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女の長風呂25

时间: 2020-06-25    进入日语论坛
核心提示:女は「五|たい《ヽヽ》」ところで原田常治オジサマは男の「五せる」に対し、女は「五たい」であると喝破していられる。いわく、
(单词翻译:双击或拖选)
女は「五|たい《ヽヽ》」

ところで原田常治オジサマは男の「五せる」に対し、女は「五たい」であると喝破していられる。いわく、
着たい
食べたい
しゃべりたい
甘えたい
産みたい
だそうで、女はおおむね社会的利用度が少ないから、何々させて籠絡するという観点ではなく、女の本然の性《さが》そのものをいうようである。
「甘えたい」というのを即物的にいうと「抱かれたい」と表現してもよいであろう。
美しい着物を着、人にみせびらかし、おいしいものを食べ、心ゆくまでしゃべり、好きな男に抱かれ、子供を産んで「お手柄」とチヤホヤほめそやされ、その子供をおおっぴらに育て、可愛がられる、まことにこれぞ、女の法悦境であろう。
「甘えたい」という女の性は、小さいときは両親に甘え、結婚して男に甘え、老いて子に甘えるを以て究極とする。それらがみたされたとき、女の幸福は極まったものというべきであろう。
全くのところ、女の本態は、この「五たい」に尽きると思われる。私だって、この上に「六たい」めをつけ加える言葉が見当らぬのである。
ところが、私がこれを示して、意見を徴した若いミス・ミセスからは憤然たる反駁があった。
そんな「五たい」は古典的すぎるというのである。
そんな次元の低い「五たい」が女の本態だと思われては片腹いたいという。
では現代の「五たい」は何々か。いわく、
家事を省きたい
外で働きたい
生き甲斐を感じたい
自分名義の財産をもちたい
抱かれるより抱きたい
だという。
えらいことになってきた。こんな「五たい」をふりまわされては、男もウカウカと枕を高くして眠ることはできなくなってきた。牙城に迫られたわけである。
この|五たい《ヽヽヽ》はいずれも現代女性の不満のありどこを象徴しているものと思われるから、まことに尤もであるが、尤もであるとうなずけるものの、私は心から承服しかねるのである。
この新|五たい《ヽヽヽ》がみたされても、なお女には埋めて埋めつくされぬ空洞が残るであろう。その空洞を埋めるのは、やはり古典|五たい《ヽヽヽ》ではあるまいか。新|五たい《ヽヽヽ》は何となくメッキでまやかしの感じがあり、いうなら流行である。時代によって変りそうな尻軽さがある。しかし古典|五たい《ヽヽヽ》の方は、これは東西ニホドコシテ悖《モト》ラズ、古今ニ通ジテアヤマラズ、という万古不易の女の性のエッセンスみたいなものに、私は思える。女の性に関するかぎり、私は保守反動である。
しかしながら私が保守反動とするならば、カモカのおっちゃんなどはどういえばよろしかろう? おっちゃんは、新も古典も興味ない、という。着たい、食べたい、しゃべりたい、も、そんなもんが、なんぼのもんじゃ、という。どういうことや、それは。
「つまりですな、まァ何をさせてやっても女ちゅうもんは、本心から、あんまりこたえとらんからですワ」とおっちゃんは、憮然《ぶぜん》としていう。
「着たいものを着せ、食いたいもんを食わせ、口から出放題にしゃべらせ、産みたけりゃ産ませ、けったくそわるいのをがまんして甘えさせ、それで要するに、こっちは何のトクにもなっとらへん」
「しかしですね、女はそれで幸せなんですから……」
「男のほうは、これはわかりまっせ、|五せる《ヽヽヽ》でオトしたら、注文廻してもらえるとか、査定に手心してもらえるとか、まァこちとらに見返りがおますわな、しかし女に、したい放題させたって何の見返りがあるか、ちゅうねん」
「それはやはり……」と私はひるんだが、われながら気がさすのをあえていった。「そんなにしてもらったら、有難く思って男を大事にします」
「いうてる本人が信じてないくらいやから、誰がそんなことするかいな、あほらし。よけい図々しなって、トメドが無《の》うなるのが女というものです。着たいもん着せてももっともっと着せろという。食いたいもん食わせると、もっとうまいもん食わせろという。精神的歯止めがおまへん、ケロッとしてる」
「そうかなァ」
「そうです。しかも、ですね」とカモカのおっちゃんは盃を置き、「いちばん、それを痛感するのは、あのときです。つまり男は獅子奮迅、汗かいてがんばりますわな」
「ハァ」
「女のほうも相応に夢中です」
「なるほど」
「それが、すんだらすぐ、本心に立ち戻り、真人間になって、ケロリとマトモな顔になりよる」
「それは……」
「ケロッとして鼻唄なんか唄うて、汚れものを風呂場の洗濯機に抛《ほう》りこんで、台所で新聞なんぞ、読んでけつかる」
「あの、それはですね……」
「颱風一過のかんじ。あない汗かいて大サービスしたん、ちっともこたえとらへん、いうのや」
「しかし……」
「ケロッとして、これがさっき、あない取り乱しとった人間と同じ人かしらんと、目ェこするかんじ」
「でも、その……」
「あまりにも、こたえなさすぎるやないか。蛙のツラにションベンもええとこです。女はケロリ族なのだ。あまりにも性根に入らなさすぎるやないか。こんな動物に|五たい《ヽヽヽ》のなんのと|し放題《ヽヽヽ》させといたらキリがおまへん」
おそれいりました。
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