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イブのおくれ毛84

时间: 2020-06-20    进入日语论坛
核心提示:大人物=その二大人物とは、そもいかなるものぞ。私ども日本人がまず、あたまに思い浮べるものに西郷隆盛がいる。この御仁は、私
(单词翻译:双击或拖选)
大人物=その二

大人物とは、そもいかなるものぞ。
私ども日本人がまず、あたまに思い浮べるものに西郷隆盛がいる。この御仁は、私たちのイメージによれば、寛仁大度、度量ひろく清貧を愛し、友誼に厚く、節操を重んじ、酒色に溺れず、権力に阿諛《あゆ》せず、清廉《せいれん》な生涯を送った、ということになっている。
「こんなんこそ、大人物じゃないでしょうか」
とカモカのおっちゃんに聞くと、
「まあ、そういうてもよろしいが、ほんとの大人物なら、人の上に立って担がれたりしまへん。担ぎに来たら、『ワタイ、そんなん向いてまへんねん』と裏口から逃げたりしよる」
「なるほど」
「すべて、目立たぬ、表に立たぬ。代表人、主宰、社長、右《みぎ》総代、主催者、音頭取り、発起《ほつき》人、筆頭、首席、主賓、上座にならぬ」
「ハハア、すると、万事に消極的であらねばならぬわけですね」
「いや、むりをして消極的になるのも自然ではない。すべて、水が、高いとこから低いとこへ流れるように自然に任せるのがよろしい」
「大人物はお酒を飲んでもいいのかな」
「そらかまへん」
「しかし、酒乱になるのはいけないでしょう?」
「酒乱はこまるが、それを自戒して飲みたいのに飲まぬ、潔白リチギに身を持しているという堅くるしいのも大人物ではありませんなあ」
「むつかしくなってきた」
「水清ければ魚棲まず、大人物というのは、ちょっと濁った水のようなもの、なまぬるく濁っておるところが、何人もつきあいやすそうに思われる。そんな人物。何か目標をきめてカッカしておるのは、所詮、大人物にはなれまへん。カッカすると目的達成のために自分を強い、ひいては他人をも強いることになるから、人間が酷薄になる。大体、自分が酒飲まぬと、酒飲みをつま弾《はじ》きしてワルクチいう、そういうのは小人物」
「うーん、わかったような、わからぬような」
「成績でいうと、まん中から下というあたり、茫々たる中に霞んで、あんまり人の記憶に残らん、というような奴」
「韜晦《とうかい》することですね」
「いや、それがまた、むりに、才をくらましチエを包んでいるのは、あかん。それは狡猾《こうかつ》というもんで、真の大人物ではない。作為的なんは、いけまへんなあ。むりして金もうけするのも」
理屈ではわかったような気がするが、もひとつ、ぴんとこない。
「実例で聞かなくては。大人物なら、まず婦人はちかづけないんでしょうね」
「何をいう。酒好きは酒を飲み、色好きは色をちかづける。これが真の大丈夫」
「ずいぶん、生きやすそうだなあ。ではおのれの欲するままに、ご婦人と仲よくしてもいい、ト」
「むろんです。せいぜい、はげむがよろしいのだ」
「ご婦人から惚れられて、たまたま、その女人が気にいらんというときはどうしますか」
「いや、どうも大人物には女が惚れるはずなさそうな気がする」
とおっちゃんは、少し残念そうであった。
「女性が惚れてくれたら、どんなひどいオカメひょっとこであろうと双手を挙げて歓迎ですが、しかし、女ちゅうもんは、大人物にちかづかず、えてして、小人物を好みそうなわるい予感がする。女は大人物をほれる物さしがないので理解でけへんのや、思いますな」
そりゃ、そうでしょ。上に立つな、人前に出るな、金もうけはあかん、成績は中の下。そのくせ、酒と女は、来るもの拒まず、ではどこに男のいいとこがあるのかわからない。女が、こんな男に惚れるはずないでしょ。
「いや、ちがう。わからんかなあ、こういう男こそ、真の男、ですぞ。何ものにも捉われず、自在に生きとる。執着心もなし、気どりなんか皆無。無心なること、赤児のごとく、それでいて、デリケートとくるな」
「何ンか、よくわかるように、形になってるもんで示してくれませんか」
「なってるやおまへんか。つまり、目の前にいる僕なんか、大人物の標本《サンプル》のごときもの」
「そうか、しかしカモカのおっちゃんでは、女心をときめかすわけにはまいりません」
どうも、女と大人物とでは、食い合わせがわるいように思う。
「まあ、それならそれでよし、食い合わせがわるいといわれても、大人物はオタオタせんのです。まあそういわんと、いっぺんためしてみなはれ、と追いすがって未練たらたら、いうようなのは大人物ではない。馬には添うてみよ、人には乗ってみよ、などとくどいたりはしまへん。すべて無理なく生きる。女にふられて挫《くじ》けず、酒に酔えばヨタヨタ歩き、酔いさめて素面《しらふ》になればシッカリ歩く。自然にまかせ、てれず気どらず、ありのまま歩く。たとえば、おせいさんの足はどうしたのですか」
「これは、先天性股関節脱臼です」
「医者用語で先股脱というやつですな。ほんなら、先股脱は先股脱のように、むりなくビッコひいて歩くがよろしいのだ」
それでおかしいことがある。
私の友人の男に、私にあうと、いつもじいっーと私の歩く姿をながめ、物ほしそうに、
「うむ。お前《ま》はんは、練れてるから、ええ味がするやろうなあ」
とヨダレもたれんばかりにいう奴がいるのだ。
とんでもない野郎だ。
しかし、そう物ほしそうに色けたっぷりな眼でいわれると、女としてはわるい心持ちはしない。といって、私も、そういちいち試させていては身が保《も》たないから、取り合わないでいるが、こういう男、あんがい、ひょっとして、こんなのをこそ大人物というのではありませんか?
カモカのおっちゃんに、私がそう聞いたら、おっちゃん泰然として、
「なあに、それはタダの助平です」
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