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イブのおくれ毛78

时间: 2020-06-20    进入日语论坛
核心提示:好 色 癖私は最近、某誌に「源氏物語」の現代語訳(というより、小説・源氏物語)を書いているが、「源氏物語」は私の大好きな
(单词翻译:双击或拖选)
好 色 癖

私は最近、某誌に「源氏物語」の現代語訳(というより、小説・源氏物語)を書いているが、「源氏物語」は私の大好きな小説なので大変たのしみに書いているのは事実である。「源氏物語」は娯楽小説だから、寝ころんでよめばよいのだ。よくできた娯楽小説は寝ころんでよんでいるうち、いい文句や、いい場面がしぜんにあたまへ残っていつまでも忘れられず、ついに生涯おぼえている、という段取りになる。
そうやって、「源氏物語」は千年もの命脈を保ったのである。三拝九拝してよむものとちがう。いまでいえば週刊誌小説の、ごく上等のヤツなのだ。
ところで、「源氏物語」をよんでいると、ずいぶんいろんなことを考えさせられる。
この、本文以外のことまで考えさせるというのも、質のいい娯楽小説の特徴である。
たとえば「源氏物語」の主人公、光源氏は、ヨソの女、つまり秘めたる愛人の藤壺の宮にも、正妻の葵の上にも、どちらにも男の子を生ませているが、しかしどちらかといえばヨソの実子の方が源氏に似ていることを本文では、くり返しくり返し書いてある。
私はここをよんで、うなずくところがあった。
私の知人に、本妻と二号と、どちらにも子供を生ませた男がいるが、二号にできた子のほうが、はるかに、彼にソックリである。
千年の昔から、そういうことがあるらしいのだ。
カモカのおっちゃんも、
「それはあることです」
といっている。
「じつをいいますとウチの親爺は光栄ある放蕩者でして、二号に子供をつくりましたが、そいつが僕よりずうっと親爺似。気持わるいくらいソックリです」
「おもしろいね、なんでやろ」
と私は興がった。おっちゃんはすまして、
「それはきまってますがな。心こめて仕込むからや」
「なにを」
「阿呆。このカマトト。たいがい男いうもんは、ヨソの女の方が本妻より好きにきまってるのや。きらいな女をワザワザ、二号にするはずおまへんからな」
「そりゃそうでしょ」
「よって、気の入れ方も、も一つの入れ方も本妻より格段にちがう。似てくるのん当り前」
「源氏物語」というのは、こんな話題を提供してくれるからうれしい。王朝の小説では、男が女のもとをおとなうとき、まず従者を先にたて露払いと太刀持を従えて乗りこむ。光源氏のような身分ある男だと、いかにお忍びで通うといっても、最低、三、四人の供人は連れている。
そうして、従者に、ほとほとと門を叩かせる。このとき、女の方はそれと察して門をあけるのが普通だが、中には、光源氏の訪れがあまりに間遠なのでしびれを切らして、次の男とねんごろになっている女もいる。
そういう女はしかるべく返事して、門をあけないのである。
光源氏ほどの身分の男があいてにする女たちだから、町はずれの掘立小屋にムシロがけで住んでいるというようなのはいない。
零落しても宏壮なお邸、荒れはてたむぐらの宿ではあるが、いちおう正門も塀もあるから、それでもといって押し入るわけにはいかない。
光源氏も、しばらく行かなかった女の家を、通りすがりに思い出して門を叩くが(こういうところ、男の好色癖をうまく書いている)、女は別のクチにただいま首ったけだとみえて、門を閉ざしたまま、ついにあけないのである。庭の草をふみしだいてかよう男、とざされた門をまん中に、男と女のやりとり、はるか草深い庭の彼方のたてものに、ぽっと灯のつくおもしろさ、そういうムードがとてもいい。
「やっぱり、王朝の小説は舞台やムードがよくて酔えますね。今の恋愛小説ではそういう小道具や舞台がなくてつまらない」
と私がいうと、おっちゃん、首をかしげ、
「そうかいなあ。今でも王朝さながらのことをやっとりますけどなあ」
「どういうところが、ですか」
「まず門をトントン叩く」
「王朝時代はトントンといわない。それは団地やマンションのドアです。昔の門はほとほとと叩く」
「では、二つの門をほとほとと叩く。門は左右に二つあります。この門にもベルがついているが、インターホンになっていることも多い。門はふっくらして盛り上っているのであんまり強う叩くと、いかんようですが」
「なんのことです」
「やがて、来意を告げて、むぐらの宿をかきわけふみわけ、お邸むかってすすみます。このとき更に、むぐらの草ふかきところにベルがありますので、それを押す人もありますやろうなあ」
「ごていねいに」
「ベルを押すと、奥ふかい邸にぽっと灯がつきます——見なはれ、王朝の小説も、いまも、おんなじこと、してるやおまへんか」
私、なんの話か、さっぱりわかんない。
ところでこういう男の好色癖をあますところなく書きあげた紫式部は、大変ものすごい女傑であるが、私は、かねて、紫式部ともう一人、べつの作者がいるのではないかと疑っていた。——しかし、何べん「源氏物語」をよんでも、あれは同一人の書いた文章であり、気品であり、雰囲気である。しかし、あれほど、男性心理に通暁する女がいるものであろうか? おっちゃんはこれに対し、こともなげに断言した。
「そら、きまってまっしゃないか。紫式部にも、カモカのおっちゃんがついとったんですわ、王朝のカモカが」
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