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女の長風呂42

时间: 2020-06-25    进入日语论坛
核心提示:月のさわり「最上《もがみ》川 のぼればくだる稲舟《いなふね》の いなにはあらず この月ばかり」という古歌は、古来意味深長
(单词翻译:双击或拖选)
月のさわり

「最上《もがみ》川 のぼればくだる稲舟《いなふね》の いなにはあらず この月ばかり」
という古歌は、古来意味深長なものとされている。しかし大方は、現在までのところ、
「いいえ、そうじゃないの、イヤだっていうんじゃないのよ、ただちょっとね、いまはアレなのよ、ごめんなさい」
という解釈が行なわれているようである。であるから「月」は「月のさわり」のことだとある。
なぜこの歌をもち出したかというと、カモカのおっちゃんが例のごとく角壜一本を提《さ》げて遊びにきて、こぼしていったからである。
おっちゃんは先般、女子大生の美女を首尾よく誘い出すことに成功した。商売女のたぐいではないから、これは全く破天荒なことである。良家の令嬢を言葉たくみに旅に連れ出すなどというのは、おっちゃん如き中年男としては上出来であって、おそらく一世一代、腕にヨリをかけ、金をかけたのであろう。
結構な温泉にはいり、結構な食事をいたし、微醺《びくん》を帯びて有頂天、さてこれから、結構なオトナの楽しみを極めんとする、まさにそのとき、令嬢は、
「おじさま、あたくし、今日アレなのよ」
と無邪気におっしゃったそうである。
私はきいてみた。
「おっちゃん、イカったの?」
「イカったね、これは。七転八倒しましたで。それならそうと最初から、いえばストトンで誘やせぬ。こら|サギ《ヽヽ》やないか、カタリやないか、ダマシウチやないか、けしからんです。人間のすることではない、天人ともに許さざる不徳義です」
大正フタケタ、昭和ヒトケタの男はいうことがオーバーだ。
「そういって逃げたんではないでしょうか」
「それはホンマのとこやったんでしょう、僕にアンネを買いにいかしよった。天真爛漫もええとこ」
「やっぱり処女というのは勝手がちがうね。なれないことをするからよ」
「いやしかし、玄人でもえげつないのがおりまっせ」
ゆきつけのバーで、かねてねらいし美女、これもやっとの思いでくどいて連れ出したが、まずは腹ごしらえ、というのでご馳走したら、食うわ食うわ、鮨にビフテキに天プラにお茶漬け、目から飯粒が出るほど食らって、さてホテルゆきのタクシーに乗ったら声ひそめ、
「ねえ、わるいけど、今日、あかんわ……そんなはずなかったんですけど、ごめんね」
「何や、親方日の丸か!」
とカモカのおっちゃんは、お年の知れる古語で叫んだ。
「シッ、大きな声したら運転手さんにきこえるやないの、いえ、いややいうてるのとちがうわ、ほんと、ごめんなさい、この次はきっと、ね」
失望と落胆で目の前が暗くなったおっちゃんを下ろし、そのままタクシーは彼女だけを乗せて走り去ってしまう。
「やっぱり、逃げられたのよ、どだい女にもてるはずない中年者が、身のほど知らずに浮気しようとするからよ。奥さまひとりを守ってりゃ、いいんです」
「いやしかし、女房《よめはん》でもえげつないもんでっせ」
おっちゃんはこのほど、古女房を連れて湯治場へいくという前代未聞の挙《きよ》に出た。いきたくていったのではない。人のすなる女房孝行をわれもせんとて、義務感、責任感で大奮発していったのだ。
古女房はさすがに機嫌うるわしく、年甲斐もなくはしゃぎ、それにつれておっちゃんも木石ならぬ身、平素は女とも思えぬ、たまたまズボンの代りにスカートはいてるだけというような、女の数にもはいらぬ古女房が、意外にイケルと見えてくる。久しぶりの妹背《いもせ》のちぎりに胸おどらして、いそいそと寄ってきたおっちゃんを、女房は鼻であしらい、一蹴し、
「今日はダメ、さっきアレになったの、シッシッ」
と追い払ったという。
「ほかにいいようもあるやおまへんか、まだしもホステスの方が、商売だけにうまいこといいよる」
とおっちゃんは慨嘆し、私はそれで、「最上川」の古歌を思い出したのであった。しかし、これはおっちゃんを追い返した当のホステスではないが、私の知り合いの、例の気のよいホステス、
「そりゃ、しょうがないわ」
といっている。
「ハッキリわかれば、この頃は遅らせたり早くさせたりできる便利な薬があるのやから、前以て服《の》んどきますよ。でも指折り数えて大丈夫やろ、というときが一番危ない」
のだそう。
「サギよカタリよといわれちゃ立つ瀬がないわ。だってこっちかて、アッと思うのよ。不吉な胸さわぎしておトイレに立ったら、アレでしょ。第一に考えるのは、しもた、申しわけない、あの人気の毒! ということばかり。あたしこう見えてもリチギなのよ、どうして納得してもらおうかと、身も世もあらぬ思いがするわ。消え入りたい思い。だってあたしがいいかげんに手ぬかりしたのが無責任やったんやもん……」
と、このへんが、気のよい所以《ゆえん》、
「そんでね、ベッドヘ戻ると、男の人は口笛なンか吹いて服ぬいでハンガーにかけて、ホテルの浴衣に着更えてるやない。もうそのイソイソして、うれしそうな顔見たら、ますます申しわけなくてね、うつうつとべッドに腰かけてたら、男のほうは気が変ったんではないかと、一生けんめい機嫌とったり、おべんちゃらいうたり、——ええ人やなァ、思《おも》たらよけいすまん気がして、いえんようになって、……女かて、そら、気ィ使うのよ」
といっている。
しかし、カモカのおっちゃんは、そういうデリケートで気のよい女に会ったことはそれ迄の人生には一ペんもないといっている。おっちゃんのようにデリケートな男には「シッシッ」と追い払う女がえてしてつくもので、デリケートな女には、日の丸だろうと何だろうと「雨天決行」する奴がつくものだといっている。それが人生の組合せだといっている。
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