえば、宿屋の女中さんのランクによると、いやらしい客の筆頭に上る栄誉に浴するのは、医者・学者・坊主らしいでっせ」
「ふーん。では、こんご、あちらの方面で強い人を求めようとすれば、青白きインテリの中から探すことですね」
「現代のムカデ退治の英雄は、むしろ、そっちの方にいるんでしょうなあ」
「おっちゃんは、どっちの方でしょうね。インテリでもなし、かといってそうたくましそうにも見えず、ムカデや蛇は怖がるし、さればといって、単純でもないし、好色かと思うと、口ほどのこともなく……強いのか弱いのかわかりません」
「僕はハッキリしてますな。つまり相手によって強うなったり、弱うなったりするのです。おせいさんの相手では強うなりようがない。おせいさんとは所詮、縁なき衆生です。男の強さは、相手によってかわるもんですぞ。青白きインテリも肉体労働者もあるもんか。おぼえとけ」
おっちゃんをどつきたくなるのはこんなときである。
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