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イブのおくれ毛89

时间: 2020-06-20    进入日语论坛
核心提示:醜 女 好 みこのあいだ私は講演旅行にいった。ひとところではなく、泊りに泊りを重ねて次なる興行地へ打って廻る旅である。その
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醜 女 好 み

このあいだ私は講演旅行にいった。ひとところではなく、泊りに泊りを重ねて次なる興行地へ打って廻る旅である。
その間《かん》、私は屈託なく食べた。仕事は、最後の二、三枚を大阪からのジェット機の中でやり、(オワリ)と書いて、羽田で編集者にわたしてきて、旅先では原稿用紙を持たなかったから、らくであった。尤も、一本、速達で旅先から送ったのであるが、総じていうと、私という人、旅の方が体が安まるタイプである。家庭の俗事から解放されるからであります。そうして名勝景観を心ゆくまでたのしみ、出されたものは、残らずむさぼり食った。
一週間の旅から帰って計ってみると二キロもふえていた。
家へ帰ると、さっそく、東京の係の人から、「ごくろうさまでした」と電話があってねぎらわれる。
「お疲れになりましたでしょう?」
「イイエ、二キロ太っちゃった!」
「ソレハソレハ」
と係の人は恐縮し、
「ご主人に申しわけありません」
どういう意味や、それは。
ま、それはともかく、私は旅先で、じつにいろんなものを心ゆくまで賞味した。行先は東北であったゆえ、山菜と東北の魚をたのしんだ。西国にはない味のイロイロを試みた。
ホヤ貝とそのおつゆの美味は絶妙である。きりたんぽ、ならびに、しょっつる鍋のおいしさは得もいわれぬ。しどけ、ぜんまいなど山菜あまた、ハタハタのおいしさは筆舌につくしがたい。馬の産地だから、馬肉のさしみ、すきやき、これまた、じつに結構であった。
私の箸は、昔ふうにいえば、シナ事変初期の皇軍大勝利という感じで、征《ゆ》くとして抜かざるなく、悉く攻め進むわけである。土地の人は心配げに聞く。
「いかがですか?」
「とっても美味しいですわ!」
私はほんとにそう思っている。同行の三浦朱門さんは呆れて、
「しかしあなたも無定見に何でも食べますね」
といい、ついに私は「猫またのおせいさん」とよばれるに至った。私の食べた皿は一物も余さず、猫も呆れてまたいでいく、というのである。
しかし、私ははじめて食べる美味に感激して、残すなんてとんでもないと思う。馬だろうが猪だろうが、ムジナだろうが、何だって私には美味である。その上地でとれた産物を、その土地で食べて、まずかろうはずがない。
更に、その土地の酒を飲む。私は「南部美人」や「鳩正宗」や「爛漫」などというたのしい銘の地酒を飲み、大いに愉快であった。地方へいけば地酒に限るのだ。
私が食欲を失うのはどんな時かというと、それはフォード大統領歓迎晩餐会であるとか、エリザベス女王ご夫妻のそれであるとか、とにかく、えらい人がはいってくると席を起たねばならぬような、音立てて物を食べてはならぬような、ナイフとフォークを器用につかわねばならぬような、隣人に話しかけられたら、ろくに咀嚼《そしやく》もせず嚥《の》みこんで、にこやかに相槌《あいづち》打たねばならぬような、そんな大宴会である。私は着飾って一流レストランヘゆくのは好きだが、それは自分のたのしみのためで、おつき合いでいくのはあまり好きでない。
「おっちゃんも、そういう大宴会はきらいでしょう?」
と、カモカのおっちゃんにいったら、
「きらいですが、しかしもし行ったら、じっくり食べて飲んできますなあ」
ということであった。
「おっちゃんなら、招待が来ても断るんでしょうね。招待を断るのが大人物か、いや、招待を断るのは小人物で、招待も来ぬのが大人物かな? ドウダ! だいぶん、その間《かん》の呼吸をのみこんだやろ!」
と私が知ったかぶりにいうと、おっちゃんは、
「うんにゃ。世の中の人はそれぞれに立場思惑があり、断ればよいというものではないのです。大人物はお召しに応じて素直に衣服をあらためてゆく。そうしてフルコースをじっくり食べ、つがれた酒もゆっくり味わい、満腹し、心おだやかに帰る。これぞ大仙人!」
という。やりにくい男である。
「じゃ、おっちゃんはいかなる場合でもご馳走はじっくり頂く方ね、猫またのカモカですね」
「うんにゃ、それもちがう。ご馳走はご馳走でも、女性は、これは食欲をおぼえるのとおぼえないのとがあります」
「フーン、つまり、醜女《しこめ》であるとか、気立てがわるいとか」
「気立てはこの際、考えに入れないとして、男なら、あちらの構造ですなあ、味わい、といいますか、それを気にする」
「どんなのに、食欲を感じますか、美人で味のいい方ですか。たとえば、美人で味のまずいのと、醜女で味のよいのとでは、おっちゃんは、どちらを食べたいと思いますか」
「うーむ」
とおっちゃんはしばし盃をおき、
「やはり、醜女で味のよい方ですなあ」
「では美人で味もよいのと、醜女で、味だけはいいのとではどちらをとりますか」
「醜女で味のええ方をとります」
「では美人で味のまずいのと、醜女で味もまずいのとは、どちらをとりますか」
「それもやっぱり、醜女でまずい方がよろしいなあ。もしそれ、気立てさえよければ」
「結局、醜女好みなんですね、おっちゃんは」
「いや、美人は臭気がありましてなあ。美人臭というものがつきまといます。これは臭味があって、つい箸をすすめにくい。いかがですか、と土地の人にすすめられても、食指がうごかん。なかなかかわった味ですね、という。かわった味ということは、もひとつ好きになれん、ということですわ。故に、僕は、女にかけては|猫また《ヽヽヽ》というわけにはいかぬ。女は醜女に限ります——。エー、ときに、次なるお燗はできてますか?」
チェッ。おっちゃんは私に酒を奢らそうとして醜女好みを強調していたのだ。
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