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女の長風呂62

时间: 2020-06-25    进入日语论坛
核心提示:男 女 似「いとはん学校」で、文句をいってきた人があった、かのいとはん学校に於ては、そういう怪しげなふるまいをするいとは
(单词翻译:双击或拖选)
男 女 似

「いとはん学校」で、文句をいってきた人があった、かのいとはん学校に於ては、そういう怪しげなふるまいをするいとはんは、いませんでした、という、愛校心にもゆる卒業生の抗議である。
怪しげなふるまい、というのは、いとはんが押入れの中でオナニー類似のことをしていた、それを指すのであるか。しかし私はべつに「怪しげなふるまい」とは思っていないのだ。べつにかめへんやないか、という気である。
いや、少女のころは私も、そのたぐいのことを「怪しげなふるまい」と思っていたけれど、人間、四十のゾロ目すぎてみれば、人生に「怪しげなふるまい」なんてあるはずがない、と思うようになった。あるいはまた、見ようによれば、人間、怪しげなふるまいでないものはない。陰で何しとるかわからへん。
酒を医者に禁《と》められている男が、戸棚の陰で隠し飲みしてるかもしれん。会社のエレベーターの中で、課長とハイ・ミスのOLがいそがしくキスしてるかもしれない。用ありげに席を立ってトイレへ立った部長が、痔の薬を尻へ挾んでいるかもしれない。喫茶店で業者に情報を洩らして贈賄されてる役人、カンニングしている学生、締切りすぎていいわけを考えてる三文小説家、カギのかかる手文庫にエロ本をしまいこんでる校長先生、しかし、それらはみな、「さもありぬべき」ことで、あめが下に珍しきものではなく、ましてオナニーがどうの、というものでもなかろう。
ただ、そういうむくつけき字は避けたほうがよいように思われる。私は片カナで書くよりも「於何」と書く方が、ナニをナニしてるやわからん、という、アイマイ模糊《もこ》としたところがあっていいように思われる。
東海林さだおさんの「御菜煮」もよい。かつ、これは何やら家庭日常風である。女にはふさわしいかもしれない。カモカのおっちゃんは「於何」では、何と読むのかわからんという。
おっちゃんは「男女似」という字を使えばよい、という。男も女も似たようなことをするもんだ、という達観と解脱《げだつ》の心境をあらわしたものだそうだ。
「いや、似たようなこと、とはいいながら、僕は、女もそんなことをする、とは未だにもって考えられまへん」
とおっちゃんはいう、
「ことに女学生が、そんなことするとは言語道断ですわ」
「しかし現代では統計にあらわれてるそうですよ、もちろん、男子にくらべてごく少ない率ですけど」
と私。
「いや少のうても、どだい、そういうことがあるということ自体、考えられまへん、信じとうない気持の方が大きいですなあ、おせいさんもやるんでっか」
そういうことを聞く奴はみな、馬鹿だ。女が女であることを示す最後のプライドは、そういう質問を男に許さないことである。
「とにかく、私は亭主もちでございますからね」
「いや、もとうがもつまいが、それには限りまへんやろ、それに、亭主が退役してるということも考えられる、過ぎし日露の戦いに……という、昔の手柄自慢しかできぬ在郷軍人になってるかもしれへん、また、現役の亭主をもってても、ナニするかもしれまへん、男かて、妻帯者ほど、よう、ナニします」
ともかく、私はそれには関係ありませんッ!
「いや、そない、怒るところをみたら、ナニしてるのんかもしれへん」
「私、してないよッ、バカ!」
「こればかりは、してるということもわからんが、してへん、ということも、わからん」
と、しつこい奴、
「ほな、男はどうやのん、みんな、奥さんがあってもするんですか? 怪しきふるまいを」
「します」
と断固、いう。
「ヘンじゃありませんか、どだい、そんなこと……」
「いや、男はやったって、べつにどうちゅうことはないです。公明正大、明々白々の所業ですぞ。天地正大の気、粋然《すいぜん》として神州にあつまり、発しては万朶《ばんだ》の桜となって散るんですわ。凝っては百練の鉄となり……」
「もう、ええわ!」
「火打石みたいなもんです、打ちつける、火花が出る。錐《きり》を揉みたてる、神火を発する、男のすることは神々しいばかり、清浄で猛烈で、潔白で一本気で、うしろぐらいとこはちっともおまへん」
「そうかなァ……オナペットの写真なんか見て汗かいてやってるのを想像すると(見たことないもん)いいかげんなもんじゃないかと思いますけどね、男もたいがい……」
「いや、そら、ちがいますわ。少なくとも男は、パッとなって原爆が爆発したみたいに噴射する、するとキノコ雲があたまの中にいっぱいになって、終りまっしゃろ」
「そうですか? 私が知ってるわけ、ないでしょ」
「いや、そやねん、しかし女はどうですか、原爆も何もないやろ、どこからはじまってどこで終るかわかりまへん、一から十まで、うじうじしてややこしい」
「しかし、その……」
「男みたいに真木柱《まきはしら》ふとしく、という神《かん》ながらのすがすがしいヤツをですな、ともかくぶっつける、揉みたてる、こすり上げるという壮大な、雄渾《ゆうこん》なもんとちゃうやろ、女は折れこむ、折れまがる、ともかく陰湿、淫猥、うっとうしい、揉み立てるのと、折れこむのとは、えらいちがいです」
「でも、あの……」
「横町へ折れまがってごそごそしてるなんて、野良犬のさかりやあるまいし、女にはナニしてほしくない、これが男の夢ですな、あんまり自分勝手に折れこんで欲しィない、ことに女学生、若い女の子に要望したい」
「しかし、現今では、男の|すなる《ヽヽヽ》こと、女もしてみん、という風潮、それが男女似です」
「それがいかん、ちゅうねん、それが!」
とおっちゃんは泣き声をたて、本音を吐く、
「何も自分でせんかて、勿体ない、現役であぶれてるもんがいっぱい居る、というたれ」
志の低い男である。天地正大の気や真木柱などもち出して言葉を飾るから話はややこしくなるのだ。
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