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イブのおくれ毛58

时间: 2020-06-20    进入日语论坛
核心提示:悪事についてテレビのニュースを見ていたら、わるいことをして家宅捜索を受けている男がうつっている。何だか、切なそうな顔で、
(单词翻译:双击或拖选)
悪事について

テレビのニュースを見ていたら、わるいことをして家宅捜索を受けている男がうつっている。何だか、切なそうな顔で、小さくなって、捜査員のすることを目で追っている。年のころ四十あまり。辛そうな、何ともいえぬ顔。
捜査員の物なれたうごき、——ひき出しをあけたり、机の下をのぞいたりするのに気をとられ、テレビカメラにわが顔がうつって、ばっちりととられているのにも気がつかない。だから表情が、逐一、見えた。
むろん、ほんの数秒だったけれど。
場面がかわるとこんどは、アナウンサーが、また次のニュースをよみ上げている。
これも、四十あまりの年ごろで、これはさっきのくたぶれたワイシャツ姿のおっさんとかわり、リュウとした背広姿、生まれも育ちもよく、高等教育を受けて大会社へ就職、この道ひとすじのプライドにもえてる感じの紳士。
私、つくづく、思っちゃった。
片や、家宅捜索のおっさん。
片や、社会的に信用のある紳士。
同じ年ごろで、どうしてこうちがっちゃったのか。
これは、生まれたときからの、ほんのちょっとの運命(神、といってもよい)の手ちがいで、道が二つに分れてしまったのだ。フタマタ道を、それぞれが歩いて、同じような人間が、こうも分れてしまったのだ。
どんな拍子で、アナウンサーが悪事を働いて家宅捜索をうけ、おっさんが、アナウンサーになって仕立おろしの背広を着て、カメラに向って、「何の何ベエはこういうことをして家宅捜索をうけました」とすましてしゃべっているかもしれない。
そんなことはごくごく僅かの狂いなのだ。運命の匙《さじ》かげん一つで、クラッとかわるのであります。
えらいもんだ。
「だから、どうだ、というのですか」
と聞かれたって、私としては答えようないけど、私は、悪に対してはつねに不安定な見識しかないから、我ながら心もとなくてこまってしまう。いつ自分もヤルかもしれない、という気がある。まさか、人殺しはしないと思うけれど、追いつめられればどうなるか、口はばったいことは申せない。公金を横領する気遣いは、まちがってもないと思うが、それとても、背に腹はかえられぬという場合が、人間には間々あり、いつどうなるかわからない。
何も、不日、悪事を働くためのいいわけを前もってしているのではないが、人間というものは、風前の灯のようにもろいものである。寿命だけがもろいのではなくて、悪事に於ても、もろいものではあるまいか。
金で人間がうごくとは、限りませんよ、と力みかえっていながら、また、目の前に現ナマを見ると、あさましく目の色がかわるかもしれない。かわらないかもしれないが、そのときには、かわらないことで、たいへん恥ずかしく、自分を|ぶってる《ヽヽヽヽ》ように思い、むしろ、かわらない方がムリをして不自然だと思い、人間味がないように思い、卑しいことだと思ってしまう。
金で折れるのこそ、人間らしい誠実さであるように思ってしまう。「匹夫《ひつぷ》もその志を奪うべからず」と大見得切りながら、だんだん、自分のそんな自己陶酔ぶりがいやになり、鼻についてくる。何もやせがまん張るだけが能とちがうがな、と思い、人間は、自然に生きなあかんねん、金ほしがってどこがわるい、などと考え、まあそう窮屈に考えんかて、同《おんな》じ一生やったら気らくにいったらええのんちゃうか、と思い直し、何《なん》やかや、いうてるうちに、年とって、昔そんなこともありましたなあ、と笑いばなしになってしまいよるやろ、と考えたりする。
そうして、ついに金に手をのばし自分のふところへ入れる(ような気がする)。
領取書を書く、あるいは栂印をおす、あるいは引きかえに何ンかわたす、あるいは知っていることをぺらぺらしゃべる(ような気がする)。
あぶない人間なのだ、私は。
何をするか、わかりません。
むろん、現在只今のところは、毛頭、そんなことは考えておらぬ。
悪をにくむこと、アイアンサイド警部より烈しく、志操高潔、人格清廉のつもりであり、札束で頬っぺたを叩かれても、いやなことはいや、というつもりであるが、どうも、先々のことまで責任を持ちかねるのでこまるのだ。
みんな、「つもり」であるから、ここんところがこまる。
絶対、ワルイことはしません、と断言できないのが悲しい。
「ねえ、おっちゃんはそんなこと、ありませんか」
と私はカモカのおっちゃんに聞いてみた。
「ウーム、それは、ありますなあ」
とおっちゃんがいったので、私は少し安心した。
「そうですか、おっちゃんも、絶対悪事は働かぬ、とは断言できないわけなのね」
「むろん、良識ある市民として法律道徳に悖《もと》るようなことはせんつもりでありますが、しかし、ウーム、金を積まれるよりは、色によわいかもしれまへん」
「色仕掛けでこられると、メタメタとなるわけですか?」
「もし、色で迫ってこられると、知らん顔してるのも不自然と思い、先方サンにも気の毒になり、メンツをつぶしてはならぬとも考え、色を好んでどこがわるいと居直る気になり、ゴタゴタ起きたら、それはそのときのことと度胸をきめ、毒をくらわば皿までと覚悟し、据膳《すえぜん》くわぬは男の恥というではないかと、わが身にいいきかせ、……」
「ついに色におぼれ、屈するわけなのね」
「と、いうことですが、しかし、この頃の僕の平生の実績からいうと、どうもその期《ご》に及んで果して、色におぼれ、色に屈することができるか……。やむを得ず、志操高潔ということになるかもしれまへん」
実際、おっちゃんは口舌の徒である。
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