日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

イブのおくれ毛56

时间: 2020-06-20    进入日语论坛
核心提示:掌 中 の 玉このあいだから私の家の中は造作さわぎで大変だった。住居は雨露をしのぐもの、というのが最低の定義なのに、雨が漏
(单词翻译:双击或拖选)
掌 中 の 玉

このあいだから私の家の中は造作さわぎで大変だった。住居は雨露をしのぐもの、というのが最低の定義なのに、雨が漏り放題で、くばってあるくバケツや洗面器のかずが足らなくなっちゃう。思いきって屋根屋さんに来てもらい、大工さんをたのんで台所を改造(もうゴキブリも出ないと思うんだ)、左官さんに風呂場のかべをぬりかえてもらい、タタミ屋さんにタタミを入れかえてもらい……てんやわんや。彼らが一時に私に訴える。
「ここのタタミもかえますか、おくさん」
「階上《うえ》と階下《した》、どっちから直すのかね」
「風呂場は何いろにぬりますか?」
そこへもってきて、家政婦さんは、
「今晩なににしましょ、おくさん」
とやってくる。あいまに東京の編集者の電話あり。
「原稿どうなってますか!」
ついに私はこんぐらがってしまう。
うるせえぞ。
私は聖子だけれども、べつに聖徳太子にあやかってるんではないのだからね、一ぺんに五人、六人の訴えなんて聞けない。ついとりみだして東京の電話には、風呂場の壁とまちがえ、
「ピンク、ピンクでいって下さい!」
などと返事する。向うは更にとりちがえ、
「あ、けっこうですなあ、ピンクユーモアですか、ところどころお色けがあると助かります」
「ところどころじゃないの、全部ピンク一色、桃色にする!」
「は? いや、雑誌《ほん》は、前々より一部分はピンクカラーになってますが」
「ちがうのよ、一部じゃないの、オールピンクにする、オール桃色!」
とりちがえて聞くと何ともおかしい。大工さんは大工さんで、
「ガタが来てまんねん、この家、総体に——。階上ももうあかんが、階下はこれはガタガタ。少少あっちこっち触《いろ》うたかで、おっつきまへんなあ。腐っとるところもあるし、まあ、階下から痛んでくるのはどちらさんも同じで」
これもマジメに聞くと、
「さよか。ほっといて頂戴」
と木で鼻くくる返事をしたくなる。
「この際、みんな、さっととりかえなはれ。——これは古いもんやさかい、かなり床《とこ》はしっかりしてるけど、それでもところどころ湿気でふやけて、ゆるうなってる。何ちゅうたかて、下へ敷くもんは新しいもんがよろしおま。ついでにさーっとみな新しいのにかえなはれ」
というタタミ屋さんの勧告も、虫の居どころがわるいと、へんに聞こえるであろう。
私の友人は、亭主が休日の朝、うれしげに電話するのを聞いて猛烈と腹が立ったそうである。
「え? たくさんいくと安うなるんのんか。女の子、居るねんな? 今からワンラウンドか、よっしゃ。ぼくもすぐいくわ」
カッとなって詰問したら、今日ぞうれしきゴルフ・デー、何いうとんねん、とあべこべに叱られたよし。
すべて、物ごとにはとりちがえということがあり、齟齬《そご》をきたさぬよう、よくよく周囲の状況、物ごとの経過を勘案して判断するべきである。
早とちり、早のみこみ、とりちがえ、すべて軽佻なるわが性《さが》の犯しやすい過失であるから、よくよく、気をつけねばならぬと自戒したことである。
しかしカモカのおっちゃんは、どうも早とちり、とりちがえが多く、じつにこまった御仁である。私は少し前に電子レンジを購入し、大いに重宝している。学生の多いわが家は帰宅時間がまちまちで、これで温めたり料理したりするとじつに早い。私は機械オンチであるから原理は説明できない。料理の皿や徳利を中へ入れて目盛りを合わせ、
「瀬戸はァ 日暮れてェ 夕なァみ 小ォなァみィ……」
といいご機嫌で唄っているあいだ、一分、二分、
「チン!」
なんて鳴って、たちまち熱く、湯気があがるということを知っているだけである。
お酒なんか熱々|燗《かん》だ。
しかしカモカのおっちゃんは、電子レンジの原理からまず知ろうとする。男はモトモトのところが「納得!」とならないと、不安らしい。
「皿は冷たいのに、中身が熱いということが解せん」
という。
「フタをして入れても、中身だけ熱うなってるとはこれいかに」
と気むつかしくいう。
私知らないよ。私にできるのは実演だけである。ジャガイモの生《なま》をサランラップにくるみ、レンジの中へ入れてスイッチを入れる。ガラスの戸越しに、殺人光線が芋に当っているのが見える。目盛りをしてスイッチを押し、数分して取り出せば、こはいかに、魔法のごとくアツアツのやきたてになっており、バターを落して食べるとかくべつ。
「ね、わかった?」
「フーム、つまり原理は……」
「そんなん知らん。ともかく、入れるときは堅うても、中から出すとやわらかくなっておりますの」
「なるほど」
「すこし水けの足らぬものは、水気をたらしておくと、具合がいいの」
「そうか、それで原理はわかった。それでチン! というのやな」
何を早とちりしたのかしら。
このあいだ結婚前の娘を父親が殺して、自分も死んだ事件があり、おっちゃんはてっきり、殺されたのは息子だと思っていたそうである。
「しかし週刊記事には『掌中の珠のようなわが子を殺し』とありました。掌中の珠というからには、ムスコではなかろうか、と……」
おっちゃんはへんなところを両掌でかこい、ふしぎそうな顔をしていた。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%